校内研修会 2018年8月23日(木)
京都北部の舞鶴市にある小学校の校内研修会に呼んでもらいました。台風20号が近づいてきている日になってしまいました。朝は9時30分に舞鶴について、夕方6時のバスに乗って大阪へ帰る予定でしたが、午後3時発のバスで帰ることにしました。台風は、23日の夜中に関西を通り抜けるようなので、大阪が台風の暴風圏内に入るまでに帰り着く日程に変更しました。
校内研修は、予定より1時間半も短くなってしまったので、全体に話をする時間を少なくして、学年ごとに30分ずつ、学習指導案の検討が中心になりました。最初の全体会での話は、京都の大学で講義に使っていたレジメを示して、「子どもに付けたい力」について少しだけ話をしました。ちょうど、昨日、一昨日と、その時の学生の書いた「学習のふりかえり」をブログ(きつねTのこぎつねだより)にアップしたところなので、全体会のあと、ブログのページを見てもらうように言いました。
今年の京都の大学の講義の教育目標は、次のように示しました。
「学習は与えられるものではなく、自ら考え独自で学び、相互学習を通して高め合う場であることを体験的に習得し、教師になった時、児童自らが学び続ける学級の育成について考える。」
この教育目標に対する学生の到達度目標としては、理科のことで書いていますが、どの学習にも言える「教師としてつけたい力」を示しました。子ども主体の学習の習得を、学生に伝えました。
①子ども主体の学習について理解する。
②独自で学びを進める学習法について、その意義や可能性について理解する。
③独自学習を基に相互に学び合う学習について、その方法や記録について理解する。
④理科学習におけるノート記録・資料整理・レポートの作成について体験的に理解する。
⑤理科学習で身に付ける科学的な思考力について理解する。
全体会の15分ほどで、共通するこれからの指導の方向性を話しました。それから、学年ごとの話し合いを始めました。一学年30分、合計3時間30分、それぞれの学年の子ども達の自ら学ぶ力を付けるための指導について考えました。いろいろ話をしながら、次のようなことを常に話題にしていました。
<まず独自学習をさせる>
・聞き取りなどに行く前に、その対象の施設の事について、子どもが事前に学習をする。
・子どもが苦労をしながらでも、自分の生活の中に、学習するべき「もの・こと」を見つける。
・例えば動物園に行く前に、徹底的に調べてから、当日を迎える。
・すべてのあらゆる学習を始める前には、まず、子ども独自の事前の学習をさせる。
・テーマについて、まず大きな枠組みでの自由研究(独自学習1)をして、次に、少しテーマを絞った課題研究(独自学習2)をして、追究を深める相互学習へと高める。
<相互の学習をさせる>
・「朝の元気調べ」の時に、独自学習の内容をひとこと報告させる。
・「自由研究発表」として独自学習を報告し、おたずねをもらいながら、聞き合い、学び合いをする。
・グループで報告し合いを進めて、友達の取り組みや、学び方を学び合う。
・グループの相互学習から、全体の相互学習へと高めていき、課題、問題点を整理する。
・相互学習の時に持ち込まれたデータや資料や記録物は、みんなの財産として整理し、掲示する。
<全体での観察・調査・活動>
・観察や聞き取りや調査へ行く前に、多くの独自学習が終わっている。
・聞き取りに行く前には、資料を整え、おたずねを整理しておき、当日に備える。
・調査記録の方法をいろいろ工夫する。メモ記録、録音、影像記録、文章記録。
<活動をまとめる・報告する・表現する>
・文字や絵を使った報告をする。
・劇や音楽や物語を書いて報告する。
・作品を作って表現する。
・お礼状を書く。
以上のように、「子どもを育てるための学習過程」について、各学年の先生方と話し合いを進めました。共通して話していることは、次のようなことでした。
<学習で大切なこと>
・大きな課題に向けて、子ども一人ひとりが、独自に動き始める活動を大切に見守る。
・子ども一人ひとりが、それぞれなりに行動しはじめて、学び始める瞬間を大切にする。
・子どもが自分の意思、自分なりの工夫で動き始めたことを、褒めて、育てる。
・個性を深めることができるような、大きな枠組、幅の広いテーマの中で、活動を工夫させる。
・子どもの工夫の連続が学習の過程であり、その過程を確認することが、表現へとつながる。
・学習の過程が見えるような掲示や記録や整理の工夫は、教師が心を配る。
子どもを育てるには、「教えてはいけないこと」「方法をこまかく指定してはいけないこと」を常に念頭において、子どもが動き始める瞬間を見守り、その子らしさのある個性的な取り組みが出てきたらそれを認めて褒めて、さらに発展させるように支えるのが教師の役割であることを、確認しました。まずは、教師は、「どうしよう」「こまったねえ」と、本当に困っていることを子どもに共有してもらえたら、教師の最初の一番大切な役割は、果たすことが出来たと思います。
研究会の公開授業では、先生の技や取り組みのすごさが褒められるようではまだまだです。子どもの動き、子どもの発想、子ども達の学び合いのすごさが褒められると最高です。「先生は何をしていたのか、ちょっと分からなかったのですが、子ども達の学び合っている姿は美しいですね」と言われるような授業になってほしいなと、思いました。