新しい学習の在り方 201766日(火)

 

先日、こぎつね小学校を卒業して、こぎつね中学校へ進学している子どもと駅でたまたま会った時、「中学校の学習はどうですか」とたずねました。「先生が話して、質問して、一人が答えて次に進むというような学習です」と、彼は答えていました。「静かに聞く」というのが基本で、まったくアクティブではないということです。小学校の時は、係が司会進行をして、板書をして、互いの学びを持ち寄り深めていた学習でしたが、子ども自身の頭があまり動かず、静かに注入するための学習になっているようです。現在通っている幼稚園の子ども達もそうですが、動きながら学ぶことはとても大切です。手や足の動きと連動して脳を使うことで、子どもの学びは大きく成長していくように感じます。

 

新しい授業の在り方(アクティブな学習)について考えてみましょう。

①「朝の元気調べのひとこと発表」、「自由研究・課題研究の発表とおたずね」は、教師中心の授業から、子どもの生活中心の学習へと、大きく転換しています。

②子どもの独自学習から始めて、相互学習へと進む学び方も、子どもを中心にした学習にしていく基本的な方法です。

③新たな問題に対して、みんなが意見を出し合い、話し合いの中で探究を深める学習は、子ども中心で進めたいものです。会社の企画会議にあたるのでしょうか。各教科の学習は、このような探究的な学習形式で進めます。

 ア 物を多面的に分析して、問題点、課題を見出し、解決の方法を考える。

 イ 比較をすることによって、違いと共通点を見出し、分類、関係などの視点で深く考える。

 ウ 企画―実行―ふりかえり 再企画―実行―ふりかえり をくり返し、次第に高めていく。

 

 社会に出ると、だれも教えてくれないというのが、当たり前の世界です。特に、最先端のこと、未知のこと、新たな企画は、自分たちが考えて進めるしかありません。また、日々の家庭の生活もその通りで、立ち止まって考えたり、見通しを持ったり、予想をしたり、計画を立てたりして、自分で考えて行動しています。考えること、判断すること、工夫をすること、見通しのある行動をすることができないと、仕事でも生活でも、創造的な生き方ができません。教師は、子ども達のお手本になる必要があります。自分なりのこだわりのある生き方を、子どもと共有できればいいと思います。

 

■教師とは

 何のために教師になるか、自分は教師になって子ども達のために何ができるのか、について考えないといけません。

担任となる教師は、少なくとも、子ども35人+保護者2人×35+祖父母4人×35=245人の人達が見つめています。それらの人たちの中には、自分よりも能力がある人、賢い人、社会的な成功者もたくさんおられます。そのような状況で、自分は託された子ども達のために何ができるのかということです。そのような賢い保護者に対して、自分の教師としての存在価値を出せるのは、教育に関しては、保護者よりもたくさん教育について勉強をしていることです。普通のお兄さん、お姉さんには、子どもを預けることはできません。「教育者」という、肩書を持つ人になる必要があります。そこで、「今、何をすべきか」と、いうことです。金も時間もかかりますが、自分のこだわりのある行動や活動をしていくことが大切です。

さらに、先生になってからも、学校の組織に属して研修を深めて、新しい教育、基礎基本の教育、心の教育、専門的な教育など、日々学び続けることが、子ども達の将来を担う教師の責任でもあります。学級の子ども達の貴重な1年間を、自分の教育に預けられるのですから、伸びるのも、賢くなるのも、先生次第です。失敗はありえません。学年の先生、学校の先輩の先生たちと力を合わせて、自分の学級の子ども達の将来のために、なすべきことを進めなければなりません。

 

教師としてのこだわりのある生活とは、次のように思います。

①常に多様な本を読み続けている。

②博物館、資料館、文学館、遺跡史跡へ行く。

③文化、芸術、スポーツなどの祭典に興味を持つ。

④世界の最先端の動きを知る。

⑤研修会、講演会、公開学習、研究会などに参加する。

⑥各地を歩き地域を学ぶ。

⑦一つの事にこだわりを持ち追究を深める。

 

