新しい学力観 2017年5月30日(火)
こぎつね短大の教職入門の講義も半分が過ぎました。これまで配布した文章をファイリングしていますか。ここで、これまでの目次の一覧を書いてみましょう。
No1 自らの学校時代をふり返る
No2 自ら学習を進める子ども達
こんな先生になりたい
理科の授業のビデオ
No3 朝の会、日記、自由研究
なりたい教師像
朝の会のビデオ
No4 学級経営や環境作り
こぎつね物語(一年生の日記)
No5 自由研究を考える
自由研究発表①
自由研究一覧(1年、5年)
No6 学校と家庭をつなぐ
自由研究発表②
No7 教材研究や指導法
自由研究③
こぎつね小学校の10の秘訣レポート分担
No8 新しい学力観
劇のビデオ
以上のようなテーマで、学習を進めてきました。次回より、こぎつね小学校の教育について、テキストを基に、「子ども主体の教育」をどのように進めているかについて学んでいきたいと思います。
①生活を拓く「朝の会」
②生活を見つめる「日記」
③生活を深める「自由研究」
④生活を創る「日直」
⑤生活を支える「学習環境」
⑥学習を進める「司会」
⑦追究を始める「おたずね」
⑧追究力を育てる「独自テーマ」
⑨相互学習を広げる「板書」
⑩授業最後5分の「先生の話」
今日は、新しい学力観について、考えてみたいと思います。
◆「深い学び」・・・書く力、話す力、つなぐ力
「深い学び」は、アクティブラーニングを踏まえた能動的、自立的、探究的な学習と関係します。そのためには、書く力(独自学習力)、話す力(相互学習力)、つなぐ力(思考力)を高めることが大切です。
そこで、まずは、ノート指導です。自ら書き進めるノート指導です。黒板をきれいに写すというようなノートではありません。ノートは、自分の書式を求めて書き進め、常にバージョンアップを繰り返しながら、より良いものにしていくようにします。頭の中の構造、考え方が、そのままノートに現れます。例えば、理科のノートは、理科の追究を踏まえて書き進めることが大切です。それには、教科ごとに違った書式、思考方法があります。基本的な形を身に付けながら、追究を改革、改変していきながら、より分かりやすい、深まりのある学習が進められるようなノート作りを創造させなければなりません。同じように、朝の会のメモ、自由研究の記録、国語のノート、社会のノート、連絡帳、地域学習のメモなど、全て自分なりのノートの形式を模索し、独自に学びを追究できるように鍛えていきます。
次に、「深い学び」は、書く力だけではなく、話す力を付けることも大切です。独自学習で学んだことを的確に話す力、また、朝の元気調べでは、人と違う内容を短く的確に話す力です。こぎつね小学校では、多くの学習は、基本的には子ども同士の話し合いで進めます。特に国語では、45分の学習時間の中で、30分間は話し合い活動であることがほとんどです。5分で準備、30分間話し合い、10分間ノートまとめと言うような時間配分です。「ええー、今日は○○ページからですね。教科書を開いて。・・・」というようなとぼけたことを、最初に先生が話すことはありません。子どもの声で始まり、子どもの声で終わる学習にしていきたいものです。
さらに、「深い学び」は、おたずねをして、学びをつなぐ力が大切です。これは、話し合う力と関連していて、本来分けられるものではありませんが、お友達の意見に対して、「私は○○さんの意見に賛成で、・・・」「私は〇〇さんとは違う意見です。・・・」「これまでの皆さんの意見を整理すると、・・・」など、前に発言した人の名前を必ず入れながら、自分の意見を言うようにさせることで、学びをつなぐ力がついてきます。そこに、論理力、追究力、協働して学ぶ力がついてきます。自分で疑問点を持つ、学習課題を持つ力も、学びをつなぐ力です。独自学習をするとき、何から学習を始めてよいのか、戸惑ってしまいますね。その時、おたずね(疑問点)を5〜10個持つ課題を自分に課して、それを書き出してから独自学習を始めると良いでしょう。そうすると、深い学びへとなります。
アクティブラーニングは、行動的な、動く学習と短絡的に捉えられることがあると思いますが、継続的に日々の学習として続けるためには、「書く力、話す力、つなぐ力」を、子どもに付けさせて、自分たちで学習を進めるということが大切だといえます。
◆アクティブラーニングと独自学習の時間の確保
