大学生が学びの情報を発信できるか 2018年10月10日(水)
こぎつね小では、「朝の会」や「自由研究」にいろいろな情報を持ち込んできます。自然、本、町の中での発見、歴史、科学など、あらゆるところにアンテナを張り、情報を得て登校してきます。学ぶことが楽しく、生活を拡充することにとても興味と希望を持って取り組んでいます。
もし大学生も、こぎつね小の子ども達と同じように、身の回りの生活、歴史、文化、科学から自ら情報を得て、それを仲間たちと交流し続けると、本当にすごい学びになるのにと思います。各講義はテーマがあるので、そのテーマに関して読書や情報を持ち込み、それぞれ自由に話す時間であれば、懸命に学習し始めるのではないかなと思います。やはり大学は、教えすぎていると感じます。一方的に教えるから、学生は自ら学ばないのです。殆ど教えないで、賢さを引き出す、自分達で学びを探し出す技術を身に付けさせるようにしないといけないなと思います。今回の学習指導要領の改訂では、小学校の学習でも、知識ではなく、資質・能力を育てる事を目標としています。それなのに、大学では、本の内容、知識、考え方、覚え方も全て教えるから、大学生は自分から学ばなくなるのです。自分で行動して、各自で考えさせて、説明させて、自分達で学び合う学習にしていかないと、大学生の持っている資質・能力は、蓋をされたままになってしまっています。大学で学んで賢くなるということは、頭を使うということです。寝ている学生や、発信しない学生は、学んでいることにはならないのです。
学びというのは、みんな一緒に、同じペースで学ぶなんてありえないのです。例えば、英語の理解などに関しては、細かく進度別にし、多様性のある学び方をさせなければいけません。どのレベルの英語の本が読めるのかが自分で分かるようにならないと、英語学習の習得ができていないことと同じです。例えばアメリカの小学校低学年、小学校高学年、中学生、高校生、新聞、雑誌、文学、哲学など、英語で書かれた本のレベルがあるとします。辞書を使わないで、どのレベルの本を、自国の本を読むように読めるのかを知ることが大切です。同じように、日本の文学の理解も、教育の理解も、科学の理解も、読んでいる本によってグループ化ができ、さらに、それらから何を学んだかを自らレポートを書き、説明できるような学び方をしていくことが大切です。大学生の学びは自己責任です。やる気のない学生は、卒業の認定が出ないだけです。
グループで、その本について話し合いをするとき、上のレベルの先輩が混じって聞き役になったり、意見の整理をしたりすることも大切かもしれません。先輩が下のレベルのグループの話し合いに出る時は、義務として出席するか、または、アルバイトとして出席するかの何らかの制度を作り、その話し合いの進行を助けます。そこで学んだことは、それぞれの学生がレポートをその場で書き、先生が合格の判定をして、上のレベルへ上がっていくようにします。かつて英語のノバに行っていたことがあり、先生が合格を出せば一つ上のグループでレッスンを受けることができました。早い人は、どんどんレベルを上げていきます。そろばんも、お習字も、級や段があり、各自のペースで上がっていきます。公文式の学習も自分のレベルにあった学習を進めます。たぶん、大学の学びもこのように自由進度でよいのではないかと思います。見方、考え方は、どのレベルの本を読んで理解して話し合いができるか、実践できるか、表現できるかということになると思います。英語の会話、お習字の表現、そろばんの計算力も、レベル化、ステップ化ができています。おそらく、読書や表現力や理解力もレベル化、グループ化が、たぶん可能だと考えます。
こぎつね小では、独自学習を進めてから相互の学習を始めます。すごく高いレベルで学びに臨んでくる子どもがいます。そのような子どもと競い合うように、高いレベルで対応しながら学習を進める子どももいます。レベル別のグループ化はしていないのですが、それぞれの発信には、学びの深さ、能力の高さの違いが感じられます。そうなると、自分の興味に話し合いを合わさせるように、それぞれが積極的に発信していくことが大切になってきます。また、そこに、「おたずねをする」という学び方が必要になります。これは、かなり高度な対話の仕組みといえます。自分の土俵に引き込む、自分の分からないことを発信する、自分の疑問を解決しようとするなど、話し合いに切り込んで「おたずね」をすることで、自分の土俵で話し合いを進めてもらうようにします。話し合いは、格闘技のような状況であるとも言えます。自分のグレードを上げるために、意見を交換するのです。
本を3冊買いました。
『目からウロコの自然観察』唐沢孝一著 2018年4月25日 中公新書2485
『地図と地形で楽しむ大阪淀川歴史散歩』都市研究会著 2018年10月19日 洋泉社
『50歳からの孤独入門』斎藤孝著 2018年9月30日 朝日新書684
今、リュックに入っている本
『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ著 村上春樹訳 2008年2月25日 新潮社
『蝶の生活』シュナック著 岡田朝雄訳 1993年7月16日 岩波文庫