詳しく書く 2018年4月21日(土)

 

 植物や昆虫の名前を調べていると、いろいろな特徴を的確に詳しく書いています。最近は、文章にしておくと、検索できるようになってきているので、当たり前のことでも詳しく言葉で書いておくことが大切だと思うようになりました。自分のブログの検索ができることが分かり、最近その便利さを少し感じ始めています。詳しく、文章で書いておくと、言葉で検索できて、自分の以前の資料とつながりが分かるようになります。

 大学の図書室の閉架式の倉庫は、種類別に並んでいません。検索をすることで、関係ある本を選び出すことができるようになっています。本は、購入順になっていて、パソコン上に仮想の整理された本棚ができているという時代です。見たい本をコンピュータに打ち込むと、その本が、自動的に手元に出てきます。物流も同じように、棚から自動的に取り出されてきて、梱包されて配送されるようになってきているようです。まだ、配送の部分では、人が車に乗って運んでいるのですが、近い将来自動運転という仕組みができてくると、さらにすごい時代になるのではないかと思います。

 言葉の検索だけでなく、写真の認証システムも発達してきています。私はまだ使えていませんが、テレビの情報では、同じ植物のいろいろな写真を何千枚かコンピュータに見せておくと、写真を示しただけで、何の植物かを、答えてくれるようになってきていると伝えていました。ネット上には、とてもたくさんの花や虫の写真が蓄積できてきているので、もうすぐ、子ども達でも普通に使えるようになるのでしょう。もうすでに可能なのかもしれません。写真を掲示して、「この花の名前は」とコンピュータに尋ねると答えてくれるのも、遠くない学校での学習場面です。さらに、コンピュータとリアルタイムに話をしながら、コンピュータが答えるということにもなるのでしょう。今、「アレクサ、〇〇して」と言う、コンピュータとの対話型のやり取りが進みつつあります。映画の中の、コンピュータに判断を尋ねながら、宇宙船を操縦している場面や、車と話しながら運転している場面が、実際に生活の中で実現されてきています。

 そうなると、算数の問題も、社会科の宿題も、子どもはコンピュータにプリントを見せながら答えてもらえるようになります。自分の頭、自分の記憶を使わなくなり、次なるこまった社会問題も起こってくるのかもしれません。「宿題をコンピュータにやってもらわない」というのが、これから先生が言わなければならない指導になってきそうです。役所などは、市民からのお尋ねに対して、コンピュータが答えるようにしていくと言っているのを聞きます。ホテルの受付も、実際にコンピュータがしています。もう、そのような時代になりつつあります。 

 英会話も、コンピュータとやりとりしながら、上達していく時代になっていくのでしょう。いま、生活の中での対話型のロボットが出てきていて、それが英語なら、英会話の練習になります。相手の英語レベルを判断しながら応答することは、すぐにできることでしょう。ネット上には、膨大な量の英語の文章の蓄積があります。その中から瞬時に検索しながら、話し言葉として応答するのですから、いくらでも対応できると思います。

 このような社会的なコンピュータの活用はどんどん進んでいます。さらに、自分のこれまで書いたり考えたりした情報の検索をいかに上手に使うかという所に焦点を当てていくことも、これからの時代に対応していく個人の学び方のポイントだと思います。他人からの情報は、ネットを通してたくさん手に入りますが、自分の情報の蓄積から話をしたり、物事を判断して進めたりすることも重要です。昨年から始めている、「きつねTのこぎつねだより」と、「こぎつねさんぽに出かけよう」のブログ記録は、自分自身の考えたことと、見たことのデータベースを作っていることになります。これまでに書いた20年間の文章も入っているので、かなりたくさんのデータベースです。自分の脳では覚えきれない量ですが、検索をかけて読んでみると、書いたこと、書いた状況が思い出されます。人の脳もすごい記憶力だと感じます。瞬時に思い出せないところを、コンピュータにたよりながら、新しい発信をしていくというのが、たぶんこれからの仕事の基本となっていくと思います。自分のデータベースを持っていないと、話をすることができない時代がくると思います。いつ、どこで、何を考えたのか、見たのか、したのかの記憶を、コンピュータにたよりながら、これからのことを考えることができます。これまでコンピュータの活用は、文章を書く、プレゼンを作る、それらを記録するという活用が中心でしたが、これからは、自分のこれまでの知識や考えや行動のすべてに検索ができるようになるということです。ブログの世界は凄いです。

 自分が感じていることは、世の中では、実際に進んでいることです。このようなデータベースの使い方をしている人が、多くいるはずです。コンビニやお弁当屋さんの商品発注は、これまでの経験を検索しながら、コンピュータに判断させて行うようです。教育にも、活用できると思いますが、まだ、多くの試行錯誤があると思います。

 自分の読書の記録も、ランダムでもブログに記録として入れておくと、後で、そこから引用できることになることが分かりました。手書きの文書は、なかなか調べることができません。場所もとります。どこに書いたかも忘れてしまいます。先日、これまでの紙の資料は、全て捨ててしまいました。110㎏分を焼却炉に持ち込み、燃やしてしまいました。しかし、パソコンの中には、自分が書いた文章は保存されているので、それらを整理してほぼ全てブログに入れてみました。これで、20年ほど前までの文書は、残すことができました。自分で検索してみると、書いた頃の情景などが思い出せます。

 これから書くデータも、ブログに入れていくようにしたいと思います。だれが見るということではないのですが、自分のための記録です。おそらく、晴歩雨読は将来的には、日記になっていくように思いますので、その時々に発見したことを文章にまとめて記録して、自分の記憶力の衰えをカバーしていくようになると考えます。写真のブログは、文章に書く前の資料になります。どちらもそれなりに意味があり、分けていてよかったなと思います。特に写真の記録を書く時は、例えば、「白い花」と入れると、自分のこれまで見た植物が検索できるようになります。そのためには、詳しく、当たり前の「白い花、小さい」とか、場所をきちんと書いておくようにすることが大切になってきます。自分のテータは、自信をもって発信できます。先日、「ヤナギバルイラソウを見つけたら大阪自然史博物館まで連絡をください」という発信がありました。昨年、記録をした記憶があったので、自分のブログに「ヤナギバルイラソウ」で検索をすると、昨年の9月4日に記録をしていました。これは、自分の写真、自分の記録ですので、自信をもって博物館に連絡を入れることができました。メールに写真を添付して、報告することができました。

 詳しく書くということは、とても難しいことです。歩きながらメモを取ることも難しいものです。一番大切なことは、書く時間、ノートに向かう時間、パソコンに向かう時間を確保するということなのでしょう。鶴見良行さんは、昼間はフィールドワークにあてて、毎日、夕方から夜は、一人でその日の記録を書くという研究生活をされていました。その記録を、日本に帰ってから、さらにコンピュータに打ち込みながら整理するようです。フィールドワークと同じぐらい、書く時間の確保が大切だということでしょう。そこで初めて、詳しく書くということが実現できます。「詳しく書くには、書く時間の確保。」