先生に必要な能力 2017年12月4日(月)

 

 新しい学習指導要領がすでに示されています。「主体的・対話的で深い学び」です。そこから、これからの先生に必要な能力は次のよう言われています。

 

① 教師の資質・能力は、教員養成に携わる大学教員の資質・能力と同じ構造を持つ。(実践と研究が融合した専門職)

② 教師は、生涯にわたって学び続ける高度専門職業人である。

③ 教員免許状は教師としての最低限の資質・能力の保証である。

④ 教師は、知識・技能を学問の体系に沿って教えるのではなく、子どもの主体的な働きに沿って再構成する能力が求められる。

⑤ 教師は、自己研鑽だけでは育たない協働を条件とした専門職である。学校内に学び合うコミュニティの構築を目指す。

 

 ①の大学教員と同じ資質・能力を持つというのは、大学教員が、学校現場の教師の資質・能力と同じ方向であることが大切だということなのでしょう。教職関係の大学教員も、子ども(大学生)を育てる視点を持ち、積極的に教えるという教育ではなく、自ら学ばせる視点で教育を進めなさいということです。学生が自ら考えるように、講座を進めることが大切です。子どもの資質能力を育てる若い教師たちに、学生を育てたいものです。

 ②の学び続ける人というのは、教師の学ぶ姿を見て、子どもも自ら学ぶということです。教師も、時代の変化に対応した新しい学びを取り込むようにしていかなければ、さらに未来を生きる子ども達の教育ができないのです。教師が日々新たな学びを体験している人は、子どもに先生自身の学びの体験を語ることができるし、さらに、生き生き追究しながら生活している先生の姿自体が、子どもが目指す一つの目標にもなります。

 ③の教員試験は、とりあえず通らないといけない課題です。暗記内容も多いと思いますが、広く教職関連の世界を知ること、教育法規、現在の教育の課題について考えを持つことは、教育を理解して語る上でとても大切なことです。半年ぐらいは集中して、教職試験の問題集に取り組んでください。この採用テストに通らないような人は、先生になってはいけません。また、なれません。暗記に関するテスト、模擬授業、実技、面接など、真剣に準備をして臨むことです。また、教育実習では、現場の子ども達とのかかわり方、話し方、学習の進め方などを深く学び、教員としての資質を身に付けることが大切です。

 ④はとても大切なことが述べられています。教えるのではなくて、子どもの主体的な学習を進め、子どもの発想を生かして、学習を構成していく力を持つことが大切だということです。学問を体系的に教えるのではなくて、子どもの発想を生かしながら構成していき、学びへと高めていく力が問われているのです。学生の頃から、自分で考えることを繰り返し、そこから学びのストーリーを引き出すことを、日頃から体験しておくようにしなければいけません。創造的な生き方が問われます。大学生が自由研究をして、それを発表し、学び合いながら、新たな学びの体系を構築していくような学び方です。

 ⑤は、自己の追究だけでなく、集団で学び合う能力も必要だということです。自分一人の世界で学び続けるだけでなく、協働して動き、みんなの力を集める方法論を身に付けるようにしなければいけません。民主的に関わり合う集団作りはかなり難しく、上下関係で支配する集団にならないような感性を持つ必要があります。

 

 以上、「子どもを教える教師」ではなく、「子どもの資質能力を育てる教師」になるように、学生達の学び方を変革していかなければなりません。大学の4年間で、学び続けることが大好きな教員を育てるように、大学教育は変容を求められています。

このような教師の育成を目指して、教員養成の大学は、教員志望の意欲の高い学生を受け入れて、創造的に育てることが期待されます。多様な経験や高い能力を持つ学生に育てる責任があります。そのため、大学は、教員養成カリキュラムの4年間の系統性の整理をし、学生が「主体的・対話的で深い学び」の視点からの指導力が向上できる場の整備をすすめなければなりません。実体験を通じて学校現場の楽しさ・難しさを体感できる学校インターンシップ等の導入も必要となってきます。少子化に伴い、教員需要は、全国的に減少傾向にあり、教員就職率は60%前後だと言われています。近年の社会環境等の大きな変化の中で、真の子どものための教育を進めることができる人材の育成が大切な時期にきていると、文科省、そして教職系大学の先生方は考えています。

 

 学習は、本当に教えないで成立するものでしょうか。スタートは、フィールドワークをしたり、教科書以外の資料や参考書を持ち込んだり、辞書で言葉を調べたり、自分で教科書をまとめたりすることから始めます。授業中は、子どもが進める学習のペースで、教科書を中心に学びを進め、間違いやすい子ども達からのおたずねの機会を増やし、算数問題などは黒板に出て問題を解き合い教え合い、間違いや分からないことを、みんなで学び合うようにさせます。クラスの全員が賢くなるための学習を進めます。例えば、クラスの全員で、テストに向かって平均点の目標を持たせます。前回は、学級の平均点が85点だったので、次回は、87点を目指すとかの目標を持ち、全員があと5点、点数を取るように勉強の精度を上げるように努力します。テストのための学習をしているのではないのですが、テストの点数を上げることは、学びの精度を上げる事なので大切です。学習に緊張感が出てきます。大事なことは、全員で平均点を上げるという目標を持つことです。平均点が90点を超すようになってくると、みんなの勉強の仕方が、一気に変わってきます。

 日々の学習は、自分たちで目標を持ち、新しい学習の方法が次々と提案をされてきて、取り組み方が広がります。算数も、参考書、算数事典などを持ち込み、より高度な学習にも取り組みます。理科も社会も国語も、いろいろな参考書があります。賢い子どもから、どんどん成長します。それに影響されて、これまであまり学習に集中できていなかった子どもも、いろいろな問題集に取り組み始めたり、参考書を買ってもらったりして、授業に持ち込むようになります。算数などは、基本的には教科書の問題を中心に進めるのですが、個人で学習を進める時間には、より高度な学習に取り組む子どもが増えてきて、家でも独自学習に取り組んでくる子どもも増えます。この時、現在のように塾に行っている子どもが多くいると、自分の気になる学習を進める時間がありません。また、塾で習っている、教え込まれていることにより、学校での学習意欲の低下があり、担任が学習に向かう気持ちを高めるのが難しくなります。塾に負けない授業、塾に負けない学習環境作り、子どもが自ら進める意欲的な学習が、塾に負けない学習法です。塾よりも学びの深い学習ができる場を学校の教師が提供できると、どんな賢い子どもも学校の学習をメインにしてくれます。塾は学校の学習を補完する存在となります。塾以上の学習、塾に負けない授業をするのは当然なのですが、それが本当にできる教師が、素晴らしい学びの学級を創ることができます。塾の先生に負けているようでは、学校の先生は務まりません。しかし、大手の進学塾は、強敵です。先生の学習力、教育力が必要です。