アクティブラーニングについて   2018年9月23日(日)

 

 これまでの中学校、高等学校の教育は、自分の体験からも、教え込み教育が多かったように思います。大学の教育も、多くは講義と言われてきたように、先生が話して、学生が書きとるという仕組みで成り立っています。最近、大学の授業を2年半してきて、多くの学生に経験した教育につい語ってもらうと、「静かに、ノートを書いているだけ、聞いているだけ」の授業が多いと言います。

 アクティブラーニングは、これまでの講義形式の学習から、日本の教育を、子どもが自ら学ぶ学習へと変えていこうとしています。「子どもが自ら学ぶ」には、行動を起こさないと学びは始まりません。黙って静かに教室に座っている学習スタイルでは、子どもが自ら学ぶことはできません。そこに、アクティブラーニングが必要になってきます。具体的には「主体的・対話的で深い学び」と表現されています。

 

<主体的な学び>

 学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる学び。

<対話的な学び>

 子ども同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えることを通じ、自己の考えを広げ深める学び。

<深い学び>

 習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したりすることに向かう学び。

 

 このアクティブラーニンを進めるにあたり、学習指導要領にはさらに次のようなことも書かれています。

 

ア、小・中学校では、これまでも授業改善がよくされてきている。

イ、「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の視点で、「資質・能力」を育む。

ウ、学習活動(言語活動、観察・実験、問題解決的な学習など)の質を向上。

エ、学習を見通し、振り返る場面をどこに設定するか、グループなどで対話する場面をどこに設定するか、児童生徒が考える場面と、教師が教える場面をどのように組み立てるか。

オ、各教科の本質的な意義である「見方・考え方」を大切にし、「どのような視点で物事を捉え、どのような考え方で思考していくのか」を身に付けさせ、学習や人生において「見方や考え方」を自在に働かせることができるようにする。

カ、基礎的、基本的な習得に課題がある場合には、その確実な習得を図ることを重視する。

 

 「子ども主体」という表記に踏み込んでいないのが、少し残念です。「教師と子どもが共に協働して学ぶ方向性を見出し、子どもが情報や資料を集めて、グループやペアで対話をしたり、社会や教師や先哲の考えと突き合わせたりしながら、子どもを中心に学びを進める事」と、言い切ってほしいなと思います。

 カリキュラムマネジメントについても、まとめてみます。「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けての授業改善について、学習指導要領にまとめられています。

 

学習指導要領の目指す目標を目指すために、学校において教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好循環を生み出す「カリキュラムマネジメント」の実現を図ること。次の6つの枠組みの改善が必要。

① 「何ができるようになるか」・・育成を目指す資質・能力

② 「何を学ぶか」・・教科を学ぶ意義と、教科等間・学校段階間のつながりを踏まえた教育課程の編成

③ 「どのように学ぶか」・・各教科等の指導計画の作成と実施、学習・指導の改善・充実

④ 「子供一人一人の発達をどのように支援するか」・・子どもの発達を踏まえた指導

⑤ 「何が身に付いたか」・・学習評価の改善

⑥ 「実施するために何が必要か」・・学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策

 

 「主体的・対話的で深い学び」は、基本的には教師の教育観が変革されるかどうかです。「教える」から、「子どもが自ら学ぶ学習」へと、どのようにすれば子どもを育てる事ができるのか、子どもの資質・能力を育むことができるのかということです。学習とは、子どもの資質(天性の能力)や、能力(環境によって育てられる力)を、更新していくことです。DNAに書かれた資質も、新しい環境に出合って書き換えていかないと生き残れません。また、生活や環境の変化に伴い必要な新しい能力をつけていかなければなりません。新しい時代に生きる資質と能力を、獲得していくことが学習ということです。

 そうなると、学習するということは、子ども達をその環境に置き、自らのDNA(資質)と突き合わせて、さらに更新させていかないと、学んだことにならないということです。知識ではなく、生きる力、生き残る力を発揮させたとき、少しDNAが書き替えられ進化するということになります。

 

『資質・能力と学びのメカニズム』(奈須正裕著)を買いました。「子供を優れた問題解決者にするために、教師は学びを生きて働くものにする」ということを中心に書かれています。こぎつね小学校の実践にも触れていて、アクティブラーニングが、大正時代から実践されていた学校だと、書いてくれています。