個性的な子どもの育ち 2018年9月27日(木)
今日は、こぎつね幼稚園の年長の保護者に、10分だけ話をします。その時、保護者に子どもの個性的な育ちについて話ができるといいなあと思います。
京都大学を首席で卒業したお子さんの日記です。
■1年G君 1999年10月22日
今日、もう一回ドングリこうえんにいって、虫をとった。とれた虫のながさをはかってみると、アシグロツユムシは3㎝で、ミツギリゾウムシは1㎝だ。アシグロツユムシは、葉の下でガシャガシャとなく。ミツギリツユムシはおちばをたべる。
■3年G君 2001年11月13日
今日、学校に行くとき、ダイサギとコサギとアオサギを、富雄川で見つけました。コサギが魚をつかまえました。すると、アオサギがよってきて、けんかになりました。けれど、その魚は、コサギのものになっていました。
この賢さは、教えられるものではありません。京都大学総代で卒業するようなお子さんの子育ての一部に関わっていたことをとても嬉しく思います。
6年間担当した学年の子どもの、1年と6年の時の日記です。
1年 初日の日記です。
▼HD きょうはじめてしょうがっこうにいってたのしかったけど ちょっとだけきんちょうしちゃった。だけどいっぱいおともだちができてうれしかったです。
▼TM きょうは、おとうさんと、いっしょにいこままでいきました。そして、おかあさんを、むかえにいったらおかあさんがいませんでした。そして、バスのうんてんしゅさんがたすけてくれました。
▼YG かごにあながあいていたので みずがこぼれたのがおもしろかった。なぜあながあいていたのですか。
▼YY きょう、しょうがっこうでいろんなきょうしつをたんけんしたよ。Aちゃん(6年生)はやさしくて、すごくおせわがじょうずだったよ。
6年 最後の日記の記録です。
▼TM ケーブルカーを乗りついで、生駒山上まで行き、暗がり峠まで上り下りしながら4km歩きました。2回位休けいをしながら歩いたけど、全然つかれませんでした。朝ご飯をたくさん食べて体力モリモリにしておいたからだと思います。きつね先生は「奈良と大阪をつなぐ道です」とおっしゃっていたので、その事について調べ学習をしました。この道は古くから「暗がり峠奈良大阪街道」として、建設省日本の道100選に選定されていて、標高が455mあります。生駒をこえる峠には、ほかにもたくさんありますが、峠の標高が低いことや、大阪と奈良の最短キョリであることからもひんぱんに利用されているそうです。峠の途中に「弘法の水」という湧水があるときつね先生が言っていた通り、僕の調べた資料の中にも全く同じことが書いていました。カルシウムとマグネシウムを含む硬水という事もバッチリ書いてありました。でも、この水は、そのまま飲むと頭痛や下痢をしてしまうことがあるので、温めて飲むのがベストです。さすがきつね先生ベリーグッドだなあと思いました。僕のいえの近くにも登山出来る入口があるので、また暗がり峠に行ってみたいです。
子どもたちは、幼い頃から生意気に、個性的に育っていることが分かります。
「困った子ども」と言われている子どもが、実は私の宝物なのです。力を持て余していて、集団のさせられる活動が大嫌いな子ども達です。自分のしたいことがたくさんあって、それができなくなると、イライラしてくる子どもたちです。あまりよくない表現ですが、「勝手者」と言われてしまう子どもです。しかし、私の学級では、日記や理科やさんぽ教育(フィールドワーク)や劇などでは、そんな子たちが大活躍しました。もちろん学習でも面白い意見を出します。教師は、子どもの個性的成長を面白がることが大切な仕事です。「教育とは、個性や発想を育てること」が中心だからです。個性的な子どもの指導は、距離感が難しいのですが、「ちょっとへんと言われやすい勝手者」の子どもに尊敬される、「もっとへんな大人としての先生」が必要です。「ちょっと困った男子の束ね役が先生の仕事」です。それを見て、女子のしっかりした子どもたちは、先生を助けてくれます。「あんな男たちを束ねている先生」として、尊敬されます。
きつねTの育ち
子どものころからの趣味があります。石集め、町探検は、小学生の頃から大好きでした。結局それが、自分の人生の中心であって、教育の中心にもなり、今の生活もその通りです。
1年生の時、家の近くの大阪市内の長い商店街の端から端まで探検をしました。往復なので4キロほどあったと思います。まっすぐ歩けば、引き返すと戻ってこられる「歩く技術」を身に付けました。
3年生の時、3キロの道を往復しました。大和川を発見しました。
4年生の時、図書館で借りた天体の本を使って、100枚のレポート用紙にまとめを書いたことがあります。自分で学ぶことを発見しました。
5年生の時、母が文具店と本屋を始めて、その商品の展示をいろいろ工夫しました。きれいに並べるという性格は、このとき発揮したのだと思います。
6年生の時、10キロ離れた玉手山遊園地内の古墳まで歩いて行き、穴に入ろうとして、懐中電灯を持ってこなかったので、もう一度後日、懐中電灯を持って行きました。今考えると、往復20キロもある道を、よく2度も往復したなと思います。
最近は、奈良や大阪の街道は、ほぼ歩きました。日本の火山もあちこちかなり観察に行きました。それらの石が、家にたくさんあります。
こぎつね附属小学校の個性的な子どもの育ちを支えるしくみ
①日記
②朝の会(一人一言を毎日話す)
③自由研究の発表による学び合い
④独自学習・相互学習・さらなる独自学習の学習形態・・学習は自分が進める、自分達で学び合う
⑤多様な辞書・参考書・資料の持ち込みと活用
⑥子どもの進行による学級・学年・学校活動の組織(なかよし委員会)
⑦子どもの進行による学習活動(司会・板書を子どもに)
⑧すべての活動に「めあて・おたずね・ふりかえり」の充実
⑨ノート・レポート記録の徹底
⑩社会の教育力の活用(フィールドワークの充実)
子どもを、個性的に育てるには、子どものしたいことを伸ばす、子どもの話すことを聞く、あまり関わり過ぎない、環境は保護者が作る、ということでしょう。
親は関わり過ぎないで、将来を生き抜く力を身に付けた、個性的な子どもに育てましょう。