幼稚園児の自由研究   2018年10月3日(水)

 

 こぎつね小学校では、自由研究発表に力を入れています。きつねTが担任した1年生の学級では、毎日、自由研究発表の時間をとっていて、記録を振り返ると年間で1000点もの発表をしていました。その発表の内容は、1年生でもうすでに小学校高学年までのいろいろな学習内容の研究に及んでいました。学習は、このように自分から進んで学んでいくと、とても楽しいことがよくわかりました。

 また、現在進めている、幼小一貫教育を目指した「なかよし広場」の活動では、5歳、1・2年の3学年が縦割りで、自分達のテーマをもって、研究や活動を進めています。スケッチブックに記録を書いていきながら、活動の足跡が分かるようにしています。この広場の取り組みと同じように、スケッチブックスタイルで、家でも記録をしている5歳こぎつねが何人かいます。幼稚園での学び方が、生活の中でも実践されて、自由研究が進められています。

 自由研究発表は、独自学習の始まりにもあたります。こぎつね小学校の学習は、全て独自学習を進めてから、みんなの学習(相互学習)を始めます。どんな学習でも、少しだけまず個人で学習を始めることを大切にしています。その時、独自学習といっても、親が先に教え込んだり、塾に行かせて有利なスタートをさせたりすることではありません。初めての単元や課題に取り組む時、子どもがどのような方法でそれに向き合うのか、また、初めて知ることの喜びをどのように楽しむのかを大切にしています。先回りして親が教えたり、塾で教え込んだりするのなら、学校で教え込めばよいのです。しかし、こぎつね小学校では、いかなる新しい学習も、自ら取り組む「生きる力」を育てることを目指しています。個性的な思考力、創造力を育てようと考えています。最近の科学の発達により、世の中の変化は、すごいスピードで進んでいます。未来を生き抜く力、未来を開拓していく力を身に付けることが大切です。 

 大学生に、理科や生活科を教えているのですが、そこでも自由研究をしてもらいます。自分の得意なこと、また、自分が興味を持っていることを調べてきてグループで発表し、おたずねをしてもらったりします。大学生でも、自分の興味のあること、自分が調べたことを発表している顔は、学ばされている時の顔とはあきらかに違い、輝きを持って取り組んでいます。自信と喜びを持って学習に向かうことで、自ら学ぶ力を身に付けているようです。教育系の学生は、これから先生になって、子どもと学習を創っていくときの、一つの指針になっているように思います。

 幼稚園児も一緒です。なんでも先に教え込まれると、この学ぶことへの楽しさや、生き生きとした探究力を身に付けるチャンスを逃します。お友達がたぶん知らないことや、だれも取り組んでいないことに関して、調べたり、集めたり、本を読んだり、お出かけしたりして、それを記録すると、もうすでに立派な自由研究になっていると思います。記録の方法は大切です。最近は写真が簡単に使えるので、写真を撮って貼っていき、その横に少し書き込みをしていくだけで、記録ができていきます。まとめの感想(考察)を書けば、幼稚園児でも自由研究が可能です。まずは、大げさな「研究」などと考えずに、行った所で見つけたこと、山や公園で拾ったもの、海や川で見つけた生き物など、少しテーマを決めて記録することで、思い出が研究になっていきます。

 我が子を育てる時、共稼ぎだったので、日頃はどこへも連れて行ってあげられないので、夏や春には、1週間ほどの旅行に、信州や東北や九州や四国そして北海道へと出かけました。その時、子ども達は旅行ノートを持っていき、早めの夕食の後、ノートに一日の思い出を記録し、大人は、明日のコースの見どころを検討しました。こんな旅行を6年間ほど続けました。かなりあちこちの旅行記録ができました。当時は、すぐに写真のプリントができないので、現地で買った絵葉書を貼り込んで、旅行記を書いていました。入場券やパンフレットも大切な貼り込み資料です。今なら、車で出かける場合、プリンターを持っていき、宿舎でプリントアウトもできると思います。

 また、夏休みは毎年、生き物を飼育して、その飼育記録を研究にまとめていました。テントウムシやカタツムリやカエルなどを飼育したり、植物観察をしたりしました。

 日々の小さな発見を記録していくだけで、積み重なると研究になります。「こぎつねさんぽに出かけよう」のブログでも、こぎつね達が持ち込んでくれる生き物を写真で記録して、図鑑で名前を調べるだけで、3年も続くと、立派な自然観察の積み上げになってきています。自分にあった長続きのする、記録の方法を見つけることが大切です。親は、環境をつくるだけ、連れて行くだけでよいように思います。行く前の下調べは、一緒にするとよいでしょう。安全を見守り、その子の関わり方、体験、見方・考え方を育てる事がとても大切だと考えています。