教師としての子どもへの対応は、その人の生き方にも関係します。

①子どもの生活を知る。

②子どもに優しく対応する。

③一人一人の学びの状況を捉える。

④保護者と共にその子の学びを創る。

⑤多様な活動場を準備する。

⑥およたりを書き、子ども、保護者と、教育の事実を共有する。

⑦子どもの声をしっかり聞く。

 

<前回の学習のふりかえり>

NZ・・小学1年生で、あれだけの内容が詰まった劇ができて、なおかつ、その脚本や構成も子ども達が主体でつくりあげられるというのは、「日ごろの活動の成果」なんだなと思いました。劇の形は、普段やっている発表とおたずねの形式をそのまま劇にしていて、見る側は「すごいな」と感心しましたが子ども達からすれば毎日の活動をしているようなものなので、とても自信を持っていて、堂々としています。一人ひとりの成長がにじみ出ているなと思いました。あれだけの劇を完成させられれば、子ども達の力はまだまだ伸びると思うし、自分もそのように子ども達を成長させてあげられるようになりたいと思いました。

MM・・深い学びを高めるために大切なことは、こぎつねだよりに書いているように、黒板をきれいに写すことに時間がとられ、授業の内容に全然入れなかったので、自分も、子ども達に自分の書式を求めて書き進めさせて、常にバージョンアップをして欲しいと思いました。深い学びには、おたずねをして学ぶことがよいと思いました。自分の発言をするときは、自分が知りたい意思を持ち、追究力があがるので、良いと思いました。

OD・・アクティブラーニングは、今まで自分が思っていた教師像や、自分がこれまで受けてきた授業とは、すごく反対の考え方というのか、一つひとつの事に教師がどう接して、子どもをどう主体的な方向に持って行くのかがとても大事です。教師が主体的な環境とは違い、子どもがみんな生き生きしているように見えました。

FN・・自分が思っていた劇と違った。行ったことを発表する劇もあるんだなと思いました。さんぽに行ったことをまとめて、絵を描いたり、自分達でセリフを決めたりするのが、凄いなと思いました。体育館であのように大きな声で発表することができるのが、凄いと思いました。劇で、自由研究の事や、朝の会のおたずねなどが、全部入っていると思いました。「深い学び」は、「おたずねをして学びをつなぐ力が大切」というのが、いい言葉だなと思いました。自分の意見を言うことで、学びをつなぐ力がつくのは、その通りだなと思います。

TS・・さんぽ学習では、自然と親しんだり、地域のことをよく知ったり、地域の人とふれあいの中でおたずねをする力を楽しみながら身に付けることができたりする。自由研究により、メモをとる力、発表する力、おたずねをする力を身に付けることができる。さんぽで学んだことを劇づくりで生かし、自分達で台詞を考え、自分達で劇を創っていくことで、表現力、創造力が身に付いていく。こうした生徒が自発的に進めていく学習の中で、子ども達は自らを高めて、いろいろな学習に生かすことができるようになっていくのだろうなと思いました。生活の中で、どんな小さなことからも成長の糧を見つけ出していける子どもになるのだろうと思いました。

HT・・さんぽは、1年生から6年生まで、学校の近くや電車に乗って出かけることで、普段とは違った環境の中で学習するので、子ども達は気合が入って、新たな発見と知識とがつながっていくのだなと思いました。お寺や観光地、文化のある奈良を隅々まで有効に活用しているなと思いました。そして、さんぽに行ったときの出来事を、実際に劇で表現することによって、子ども達の頭の中に強く残ると思いました。場面も自分達で設定し、台詞も自分達で考えていて、びっくりしました。大きな声ではきはき発表していて、普段から人前でしゃべる子ども達のありのままの姿が現れていました。劇の中には、自由研究も入っているので、このようにつながっているんだなと思いました。

MS・・遠足や社会見学以外に、こんなにも校外に出かける機会があり、そこでおたずねをして奈良の知識を深め、楽しそうな学習だと思いました。さんぽに行ったところの良さを、子どもたちが劇に使う道具や台詞を考え、自由研究も入れていて、学習とつながりのある劇だなと思いました。セリフも大きな声でしっかり発表できていて、内容も少し専門的だったりしてとても1年生とは思えない劇でびっくりしました。

