先生になるということ 2017年7月11日(火)
先生になるということについて、今一度考えてみましょう。
子どもにとってよい先生とは、どうあればよいと思いますか。最初、アンケートを書いてもらった時、子どもに寄り添える、楽しい学級をつくる、優しい先生と書いていたと思います。このイメージは、とても大切ですが、仕事の本領域は、「学びを育てることができる先生」であることが一番だと思います。
では、どのようにすればよいのでしょうか。それは、先生が子どもの学びの成長と共に、何度でも学習を楽しめる人であることが大切だと私は思います。先生が持っている技術や知識を、うまく伝えるのが仕事ではありません。子どもの学ぶ姿と同じように、先生も学び続ける、学び直すことができるということです。先生自身が学ぶことが好きでない場合、子どもに学ぶことを伝えることはできませんね。常に新しいことに挑戦し、試行錯誤しながら、物事を捉えなおそうとする先生であってほしいのです。一緒に学ぶことの楽しさを伝えるのが先生の仕事です。
①子どもと競争しながら、先生も学び続けます。
②先生は一人の追究者として、自分の学びを続けます。
③小さな積み上げでも続けることは、他の人がまねのできない取り組みになっていきます。子どもは先生の学び続ける姿から、学びを続ける価値を学びます。
④子ども達は成長していき、先生を乗り越えて、それぞれの専門家としての自立をします。先生も、子どもに負けないように、教育の専門家になっていきます。
学ぶことが得意でない先生は、目先の教育の技術、楽しい授業の作り方、学力を上げるプリント学習法などを身に付けて、それを子どもとの学習の場で活用していきます。先生向けの講習会や勉強会に、東京まで行き高い会費を払って参加されている頑張る先生もいます。何も行動しない人よりは熱心だとは思いますが、人から教えられて、それをそのまま実行するだけでは、「子どもと学ぶ学習」を成長させることになりません。自分なら教科書の教材を、どのように深く探究していくかを、常に考え続けられる先生が、子どもの「分かる」「学ぶのが楽しい」「もっと学習をしたい」という気持ちを育てると思います。
寄り添うだけでは、教育にはなりません。先生としての、学び続ける姿、立ち居振る舞い、言葉使い、社会的信頼、熱意、教養、行動力などを高めていく必要があります。
幼稚園児を見ていていつも思うことは、「子どもは、大人が思っているより賢い」ということです。その芽をつぶさないように、そっと見守り、水をやり、たまに肥料を与えられるような先生でありたいのです。子どもの声を聴き、興味を持たせ、自分からの行動を育てます。幼稚園に登園してきた時、まず子どもの言いたい事を聞ける先生が、子どもを育てます。「早くカバンを置いて、お弁当を出してかごに入れて、ノートにシールを貼って、・・・・」と、先生の指示から始まると、子どもは何も言わなくなります。小学校の学習でも、先生が勝ってしまう授業(先生勝ちの授業)は、見た目はすっきり先生が授業を進めていても、子どもの頭がまったく動いていないという授業です。子どもが次々に話し、結果として学習は迷走してしまって先生が困っている授業(子ども勝ちの授業)は、実は、子どもの頭はしっかり動いているのです。
本来、植物は太陽の光と水と二酸化炭素で育ちます。子どもには、学びやすい環境、学び合う仲間、静かに考える時間、が必要です。子ども達は、教えると、覚えようとします。環境を与えて教えないと、考えようとします。極力教えないことが、究極の教育なのです。「何を教えないか、どこまで教えないか、どのように教えないか」、そこが教育の一番大切な要点です。「『ごんぎつね』の学習をどう進めましょうか」「幼虫の観察のテーマをあなたはどうするの」について、一人ひとりが考えることから、学習を始めることが大切です。しかし、「教えない」と保護者からクレームが来ます。校長先生から、教育委員会からも、指導されます。それらのクレームや指導を、すべて凌駕するような究極の教えない教育を目指してください。「学ぶことが楽しい学級づくり」「学びの工房の学級」を確立してください。
