国とは何か  2016年9月1日(金)

 

▼8月16日(火)読売夕刊 日本国憲法「我々が書いた」

 バイデン米副大統領は15日、ペンシルベニア州の集会で、米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏(70歳)が日本の核保有を認める発言をしたことを巡り、「日本は我々が書いた憲法で核保有国になれないことを彼は理解していない。学校で習わなかったのか。」と批判した。また、バイデン氏は、自らが核兵器発射コードをその場でも携行していることを明らかにし、「トランプ氏に発射コードを知る資格はない」とも指摘した。

 

 この記事は、小さな取扱いでしたが、とても腹立たしい内容です。これまで、「憲法を守ろう、平和憲法の改悪反対」と、市民運動が叫んできたことはいったい何だったのかと、冷水をかけられた感じがします。アメリカは、日本のことを、「憲法を書いてやって、それを律儀に守っている国だ」「武力を持たせてはいけない国だ」と思っていることが分かりました。そして、アメリカの学校では、バイデン氏がいうように、「戦争敗戦国の取扱いとして、平和憲法を与えた」と、教えていることも分かりました。現在の日本は、しっかり敗戦国として扱われているということです。自分たちの憲法は、自分達で作らないといけないと、感じた瞬間でした。さらに、「オバマ大統領は、広島に来てくれて平和主義の人だ、トランプ氏は人種差別をする人だ」という関係図が、分からなくなってしまいます。トランプ氏の「自分の国は自分で守る」という発言は、日本の自立を考えての発言だったのかとも思ってしまいます。

 また一方、安倍総理は、オバマ大統領の「核の先制使用はしない」という発言に対して、それは言ってほしくないと申し入れたことの報道がありました。中国、北朝鮮の脅威に対する威嚇の力がなくなるからです。最近の中国の海洋進出、北朝鮮のミサイル発射に、日本独自でまったく対抗できないことを表しています。

 では、「沖縄で基地反対、平和憲法守れ、アメリカ軍出ていけ」を主張している人達は、実際、国際状況をどのように分析しているのでしょうか。トランプ氏は、アジアや中東の問題にかかわらないと言っています。沖縄の基地も縮小させるのでしょう。日本は自分で、自分の国を守れということだと考えられます。おそらく、日本の平和主義運動の人は、トランプ氏が当選することを、支持するのかもしれません。そして、平和運動の人たちと、トランプ氏と意見が合い、日本からアメリカ軍が出ていくことになるとします。しかし一方、アメリカがかつて書いてくれた「軍事力そして核は持たない」平和憲法を守るとなると、そこには矛盾がでてくることにもなります。

 現在の日本の憲法は、アメリカ軍が駐留している植民地としての状況でバランスが取れている憲法なので、トランプ氏の考えのようにアメリカ軍が出ていくとなると、それなりの自立した憲法が必要になるのではないかということが、先の新聞記事から読み取れますが、それは間違いなのでしょうか。

 また一方、琉球王国独立運動というのがあり、それに、中国の軍事力が加担すると、内乱状態に陥ることになりかねません。国を二分して、日本人同士が争う戦いになります。朝鮮半島と同じ状況が起こります。絶対に避けなければならないことです。ロシアとの関係もよくありません。北方領土問題は、どのようになるのでしょう。12月にプーチン氏が日本にくるように言っていますが、何を話し合うのでしょうか。

 こう見てくると、たくさんの疑問がでてきますが、結局は、自分の国は、自分で守るしかないということです。アメリカの力の陰りが、今の中国の進出です。アメリカの防波堤のところに日本があるということは確かです。しっかりしないといけません。

最近、中国からの観光客がたくさん来ています。中国語の案内も増えています。大学生もたくさん留学してきています。軍事力で領海を広げるのに合わせて、経済力で、日本の中に中国人を大勢送りこんでいます。福岡、大阪、そして山間部の観光地にたくさん中国人を送りこみ、中国の人が日本の土地勘を身に付けてきています。中国人が、国の隅々まで入り込み、土地の所有もはじめています。中国の上層部は、日本を中国化していく魂胆があるのではないかとも思われます。気を付けなければいけません。単なる観光だけでなく、中国企業、中国資本が、じわじわ入りこんできています。来日する中国人対応ということで、日本語を話せる中国人を企業が雇い、それにより、日本企業の中にも、中国人がどんどん入り込んできている状況もあります。戦争ではないので、平和的にいろいろなことが進んでいます。そして、日本が、憲法改正、軍隊を持つとなれば、一気に渡航禁止になるのは目に見えています。「中国からの観光客は、お金たくさん使うから、お得意様です。」なんてへらへらしていると、大変なことになるのかもしれません。年間、1000万人日本に来るとなると、日本人の一割になります。常に、国の上層部の魂胆を深く見て、周りの国の策略を多面的に考察しておかないと、小さな国は簡単に乗っ取られてしまうような気がします。共存共栄を考えてくれている平和主義の国であればよいのだけれど、そうではないように思われるから、そこが大切です。中国人一人ひとりは、たぶんいい人なのだと思いますが、国の方針や策略や野望が裏にあるかもしれません。中国という国の上層部の在り方は、これまでもどうだろうと思うことがたくさんあります。組織化された善人の国民は、すぐに組織の指揮系統に巻き込まれるので、上層部の思惑で、戦いにも向かってしまいます。

 私たちは身近に、昔からあった駅前商店街や市場が、シャッターの閉まった、さびれた状況になっているのを知っています。大資本のスーパーマーケットが近くに出来て、市場、商店街からお客さんを全て取り上げてしまっているからです。大資本が動くと、それまで歴史的に成立していた町のバランスが、一気に壊されて廃墟になってしまいます。そして、次にスーパーマーケット同士の戦いになり、スーパーマーケットも次第に巨大になり過ぎて成り立たなくなり、町全てが廃墟のようになってしまうということが、日本各地で見られます。同じように、観光客相手に動き過ぎると、少しの国際情勢の変化で、日本は駅前シャッター街になってしまうかもしれません。

 少し前、『ビーグル号航海記』を読むと、南米、そして北米、オーストラリア、アフリカの原住民達は、ヨーロッパ人の進んだ軍事力と科学力に、ひどい支配をされている状況が書かれていました。支配される人たちの状況は、とてもかわいそうでした。今回、南米で初めて行われたオリンピックは、ブラジル人?が本当に自立して運営した大会だったのでしょうか。ブラジルの現在の国の支配は、誰がどのようにしているのでしょうか。アマゾンの原生林はどうなっているのか、ブラジル人のためにオリンピックは成功したのでしょうか。最近は、南米には、武力では入りこんでいませんが、搾取する側、搾取される側という関係は、ダーウィンの時代から変わっていないのではないかとも思われます。日本が、戦後70年が過ぎていても、バイデン氏がいうような状況と同じかもしれません。

 国、そして社会関係というのは、軍事力、または、経済力によって、常に戦争状態にあると言えるのではないでしょうか。自分の国の事、自分の町の事、自分の子どもの事は、自分がしっかり考えないといけません。周りの思惑(軍事力、経済力、親切の笑顔)に乗せられていると、知らない間に大変なことになってしまっているということです。本当の、平和な国、平和な世界とは何かを考えないといけないと思いました。