おたよりを書くこと 2017年7月4日(火)
お便りを書くことについてまとめてみようと思います。
お便りは、教師の学習の振り返りであり、目当てでもあり、学習計画に当たります。また、教師の独自学習であり、日記でもあるのです。さらに、これまでの「こぎつねだより」を見れば分かるように、授業記録であり、指導の場であり、学び合う場でもあるともいえます。教師が、お便りを家で書き続けていくことにより、教師自身が教育を振り返りながら、目の前にはいない子ども達(学生たち)と文字を通して対話をしながら、さらなる学習を構想していきます。
これまで、私は小学校教師の新任の頃から、ずっとお便りを書き続けてきました。学級だより、学年だより、理科だより、学校だより(副校長)、大学の講義だよりなど、いろいろな立場で書き続けてきたお便りは、全て残しています。書いている内容が同じにならないようにするためには、その時期の出来事や、目の前の子どもの様子や学習活動、お出かけして見つけたことなど、現在進行形の出来事を中心に文章に組み込むと、以前のお便りと一緒になることはありません。常に身の回りの新しい状況を取り込み、自分の頭と生活を更新しながら、週一回のお便りの文章に取り組むことで、子どもや保護者に、「また同じことを書いているわ」と言われないようにします。お便りを書き続けるためには、常に本を買って読み、精力的にお出かけをし、子どもの日記や学習ノートから素敵な成長の姿を書き出すことが大切です。
このように考えると、「お便りを書く」ということは、木下竹次がいう「生活即学習、学習即生活」の精神、生活と学習の癒合を目指してきたのではないかと思います。
忙しい毎日ですので、教職を続けながら日記を書くことは難しいのですが、お便りは、その当時の子どもと過ごした日記になっています。自分の生活、読んだ本、お出かけしたことも書き入れたお便りは、授業の進行状況、子ども達の学びの姿の記録であり、教師の貴重な財産となっています。日記を書く時間があれば、子ども達や保護者に読んでいただけるお便りを書くようにします。
学級便りは、子どもと保護者と、少なくとも百人ぐらいの人が読んでくれます。それらの人たちの顔を思い浮かべながら書きます。学年だよりは、クラス数にもよるのですが、4クラスもあれば数百人が読者です。さらに、副校長便り(学校だより)ともなると、もしかしたら千人以上もの人が読むことになります。興味を持って読んでもらえる文章、責任のある文章、教育者としての発信を書き続けることが大切です。この「こぎつねだより」は、現在読者は10人ですが、講義録としてまとめると今後読者が増えます。
お便りを書くことは、教師の大切な仕事ですが、そのお便りを書くことが出来るようになるには、どうすればよいのでしょう。私は、大学生時代の読書量だと思います。しっかり本を読んでおき、常に新しい文章を自分の頭の中に蓄積させていくことです。そして、もう一つは、機会あるごとに積極的に考えを文章に表現していくことです。子どもにとっても、保護者にとっても、価値のあるお便りが書けるように、何らかの努力を始めましょう。
次の目次は、3年間の理科専科教諭時代に書いたお便りの一覧です。週一回、月曜日に配布するお便りで、3年~6の8クラスの子ども達に配布しました。保護者も、毎週の理科便りを楽しみしてくれていました。このページのように、一つの課題をA4一枚でまとめ、二つの課題を載せました。
まほろば科学館だより 目次(2005年4月~2008年3月) こぎつね小学校
050411-001 ・科学の種を育てよう ・きつね先生の科学館が始まるよ
