なぜ生徒に先生役をさせる授業の形にしたのですか 2018年11月12日(月)
今日は月曜日です。明日火曜日は、こぎつね女子大の授業がある日です。先週書いてもらった学生達からのおたずねに、晴歩雨読の文章で答えていることを講義の時に伝えて、ブログを見てもらうようにしようと思います。最近は、書いてから二日遅れぐらいでブログに掲載しているので、かなりリアルタイムに発信しています。書いてすぐにアップすると、書き間違いや文のつながりがよくないことが多くあるので、二日ほど時間を置いて何度か見直してからアップするようにします。ブログを使った教育の可能性の話もしたいなと思います。
今日は23のおたずねの、9~12について考えたいと思います。
Q9.本を読むのは小説でも良いですか。お薦めの本はありますか。
きつねT:本を読みましょうと、何度も学習中にお伝えしました。読み始めてくれている大学こぎつねもいるようです。大学生の頃には、小説をたくさん読むとよいのではないかなと思います。多くの生き方を知ることになるし、登場人物の気持ちを考えたり、日本語を習得したりできます。私は昭和の大学生でしたので、大学生の頃は、昭和、大正、明治期の小説家の作品をたくさん読みました。大学生のみなさんは、まずは平成の同時代の人が書いた小説を読むとよいのではないでしょうか。もうすぐ平成も昔の時代になりますね。海外の人の書いた作品も読んでいくとよいと思います。日本と違った世界観が広がります。
Q10.今度私は奈良へ一人で遊びに行こうと思います。というのも、正倉院展というのが、期間限定であるので、それを見に行くのです。奈良でお薦めのポイントはありますか。
きつねT:よくぞ、聞いてくれました。奈良はくわしいですよ。20年間、小学校のこぎつね達と散歩をよくしてきました。奈良公園も、隅々まで歩くといろいろな風景に出合います。東大寺の二月堂は大好きで、10回以上は行っています。その近くの三月堂、四月堂、戒壇院には素晴らしい仏像があります。何度行っても、新たなことが発見できます。同じ場所に何度も行くと、だんだん良さが見えてきます。手向山八幡宮や元興寺は、教え子のこぎつねのお家です。いく度に挨拶をします。奈良公園から南へと、山の辺の道という自然豊かな古道が桜井までつながっています。一気に歩くと大変な距離ですが、新薬師寺、白毫寺、石上神宮、三輪大社などを尋ねながら分けて歩くと古代の奈良を感じることができます。また、薬師寺、法隆寺、當麻寺周辺も歴史が深く、さらに飛鳥周辺は最高です。御所市周辺の葛城古道も歩くにはすてきな道です。まだまだ紹介したい場所はあるのですが、一人で行くには、東大寺の大仏殿から二月堂周辺、若草山、春日大社あたりの奈良歩きから始めるとよいと思います。秋は最高ですよ。奈良には、歴史の教科書の記述の本物がそこにあります。
Q11.元々、幼稚園の先生を目指しているのですが、小学校の教師にも興味をひかれています。メリット、デメリットはありますか。
きつねT:メリットでもデメリットでもなく、たまたま自分の与えられた運命の中で、精一杯、子ども達と一緒に、成長を楽しむことができるのが、先生としての人生です。小学生は、1年生から6年生へと、驚異的な学びの成長をする時期です。そこで、天才的な能力を持った子ども達と共に学べる幸せは最高です。また、幼稚園は、3歳から5歳へと、赤ちゃんに近い存在が、親から離れて独り立ちする大切な時期の育ちを経験することができます。一つの命が独り立ちして、人間の社会に入って行く過程を見守る事ができます。どちらも、素晴らしい仕事です。お金をもらって、自分自身が何度も学び直しができ、学び続けることができる仕事です。子どもの成長期は、とてつもない素晴らしい能力を発揮しています。
Q12.先生は、なぜ、このように生徒に先生役をさせたりする授業のかたちにしようと思ったのですか。
きつねT:子どもは自ら学ぶ存在です。その学ぶ方法は、子どもの遺伝子の中に組み込まれているように感じます。それぞれの子どもの中にある、自ら育とうとする素晴らしい勢い、能力、エネルギーを使わせてもらわないと、もったいないからです。先生の脳は、1200~1400グラムしかありません。しかし、子ども40人の脳を全部集めると1000×40=40000グラムにもなります。この40人の脳が学びの集団としてのネットワークとしてつながると、到底、先生一人の能力では及びもつかない力を発揮します。さらにそれぞれの脳が自律的に学んでくれるのですから、その力を学びのネットワークの中で高め合ってくれると、先生が教えることは殆どないということになります。知のネットワーク、学び合う学級を作ると、先生の脳はネットワークの中の制御の役目を果たすことでよいということなのです。それに耐えうる能力を持つことが、先生の脳の役目です。子どもの持っている能力と行動力は計り知れない天才的なので、先生はとても大変な仕事であると言えます。先生が子どもに勝っているのは、子どもより多くの経験、体験をしているということです。読書、フィールドワーク、運動、表現、音楽など、自分が知り得たできるだけ極上の状況を作ってあげて、素晴らしい学習環境の中で能力を育ててあげることが、先生の仕事だということです。