独自学習する時間は大切です。自分の考えを持ったり、まとめたり、発信する準備をしたりするための時間です。新しい単元に入る時、先ず、自分で考えます。すぐに参考書、インターネット、辞書事典に頼らないで、自分で疑問点を書き出し、考える時間を持たせるようにします。例えば、国語の「ごんぎつね」の単元でも、最初に子どもが教科書の文章に向かい合い、自分なりに読み込ませて、考えや感想、そして、おたずねを持たせるようにします。もちろん、理科でも同じです。教師の面白実験、導入実験で、興味付けしなければ学習が成立しない子どもに育ててしまってはいけないのです。じっくり物を見たり、静かに考えたりする、独自学習の時間を取るようにします。「深い学び」は、独自学習から始まります。自分なりの読み方、深め方、考え方を持たせて、次に、相互学習に向かうと、他の友達のすごさや違いがわかり、それぞれの独自学習の質が問われてくるのです。
◆子どもが自ら学習に向かい学習力を付ける支援
子どもが学習力をつけるということは、教えて学ばせることではなくて、自ら行動し始める子どもを育てることです。子ども自身が試行錯誤して、自分の力になっていくと思います。そのためには、「教えない」「教師が先頭に出ない」ことが大切です。
「これから〇〇の学習をするんだけど、どうする?」「こまったね」「何からしていけばよいのかなあ」「次はどうしよう」「それはいいね」「すごいね」「先生にも教えてね」というような言葉を、子どもと共に進める学習の中で、よく使います。今、幼稚園の自然担当の先生をしていますが、そこでも同じです。中学校、高校でも使える言葉なのですが、これまで教え込まれてきている子ども達には、このような言葉を使うと、先生として認めてもらうまでに時間がかかります。今、大学生を数校で教えていますが、同じです。教えない先生、楽しい授業をしない先生は、指導力がないと思われがちです。
そこで、教え込まれることに慣れてしまっている子ども達が自ら動き始めるためには、最初は、動いて学ぶ環境を教師が整えてあげて、そこで、試行錯誤できるようにします。自ら動いて学ぶ喜びを感じられてきたら、次は、自分達で、環境から創っていくように育てていきます。資料を集めたり、聞き取りをしたり、実験をしたり、参考書を読んだりするようになります。そうすることによって、だんだん不親切にしても、学びを自分で立ち上げることができるようにします。最初から不親切にすると、戸惑い、教師に対して反感を持つようになるので、自立に向けての手順が必要です。長く教え込まれてきている子どもほど、時間と手間がかかります。さらに、学習が自立してくると、学習の進行、板書、実験の計画なども、子ども達が進めていくようになります。先生は、備品、消耗品の確保、安全管理、時間的な見通しなどの担当になり、学習の中身は子どもの発想をつないでいくことで、深めるようになってきます。「深い学び」のスタートを、ここに自立した学びに置きたいものです。
子どもの自立した学びを、さらに深めるには、どうすればよいか。これは、先ず子ども主体の学習が動き始め、その時の子ども達に聞くようにするとよいでしょう。子どもに学ぶのですね。先生には、論理力と哲学が必要です。先生が自立して、常に「本を読んで、行動して、考え続ける」と、子ども達も学び続けると思います。それしか方法がないように思います。
大学の学習も、4月より5月、5月より6月へと、自分の学び方、生き方が、進歩するようにしていきたいものです。短い学生時代ですが、独自の学習を目指して、何かを始めることが大切です。悔いのない学生生活を目指してください。大学生の時に、「これだけは頑張って、これだけはこだわってしていたよ」と、言えるように、日々の生活を生きてくださいね。
私は、今は、「おたより」を書くことを頑張っています。前期で大学3校に行っていますので、毎回3枚書くと、4か月(4月〜7月)で3枚×15回×3校=135枚となります。こぎつね幼稚園のブログ(こぎつねさんぽに出かけよう)も、4か月でA4用紙にして50枚ほどになるので、夏休みまでに、大学とこぎつね幼稚園ブログで200枚を目指しています。
<前回の学習のふりかえり>
▼HT・・全員の自由研究を終えて、改めて思ったことは「楽しさ」です。発表する人は、ただ発表するだけでなく、自分の調べたことを伝える難しさやおたずねのポイントも意識して発表しないといけないし、おたずねに対して答えることもしないといけません。大変だけど、その中に充実がありました。聞く側もおたずねを考えながらメモをしたり、人と被らないようにしたりと、いろいろ考える緊張感の中で、質の高い学びをして、共に成果になっていると思いました。ネットで調べるだけでなく、実際にその場に行って研究している子ども達は、本当にすごいと思いました。