050418-002 ・科学でじっくり考えよう ・氷河期と冷凍マンモス
050425-003 ・小説のように書く記録 ・覚えよう 春の野原の植物
050509-004 ・理科学習でつける力 ・ツバメの観察をしよう
050516-005 ・辞書を使いこなしましょう ・私の木を一年間観察しよう
050523-006 ・理科学習の生活への広がり ・メダカを育てよう
050530-007 ・心の糸をつなぐ ・チョウの幼虫を育ててみて
050901-008 ・理科教育に復帰します ・台風の動きや特徴を調べる
050905-009 ・現象を論理的に捉える力 ・ちょっと難しい月の観察
050912-010 ・白浜での臨海合宿 ・曽爾高原で野外観察
050920-011 ・今森光彦さんの講演会 ・生活の中の酸性・アルカリ性
050926-012 ・理科の学習環境の管理 ・季節日記
051003-013 ・理科好きを育てる秘訣 ・天体観測
051011-014 ・未来教室の姿 ・白浜磯観察
051018-015 ・科学関係の読書 ・白亜紀の終焉 K/T境界
051024-016 ・野外観察の楽しさ ・東吉野研究 参加報告
051031-017 ・理科の教科書の編纂 ・太陽・星の観測 3・4年生
051107-018 ・けいこ学習 ・秋吉台石灰岩
051114-019 ・学びを深い所で捉える力 ・6年間のおたより 目次一覧
051121-020 ・共に学び合う学習に ・資料持ち込み学習 大阪層群
051128-021 ・表とグラフで記録 ・大和川の学習
051205-022 ・岩石標本を作る ・東京大学総合研究博物館
051212-023 ・理科の独自、相互、独自の学習 ・独自・相互の学習の実際
051219-024 ・問題解決能力の大切さ ・冬休みの理科研究
060110-025 ・今年の理科教育を考える ・発光ダイオード LED
060116-026 ・大学の改革 ・発光ダイオード工作の裏話
060123-027 ・色素増感光電池 ・乾電池・豆電球
060130-028 ・冬休みの作品掲示 ・とても難しい溶解度の実験
060206-029 ・独自・相互・独自学習の系統性 ・LEDの学習 4年生
060213-030 ・学習研究発表会 ・結晶を顕微鏡で見る
060220-031 ・発光ダイオード(LED)の教材化 ・発光ダイオードを使った工作
060227-032 ・試行錯誤のある研究報告を書こう ・季節日記の振り返り
060306-033 ・中央教育審議会答申 ・科学するきっかけ
060410-034 ・最初の一歩 ・私の師匠
060417-035 ・資料からの学びを大切に ・理科新入生
060424-036 ・意欲を持って ・ノートを書く
060428-037 ・春のレポートを書こう ・川の観察
060509-038 ・理科における読解力 ・標本の整理
060515-039 ・自ら学ぶ力 ・暗峠
060522-040 ・命の学習 ・季節日記
060529-041 ・植物を育てながら ・生物を育てる
060605-042 ・研究集会 ・学習を創る
060612-043 ・古いもの ・自由研究「珍しもの好き」に薦めるヒント
060619-044 ・ファーブル昆虫記 ・研究集会協議会
060626-045 ・お茶の水女子大との交流 ・太陽高度の観測
060703-046 ・幼・小・中等連携研究 ・小石川植物園
060710-047 ・夏休みは「さんぽ」しよう ・臨海合宿 磯観察と標本
060901-048 ・ソニーの研究所見学 ・奈良盆地周辺の火山?