NO・・子ども達が学習力をつけるためには、「教えない」「教師が先頭に出ない」ということが大切だと知り、子ども達が考え、学んでいくことは大事だと思いました。普通、教師は、子どもに教えると考えていたので、教師が見守ることも大事だと分かりました。さんぽから劇につないで、調べることをすると、子ども達自身の勉強になり、とてもいい流れだと思いました。(きつねT:「教えない、教師が先頭に出ない」ために、教師は何をすべきかを考えないといけません。ただ、見守るだけでは、子どもは動きはじめないし、深まらないのです。高度な指導力が必要ですが、求め続けてくださいね。)

TY・・小学校でたくさんさんぽに出ていっているなと思いました。いろんなところに行って、いろんな経験を1年生からしていると、すごく身につくと思うし、いろんな物に触れることがすごく大切な事だと思いました。自由研究は、1年とは思えない内容だなと思いました。深いところまで研究して、それをみんなの前で発表することによって、話す力もつくと思います。この二つの経験を踏まえて、劇の発表を上手にしているなと思いました。ストーリーを子どもが考えていると聞いて、こんな小さな子どもができるかなと思いました。でも、話も上手につながっているし、発表の仕方も上手で、劇のストーリーも分かりやすい。1年生が作っているとは思えませんでした。自由研究を劇の中に入れて発表するのは難しい事だと思いますが、短時間の中で分かりやすく、はっきりと発表していて、1年生なのに素晴らしい劇をしていて感動しました。(きつねT:朝の元気調べ、自由研究発表、おたずね、メモ、さんぽ、劇をつないでいくと、1年生の子どもは、本当に力をつけます。Tさんも、一つひとつ力を付けて、「本気の教育」を追究してみてくださいね。自分ができないことは、子どもにさせられません。)

NI・・全てはつながっているという事を、今日は学びました。さんぽによって見て触れて感じ、自由研究によって更に深く学び落とし込み、劇作りによって表現することで、全ての学びをアウトプットするところまでの力を付ける。劇は、特別なことを新しくやっているのではなく、普段の自由研究で学んで調べた事を発表しているので、普段の積み重ねが、子ども達の成長の全てだと感じた。私が教師になった時、どのように子ども達が主体的に関わっていけるか、深い学びを取り入れていけるか。現職の先生に話を聞くと、学年でやることをそろえないといけない事が多く、一人だけがアクティブラーニングの授業をメインにできないかもしれないので、やることが限られた中で、どこまで取り入れていけるのか。それを追い求めていきたいなと思いました。(きつねT:一人ではやり切れません。バックに自分の実践を支えてくれる仲間を作り、常に研究会、学習会を持ちながら、進めることが大切です。私も、月に一回の数人での研究会をずっと持っていて、土曜日の午後2時ごろから7時ごろまで、教育研究の話し合いを進めていました。現場は難しいこともたくさんありますが、「子ども主体の学習」は、日々の授業中では、自分の工夫次第で実践ができます。そこで、子どもの生き生きとした学ぶ姿を育てると、その教育の良さは、子どもが証明してくれます。親が、支援してくれます。)

 

■子どもに学ぶ 共に学ぶ

 「自分の発見した言葉」が、ふりかえりの中に見られるようになってきました。それが、教育の発見であり、子どもの発見でもあります。

 最近、学生のみなさんのふりかえりが、深く、内容が豊かになってきました。子どもに学ぶというのは、学び合うことで、自分達の記録を互いに読み込み、そこから、学びを深めるということをしていきます。学習中に意見を出し合い、考え合うのと同じように、ふりかえりも交流することで、学び合うことができます。学級では、日記を読みあったり、ノートの記録を、お便りで見合ったりさせます。この「こぎつねだより」の意義もそこにあります。成長を互いに確かめ合い、成長することで、学び合う共同体になっていきます。