▼NI・・今回二回目の自由研究をしましたが、私自身の好きなことをみんなに発表して知ってもらえるのは嬉しいなと思いました。こういう機会がないと、自らのことを深く話したり、また聞いたりすることはなかなかないので、貴重な時間をいただけたて嬉しかったです。こぎつねだよりで印象に残った言葉は、「子どもに常に向上心を持たせ続けるには、教師の気力と努力と根性」、「子どもの自立を目指した多様なほめ言葉と適切な指導」です。子どもに向き合っていくための熱意、そして諦めずにやり続けることが大切だと感じました。適切な指導力、多様なほめ言葉を「教職入門」で学んでいきたいです。来週もよろしくお願いします。
▼FN・・自由研究のよさ、①他の子が、どんなことに興味があるかを知ることができる。②みんなの前で発表することで自信がつく。③気になっているところをメモする。④おたずねをする。⑤おたずねをして、それを板書することで、文字をきれいに書こうと思う。ことです。今日は、板書をして、文字を間違えてないか不安だったので、もっとメモとかをいっぱいとって練習しないといけないと思いました。
▼MM・・今日の授業を受けて、改めて自由研究の良さについて気づけたと思います。自分も先生になったら、子ども達に自由研究の良さを伝えて、無理にではなく自主的にできるようにするには、どのように促すかを考えていきたいと思いました。また、先生が言っていた通り、どのように発表の時間を確保するのかも気になります。
▼NZ・・こぎつねだよりに書いていた内容で、教師の「気力と努力と根気」が必要であるというところを見て今まで専門的なことばかり授業で学んできたので、こういった真っ直ぐな表現を見て、とても心に響きました。また、新任の頃に守るべき事の内容についても、とても自分力になるなと思いました。実際に先生が経験されてきたことの内容なので、これから大切に生かしていきたいと思いました。
▼TS・・1年生の頃から自由研究活動をすることで、自分が好きなこと、興味を持ったことについて更に深く知ることが出来、それを続けていくことによって、自分の将来の道、自分がやっていきたい事を早期に見つけることができるのかなと思いました。そして、自分が教育者として、子どもたちに将来を見据えられるような学習をさせて上げることが出来ればいいなと思いました。
▼OD・・何事も興味や意欲を持つことが簡単そうで難しく、それを学習面に持って行き、さらに自主的な活動にするというのが、とても遠いことに感じました。常にいろいろなことを考え、意識し、子どもより前を進み、手本になるための努力をしなければ、子どもたちに何か勉強を教えるうえで、自分のためにも、子どものためにもならないのかと思いました。
▼NO・・こぎつね小学校の自由研究について。①一人一人調べることが異なっていて驚いた。②身近にある題材が多いけど、他の国の事など、広い視野の題材もあってすごいと思った。③自分達が住んでいる奈良のこともあり、自分が住んでいるところに興味が多いことが分かった。④一人一人調べていることが違うので、他の子たちの内容も興味を持つ子たちが多いのではないかと思った。⑤1年生の子どもでも、調べる内容がすごく異なっていると思いました。自由研究の良さは、①他の人は何に興味があるかを理解できる。②聞く人は、自分が知らなかったことを知ることができる。③自分の興味のあることをより深く調べることができる。④発表の仕方など、工夫する力が身に付けられる。などが考えられる。
▼TY・・自由研究からは、単に一つの事について調べるという力になるが、それ以上に私は、話す力が一番大切だと思った。私自身、人の前で話すのが苦手なのですが、自由研究を何年もすると、人に分かりやすく伝えるという力がつく。このさき、一番必要になっていくことだと思います。1年後、実習に行くときの、話す力、まとめる力がついていくのに、私はいいと思いました。
▼MS・・自由研究の発表を終えて、友達の興味のあることが分かり、これがまた知識となってよかったです。子ども達の自由研究では、5年間たつと、本当に自ら調べ学ぶようになり、教科書だけの勉強ではなく、子どもの学びたいという意欲は無限だと思