理科の見方・考え方について 2018年9月22日(土)
新しい学習指導要領の「資質・能力」について、前号(169号)では考えました。次は、その「資質・能力」を伸ばすには、どのように教育を進めるとよいのかについて、読み取っていきます。指導要領には、「生きる力」をより具体化し、教育課程全体を通して育成を目指す「資質・能力」について、次の三つの項目を掲げています。
ア、「何を理解しているか、なにができるか(生きて働く「知識・技能の習得」)」
イ、「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)
ウ、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)
これを受けて、理科の学習指導要領では、次の目標が設定されています。
「自然に親しみ、理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって観察、実験を行うことなどを通して、自然の事物・現象についての問題を科学的に解決するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。」
⑴ 自然の事物・現象についての理解を図り、観察、実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
⑵ 観察、実験などを行い、問題解決の力を養う。
⑶ 自然を愛する心情や、主体的に問題解決しようとする態度を養う。
理科では、資質・能力の育成に関して、「理科の見方・考え方を働かせ」とあり、「資質・能力」に合わせて、「見方・考え方」という言葉が出てきます。これらについて、整理してみました。
<見方>領域別
エネルギー・・量的・関係的な視点で捉える
粒子・・・・・質的・実体的な視点で捉える
生命・・・・・生命を多様性と共通性の視点で捉える
地球・・・・・地球や宇宙を時間的・空間的な視点で捉える
<考え方>学年別
・問題解決の過程を通じた学習活動の中で、比較、関係付けなどの方法を用いて、事象の中にある関連性や規則性、因果関係
等を見いだせるかを考えること
・「仮説を立てる」「観察・実験を行う」「法則化する」・・科学的な思考の在り方
3年・・比較する
4年・・関係付け
5年・・条件を制御する
6年・・多面的に考える
<観察・実験を通した問題解決力>とは
3年 問題を見出す
4年 予想や仮説
5年 解決の方法
6年 考えを作り出す
理科の教科書が編集されていく上で、理科には、4つの領域があり、それぞれの領域には<見方>があるということです。そして、学年別に、育てたい科学的な<考え方>のステップがあるということになります。さらに<観察・実験を通した問題解決>の習得としての順序性も、学年別に育つように編集していくようにします。理科教科書の縦と横の枠組みがあることが分かります。
次は、アクティブラーニングと、カリキュラム・マネジメントについて考えます。