大学生の自由研究 2018年10月24日(水)
大学生の学習課題として取り組んでもらった自由研究は、基本的にはめんどくさいという気持ちが最初にあるようです。学習とは難しいことを与えられるもので、こんな小学生がするようなことを大学生になってしてどうするの、という感覚です。しかし、書き始めると案外面白く、さらにグループで発表すると調べたことがそれなりに自分のものになっていき、楽しくなってくるようです。大学生が書いた自由研究は、元教師の経験から見ると、当たり前のこと、あまりよく分からないもの、なぜそのようなテーマなのかなと思えるものもあります。しかし、取り組んでいる当人は、いろいろ悩み考えた結果、自分自身にとって現時点で一番興味のあることなので、自分の持てる能力の最大限で取り組んだ作品です。個人の感性を出し切って学びに向かう自由研究発表は、その人の個性や能力が現れているということです。これまで培ってきた文章力、表現力、絵画の力、感性が、競い合いの場に提出されます。発表の場では、自分自身の作品を他の人の作品と比べられるので、自分の取り組みを客観的に観察することもできます。一方的に学習を教え込まれている時は、案外批判的に、こんな学習意味ない、眠い、くだらないと、大学や高校の学習を見ていた学生ですが、自分の能力や感性を発揮しながら、学びを創る学習では、そんな思いはなくなります。これから先生になったら、自ら学ぶことと、教えることのバランスのある教育を、進めてほしいと思っています。
この自由研究も、大学生でもしばらく続けていくと、今回の最初の取り組みは、とても幼稚にみえるようになるかもしれません。スタートの現時点では、それなりに満足のいくもののようですが、さらに良いものを創ることができるようになります。成長する、気づく、分かるというのは、だんだん進歩するものなので、時間がかかります。一方、課題の方向性は個性的なものなので、今後それほど変わらないで、最初に取り組んだ方向性をさらに深めていくと思います。その深まりはおそらく小学生と同じ経過をたどると思われます。次第に、自由研究にふさわしい取り組み方、さらに人と違う個性的なテーマ、分かりやすい記述や表現の色使いなどの工夫もされていきます。掲示してもきれいな作品へとなっていくはずです。今回自由研究は、2回しか取り組まないので、深める所まで発展させることが出来ないのは少し残念ですが、教育の大切な方法として理解してもらいたいと思います。
これまで大学の学習で取り組んできた、日記や、「朝の元気調べ」や、「学習のめあてやふりかえり」の成長も、一緒です。「学習のふりかえり」に関しては、15回書き続けてもらい、goodやvery goodなどの、評価も付けて返却するので、ある程度成長するのですが、「朝の元気調べ」や日記は、取り組みを続けてもらっていないので一回だけの経験で終わっています。自由研究も2回だけなので、これらの取り組みを続けるとしたら、どのように成長していくかを想像してもらうしかありません。
こぎつね小の子ども達は、この日記と「朝の元気調べ」と自由研究発表を毎日続けていて、さらに、独自学習と、「めあてとふりかえり」、「おたずね」、自分達で学習を進める相互学習、を繰り返すことで「自律した学習力」を身に付けて成長していきます。そろそろ、15回の講義の、最初の5回の講義を通して、体験的に学びの基本的な取り組みを理解してきてもらっていると思います。
これから、生活科とはどのような学習をする教科なのかを、みんなで探究的に深めていきたいと思います。全員で生活科の情報を自由研究のように持ち寄って、低学年の学習、生活科の学習について、考えていきましょう。