教えないためには、教える先生の倍以上の勉強が必要かもしれませんよ。
最近、「きつねTのこぎつねだより」というブログに、これまで、こぎつね小学校で書いたお便りを整理しながら掲載しています。今、50枚ほどいれました。全部入れると、800枚ほどになると思います。かなり時間はかかりそうなのですが、完成が楽しみです。ぜひ、見てくださいね。小学校の子ども達の学習の様子、先生と子どもとの学び合い、学級作り、いろいろな行事の在り方についてなど、参考になると思います。なお、以前より紹介していますが、現在勤めているこぎつね幼稚園の「自然担当の先生」としてのブログは、「こぎつねさんぽに出かけよう」です。幼稚園の子どもの姿が、すごいです。園児は実は賢いことに、日々驚かされています。全体でお遊戯や歌を歌っている時の姿はただの園児ですが、一人ひとりと話すと、物知りで、科学的で、記憶力がよくて、言葉や経験をどんどん習得しているのが怖い程です。日々、個性的に成長しています。この個性的、自立的成長力を、伸ばしてあげたいものです。
<前回の学習のふりかえり>
▼NZ 毎時間、こぎつねだよりというお便りをいただいていて、毎回内容が違うことに凄いなと感じていました。私はいつも授業の前日に、その前の週にやったことを復習するのですが、その時にお便りを読ませてもらっています。お便りを読むだけで復習になるし、内容が簡潔にまとめられていて、事後学習がしやすいものになっているので、振り返りがとてもしやすいです。今回のお便りでは、その書くことについて書かれており、「お便りは教師の学習の振り返りであり、めあてでもあり、学習計画に当たります」という文を見て、私は教師の学習の振り返りだけでなく、生徒(私たち)の振り返りにもなっているので、教師と生徒の相互学習になるのかなと感じます。おたよりを書くにあたって、同じ内容にならないようにするために、「その時期の出来事や、目の前の子どもの様子や学習活動、お出かけして見つけたことなど、現在進行形の出来事を中心に文章を組み込むと、同じおたよりになることはない」というのを読んで、「現在進行形の出来事を」というのに、「なるほど」と思いました。おたよりというのは、堅苦しい手紙ではなく、子ども達が「おもしろい」と思えるような内容にするのが、一番だと思います。なので、文を一文一文考えて構成するのではなくて、その時、感じた気持ち、肌で感じた事など素直に書く事が結果的に、子ども達の気持ちにも素直に入っていくので、面白く感じるのではないかと思いました。
子ども主体ですが、きっかけは教師が与えるものだと思います。その一つとしておたよりという手段があり、また、それは教師の独自学習にもつながります。お互いが学び合う場になります。おたよりに取り入れることを少し開けるだけで、得られることも変わってくると思うので、「自分が残しておきたいおたよりが教師の貴重な財産となっています。」というのがよくわかりました。自分も価値のあるお便りが書けるように、何らかの努力を始めてみようと思いました。
▼NI 毎回思うことですが、こぎつね小学校の授業での教師の役割は、子ども達が自分達で学びを深め、そこから子ども達同士の相互学習につながっていくサポートをすることだと感じました。教師が先頭に立つのではなく、後ろから見守ったり、時には隣で寄り添ったりしながら、子ども達がワクワクしながら学びを深めていく支援者であることが大事だと思います。
でも、その中で大切なのは、子ども達が興味、関心を持てる「テーマ」になるように導くことも大切だと感じました。全てを子ども達に任せて、自由にさせることではなく、学びの方向へ、更によい学びにつながるように促すことも必要だと思います。なぜ、そう思いかというと、こぎつね小学校以外の子ども達では、興味関心のあるものというと、ゲームやアニメ、漫画などに流されてしまう子どもがいると思うからです。学びにつながるものとは、どういうものか。それをしっかりと理解させたうえで、様々な個の学びにつなげ、さらには、そこから相互学習になるようにしていきたいと思いました。
