本を読まない子どもの指導 2018年10月30日(火)
先日、大学院生の人たちとお話をする機会がありました。学生達が課題にしているのは、読書、問題行動、発問についてのことでした。私自身にもいい課題をいただいたと思い、考えてみたいと思います。
「本を読まない子どもにどのような指導をしていけばよいのか」ということについて、いろいろ考察をされているようです。私は、最近、学びはその子の個性だと思っています。必要性があれば読むようになり、必要性が感じられない時は読まないのでしょう。学習も個性であり、自己責任であると考えます。そのような人生を自分で選択しているのです。だからといって、学びの過程の子ども達を、何も指導しないで見ているだけでよいのではなく、本を読む環境、読みたくなるような本の紹介、読まなければならない状況を、先生として学習の中で創る必要があります。
他の人の生き方、考え方、多くの情報を知るには、少し前までは読書しかありませんでした。また、現在でも、一番簡単に多くの正確な情報を得るには読書が重要であることは変わりありません。しかし、最近は情報機器が発達してきているので、動画やホームページやリスニングからも学ぶことができます。また、いろいろな講演会や研修会などに積極的に参加して、読書以上に情報を得ることも可能です。読書だけが一番大切だということでもないということです。
本を読みたくなる環境については、学習の中で、学びの視野を広げる時に本が必要になる状況を作ることです。自ら発信しなければならない学習、独自学習を深く進める学習、自由研究のある学習を、いろいろな教科で取り組むことです。質の高い学習、子ども主体的な学習が、読書の必然性を創るのだと思います。多くの本や、資料を使わないと、やっていけない学習状況を創ることが大切です。最初は、図書館や図書室に行って本を借りてくるだけの子ども達も、友達が本を使って格好よく話を進めているのを見て、自分の借りてきた本からも発信したくなり、自ら読むようになるというのが、学習の中での読書の必然性だと思います。
図書室で学習をする時間を、必ず週に1,2時間、取り入れることを続けてきました。また、早く作業が終えた子どもから図書室で本を読んでもよいことにしたり、給食当番でない子ども達は、図書室で本を10分でも読む時間を取ったりしていました。担任の先生が、図書室によく出入りすることも大切です。
幼稚園の子ども達の様子を見ていると、本は読んでもらうものです。私も、今、幼稚園で子ども達と接しているのですが、お部屋にいる時、「きつね先生、この本、読んで」と、本を持ってきます。時々、読んであげます。わが子の成長を見ていても、同じお気に入りの本を読んでほしいと、何度も読まされました。次第に、こちらが読む前に、自分が覚えてしまっていて、読んでと言いながら自分でページを進めながら話をしていきます。このようなことから、子ども達に素敵な本を紹介することも大切だと思います。文字が読めるようになると、本屋によく連れて行きました。私が本を見ている間、子ども用の本置き場で、端からいろいろな本を読んでいました。近くの本屋さんが、読書体験を広げてくれました。
大学生に読書をしていますかと尋ねると、本をよく読んでいる学生は少ないようです。スマホばかりに時間を費やしています。大学の学習で、本を大量に読まなければ進められないような学習状況を作らないといけないと思います。大学の学習法は、先生が語るのではなく、また、懇切丁寧に教えるのではなく、読むべき本や資料からの発信を交流していく学習をしなければいけないのでしょう。孤独になって、自分の時間を本と対話しながら、学びを個人で進めるというのが、大学生の学習です。これは、小学生のころから身に付けていく学習法であるともいえます。