060904-049 ・フィンランドの教科書 ・「伸びて行く」
060911-050 ・振り返りと次の計画 ・夏の理科生活日記 3星
060919-051 ・幼小交流学習 ・季節日記 4年生
060925-052 ・「考察」をしっかり書く ・まほろば科学館 1号~51号
061002-053 ・なかよし「グループ清掃」 ・「おたずね」と「めあて」
061010-054 ・子どもを記録する ・独自学習を進める子ども
061017-055 ・理科全国最優秀校の見学 ・いのちのたび博物館見学
061023-056 ・自然から学びを引き出す ・星の観測 4年星組
061030-057 ・少人数教育 ・誤概念に学ぶ 3年温度調べ
061106-058 ・芦生原生林 ・観察レポートの掲示
061113-059 ・春宵十話 ・発光ダイオードの購入(3,4年)
061120-060 ・さんぽ教育 ・まほろば村こぎつね小学校
061127-061 ・理科の学習法 ・こぎつね小学校 てんびん実験
061204-062 ・博物館で資料集め ・理科での表現力
061211-063 ・赤ちゃんが育つ栄養 ・理科での読解力
061218-064 ・冬休みの計画 ・まほろば村こぎつね小学校 第3話 畑しごと
070109-065 ・子どもの時間 ・「学習への重い?」辞書・事典・参考書
070115-066 ・大正時代の木下竹次先生 ・「冬休みの課題」独自学習の取り組み
070122-067 ・新聞の切り抜き資料 ・ぴさがた?読解力 理科の先生の取り組み
070129-068 ・ふりこ、衝突の実験の深化 ・LED工作の感想
070205-069 ・学習研究連盟山口集会 ・5年生の実験から
070213-070 ・研究開発学校一年目の発表 ・省エネ学習 3年生
070219-071 ・春一番 ・季節日記 冬 4年生
070226-072 ・学び合う体 ・スキー合宿 4年生の学習法
070305-073 ・理科資料集めの旅 ・こぎつね村まほろば小学校 温暖化対策
070312-074 ・季節を感じる心 ・季節日記と親子の交流
070319-075 ・どこでも理科 ・きしわだ自然資料館
070409-076 ・理科専科3年目 ・四国旅行
070416-077 ・ノート指導 ・里山塾
070423-078 ・専科の学習法 ・季節日記の一年 昨年の4年生
070507-079 ・神仏習合と自然観 ・子どものノート 話すように書く力
070514-080 ・学習の環境を整える ・酸・アルカリの独自学習
070521-081 ・生命の育つ環境 ・学習の記録より 4年星組
070528-082 ・大阪市立自然史博物館 ・生駒山
070604-083 ・京都教育大学での講義 ・生活の中の酸・アルカリ
070611-084 ・ホタル ・理科の教育(東洋館)7月号に掲載
070618-085 ・マグロ ・日々のこと
070625-086 ・粘菌 ・夏に向けて
070702-087 ・季節の風景 ・五木寛之さん
070709-088 ・教育の基礎基本? ・書く力
070717-089 ・和の心 ・行動の夏休みに
070903-090 ・暑かった夏休み ・火山灰の研究
070910-091 ・自然を読む読解力 ・雲の観察
070918-092 ・奈良大阪の大地をさぐる ・季節日記(月の観察)
070925-093 ・デジタル資料化 ・寺田寅彦
071001-094 ・地形図 ・秋の学習園
071009-095 ・太陽・月の動きの考察 ・星空の観察
071016-096 ・子ども科学館HP ・里山写真展
071022-097 ・朝の会 ・理科室のお作法 学習研究誌10月号より
071029-098 ・島根大学附属学校へ ・島根の自然
071105-099 ・フェルマーの最終定理 ・発電と充電
071113-100 ・理科のおたより ・1~100号の目次
071119-101 ・なんでやろうね ・子どもに学ぶ
071126-102 ・子どもの学びが育つ筋道 ・清らかな厭世
071203-103 ・学習の中の楽しさについて ・温暖化問題
071211-104 ・妥当性を探る学習 ・東京学芸大学
071217-105 ・冬休みはどうする ・冬休みの宿題
080108-106 ・日本の文化を伝える ・富士山噴火展
080115-107 ・理科教育についての議論 ・幼小交流報告
080122-108 ・子どものよさを見つける研究会 ・九州の火山めぐり
080128-109 ・学校の品格 ・日々発見
080204-110 ・思い続けること ・三日間の研修
080212-111 ・季節日記を読む ・S君の季節日記
080218-112 ・伸びて行く ・研究発表会
080225-113 ・奈良の学習法の秘密 ・中谷宇吉郎博士 雪の結晶の研究
080303-114 ・理科ノートを綴じる ・まほろば理科教室卒業生
080313-115 ・先生も学ぶ ・季節日記から考えたこと
080317-116 ・理科便りの3年間 ・理科専科としての振り返り