私は、子ども達が自ら主体的に学ぶ環境作りのために、「日記」と「自由研究」を取り入れたいと思っています。私が発表した日記の中にも書いてありましたが、最初は子どもたちは面倒くさがるかもしれません。でも、そこで私がぶれずにそれを日常にしていくことで、子ども達にとって当たり前のことになり、「テーマ、題材さがし」をしていくようにつながると思います。それからは、興味関心をみつけ、発表→おたずね→更なる深い学び→相互学習になると思います。
▼OD 子ども主体の授業をどのように進めるかということについて、どの先生にも自分なりのやり方、工夫、意図、目的が感じられたが、中身は子ども達が主体的に取り組んでいる。その方法を何年もかけて自分なりの答えを見つけて、それだけ成功、失敗を繰りかえしたと考えると、すごい積み重ねだと思った。子ども達に取り組むまで、長い時間をかけて自分の力にするというのは、それ以上に先生が子ども達にどうすれば意欲的に取り組むかや、自主性を持たせるかを勉強し続けなければならないのではと思った。そのことと並行に、いろいろな教科も勉強しなければならないので、とても大変だろうなと、改めて大変さを感じた。その中で、自分自身には何ができるのか、何が必要なのかを考えるきっかけ、こんなことをしているのかという新しい発見、何が自分も今からつづけられるのか、そのようなものを見付けて継続する力を少しずつつけようと思いました。
▼TS 今回の3つの発表は、「しごと学習」ということで、しごとについて、子どもが調べ、それをどのように授業の形にしていくかというものでした。自分が調べた電気のしごと学習でも、他のしごとでも、子ども達自身が興味を持ち、調べることができる授業形態になっていたと思います。しかし、そこだけにとどまるのではなくて、そこからさらに深い内容を調べたり、皆で共有したりして、自分が興味を持ったことについては勿論、そのほかの事についても新しい知識を得ることができるため、こぎつね小学校の「しごと学習」は、本当にすごいものだなと感じました。
こぎつねだよりについても、初回の授業から毎回お便りをいただき、次回、実際に自分がお便りを書くといくことで、本当に自分ができるのかという不安があることは確かです。しかし、毎回お便りを見て来て、授業を受ける中で、どのように書けばいい文章が書けるのか、どのように文章を引用していけばいいのかを教わり、それを少しずつつかめているような気がするので、次回のお便り書く活動を頑張りたいと思います。
▼TY 10人の発表が終わりました。10人、ひとつひとつの発表内容の大切さを考えることができました。全てに共通していることは、子どもが主体的になって授業をすすめていることです。子ども達が主に決め、先生がアドバイスのみにすると、自分達で動き、人とのコミュニケーションを進め、役割などの責任感なども出てくるんじゃないかと思いました。全ての事例が、私たちの将来につながることです。今回学んだことをすこしでも役に立てたいです。子ども主体を大切にして、子どもに楽しいと思えるような授業を作っていきたいです。
お便りについては、私もウォーキングが好きで、去年夏には長野県に山登りに行きました。体を動かすことの大切さを教えてあげたいです。小学生の頃から、このようなお便りが好きでした、今になってもお便りをもらって、小、中、高とは全然内容の違う文章で、毎週たのしみです。振り返りもすごくしやすいです。
▼FN 今日の発表で思ったことは、コンピュータ学習を2年生でするのがびっくりしました。絵を描く事から始まり、6年生では自分達でホームページを作るまでするのがすごいと思いました。
子ども主体の授業をどのように進めるか、先生によってやり方が違ってたくさんの方法をすることができました。子ども主体って、幼稚園と似ているなと感じました。幼稚園は子どもがやりたいことをして、保育者は援助する。授業も子ども達が授業をし、先生がアドバイスを言う。先生は大変だけど、子ども達は、その方が、やりがいがあるのかなと思いました。(きつねT:そう。幼稚園の子どもの興味を大切にした、自由な活動からの学習の立ち上げが、その子を育てると思います。)
▼MS 子ども達が主体的に学習に取り組むには、子どもが授業者になって、授業をして、その中で何を調べるか、どこにインタビューに行くかなど、場所や日時を自分達で決められるのもすごく主体的で、学びたい意欲が出てくると思いました。そんな子ども達を支えるために、教師は子どもの意識を大切にしながら学習を支えていくと分かりました。(きつねT:子どもが、まず活動をして、その活動を高めていくと、それぞれに、個別の目的や目標が持てて、意欲が高まります。自分のレベルから、自分の理解からの出発をさせて、成長を褒めるようにするといいのですね。)
▼HT 「しごと学習」と「けいこ学習」を10人で調べて発表し、お互いに聞き合う大切さを学びました。これまでの授業で、全部が「子ども主体」となり、自分達で学びを深めていく姿勢がとても強く印象に残りました。子ども達が生き生き、伸び伸び成長していけるような環境を作ることが大切だと思いました。段階を踏んで、ステップアップしていけるような可能性を広げたいと思います。親や先生の力も借りつつ、しかし、「子どもが主体」ということは変えず、社会で生きていける力を小学校で養う事で、中学校はそれからの学びへと繋がっていくのかなと思いました。(きつねT:生きる力をつけるということは、自ら学び、自ら考える力だと思います。教えて、覚える力ではないですね。)
▼NO こぎつねだよりを読み、思ったことは「お便りを書き続けるためには、常に本を買って読み、精力的にお出かけをし、子どもの日記や学習ノートから素敵な成長の姿を書き出すことが大切」という文のところです。私はあまり本を読まないので、常には難しいけれど、本を読むようにしたいと思いました。また、子どもの成長の姿もしっかり見ることができるようにして、お便りを書くようにしたいと思います。
今回の発表を聞いて、それぞれの学習は、子どもを主体として教師はサポートしなくてはいけないんだと思いました。(きつねT:教師のサポートは、日記の返事、ノートへのコメント、授業の最後に3人ぐらいの子どもを取り上げてほめる事、などがあります。読書については、文学でも推理小説でも、また、新書、文庫、単行本、なんでもいいと思います。学生時代は、乱読ですよ。)
▼MM 子ども主体の授業を、どのように進めているのかについて考えました。まず、子どもの興味、関心、疑問から授業が生まれていた。それをどのように対応することによって、変わっていくので、先生の対応がとても大切だと思います。子ども達が主体的に活動するためには、自分で体験し、考え、調べ、発表し、質問することによって、新しい疑問や発見が生まれてきます。そのためには、先生がそのような場所や時間などを用意しなければなりません。そこで、授業計画をしっかり立てて、子ども達の学習の障害にならないように、する必要があります。(きつねT:Mさんが書いたことはとても大切なことです。まず自分の興味から始め、自分で体験し、さらに、発表して、新たな疑問が生まれる。これは、今回の講義では、まず、木下竹次の理論から始まり、次は、きつねTの授業の実際、実践の具体を聞き、自分達で子どもの日記や自由研究を見て考えたり感想を述べ合ったりし、さらに今度は実際に、自分が自由研究発表と授業研究をすすめ、最後、お便りを書く学習の流れでした。主体的授業を作る体験をしてもらったことになっていますか。教職入門になりましたか。)
▼きつねT ふりかえりが、とっても素晴らしい内容になってきています。講座の終わりに近づき、教育観の成長が素晴らしいので、コンピュータで文章を打っていても、うれしくなってきます。子どもを大切にし、子どもを見守り育てる先生に、育っています。今後は、今から教養を高める取り組みをしながら、子どもと一緒に成長できる先生になれるといいですね。
実に素晴らしい学習のふりかえりに、感心させられます。子ども達との学習も、このように、お便りを書きながら、育てていくのです。成長を見える形にし、残していくことが大切です。