地層の学習 2017年7月24日(月)
こぎつね教育大学で理科の授業を始めて14回目となりました。一斉に学習をするのは最後です。今回は、地層の学習について考えてみましょう。実験が簡単にできるような単元ではありませんので、写真を使って、読み取りの学習をします。
1.川が作る地形
流れる水は、地面を浸食します。泥、砂、石を運搬して、流速が遅くなると、重いものから堆積させていきます。浸食・運搬・堆積作用によって、地形は削られ変化していきます。運動場や空き地に多くの雨が一度に降ると、一番低い所に水が集まってきて水たまりを作り、さらに流れ出ます。地面の角度が急な所は流速が上がり、浸食作用が増し大きな石まで流そうとします。川の上流のような場所です。また、たくさんの水が一気に流れると、流速が上がり、その時もより大きな石まで流します。大雨の時の川の様子です。
山は、造山運動によって盛り上がります。大陸移動による地表のしわです。そこには、地震や断層や褶曲というような活動が伴います。その造山運動によってできた地表の高地は、水がない場合、そのままの状態で保存されるのですが、地球上には豊かな水があるので、雨が降るたびに山を削り、その運搬された泥や砂は平野を作り、さらに池や海に泥や砂が流れ込み堆積します。地表は、常に流れる水によって削り続けられています。
川が作る地形には、V字谷、扇状地、河岸段丘、先行谷、自然堤防、蛇行、三角州などがあります。それぞれ、どのようにして作られるのか、子ども達と一緒に調べてみてください。
2.河原の石の学習
自分の学校の近くを流れる川を、上流から下流まで地図で辿り、いくつかの場所で観察してみましょう。水の量、流れる速さ、周囲の地形、河原の石の形や種類を記録していくと、上流から下流までの流れる水の働きが理解できると思います。山の谷を削り、石を運び、小さくし、平野に堆積させ、さらには海へと泥や砂を運び続けている、彫刻家としての川の働きが見えてきます。
河原に行くと、いろいろな種類の石が見られます。石は流されている時にぶつかり合い円磨作用を受けたり、割れて小さくなったりします。川の上流から下流までの何か所かで、小石の種類の分類をしてみましょう。その河原よりも上流に、それらの石のふるさとになる山々があることになります。花崗岩、砂岩、結晶片岩があるとすると、その上流には、花崗岩の山、砂岩などの堆積岩でできた地層が見られる山、さらに、変成岩がある大きな変動帯の存在が予測できます。石の種類によって、丸くなり方も違うので、それぞれ石の特徴の学習ができます。
実際、河原へ行き、周囲の地形、小石の採集などの観察をしてみましょう。
3.地層の学習
山道の切通し、崖、川の近くには、山自体を造る岩石が露出しています。観察できる場所を露頭と言います。地学の学習では、地図の中に、その露頭の場所のポイントと地質の様子を書き込み、その調査ルートマップから、それらの岩石が、山の中にどのように分布しているのかを調べます。地質調査です。子ども達と、山へ地層の観察に行くときは、このルートマップを作るようにします。
地層は、縞々に、泥や砂や小石や火山灰が重なり合ってできた層状に見える岩石です。出来てから100万年ぐらいまでの地層は、まだしっかり硬くなっていないので、泥層、砂層、礫層、火山灰層などは、スコップで掘ることができます。1000万年、1億年と年月が経過している地層は、硬い岩石となり、それぞれの地層は、泥岩、砂岩、礫岩、凝灰岩などになっています。
地層は、粒の重なり方をよく調べると、どんな環境で堆積したのかがわかります。川の堆積層、扇状地や三角州の堆積層、浅い池や海での堆積層、深い深海での堆積層などが分かります。陸地からの距離、その時陸地を形成していた山々の地質の様子も分かります。その堆積物が、どちらから運ばれてきたかという事も分かる場合があります。さらに、火山灰や化石が含まれていると、地層がいつ頃できたことも分かります。
4.化石
化石は、子ども達は意外と家に持っていて、それらを見せてもらうことから、地層の学習を始めることができます。また、恐竜マニアの子どももいて、自由研究の発表をしてもらうことで、生物の進化や地質年表の概念を、子どもからの提示で学習が深まります。その後、博物館に行ったり、映像を見たりして、さらに自分達で独自学習を進めてもらい、興味を持ってもらうようにします。
5.地域の地層を調べる
きつねTが若いころは、丘陵地が開発され住宅地になっていく時代でした。造成地や、道をつくる現場では、いろいろな地層を見ることができました。こまめにそのような場所を訪ねて、写真教材を自分で集め、地域の地層のでき方をさぐるような学習を組み立てることができました。近年はそのような開発も少なくなりました。今はどこで地層を見るとよいのでしょうか。それは、常に崖が作られているところ、地面が浸食されているところです。海岸や川岸は、水の浸食作用が常に働いているところなので、地層が出ているところがあります。危険な場所のことも多いので、気を付けながら、観察させるようにしましょう。
<前回の学習のふりかえり> 大学こぎつね
▼KD・・「コスモス」中の島には、これらのお祭りや行事以外にもたくさん楽しめるイベントがあります。自然も豊かで、都会にいるということを忘れさせてくれます。自由研究につかえる教材も集まりますよ。ぜひ家の方と来てくださいね。
▼IS・・「理科だより」私たちが住んでいる加茂町付近の木津川は、上流と中流の間ぐらいなので、石ころは大きいですね。しかし、礫は角がとれて丸みを帯びてきています。一度見に行ってみてください。その時は、溺れることがないように、大人の人と一緒に行ってくださいね。(きつねT:下流は、KDさんの大阪の淀川、中の島へとつながります。)
▼YZ・・「けろけろだより」意外でしたか。とても大まかな紹介になってしまいましたが、みなさんに摂津峡の魅力が少しでも伝わっていればと思います。今年の夏、家族みんなでぜひ摂津峡に行って、たくさんの自然を味わってください。調べて気が付きましたが、私は何度も摂津峡に行っていたことがありました。(きつねT:川がすべて、つながってきていますね。芥川も淀川の支流ですね。)
▼KM・・「学級通信」家から5キロほど離れたところに、大和川と呼ばれるとても大きな川が流れています。今回は、そこに行ったことについてお話したいと思います。(きつねT:奈良盆地の水を全て集めて大阪に流れ出た大和川は、昔は、淀川へと流れ込んでいました。江戸時代末期、河内平野でよく洪水が起こるので、柏原から堺へと人工の川が作られました。大工事でしたが、1年足らずでつくりあげたようです。)
▼US・・「かえるのお手紙」7月に入り、夏ももうすぐ本番という季節になってきました。旅行に行く人も多いのではないでしょうか。旅行で行く先々では、様々な人と出会い、風景を見て、たくさんの経験をすることでしょう。今回は、私の故郷である三重県の自然(熊野古道)について紹介したいと思います。(きつねT:熊野街道は、大阪中の島の天満橋から熊野本宮までの道と、USさんの紹介している伊勢からの熊野古道があり、ぐるっと紀伊半島を取り巻いています。歩いてみてくださいね。)
▼SU・・「りかだより」先生の住んでいる奈良には、様々な自然に包まれた観光スポットがあります。春日大社や興福寺などを訪れる観光客を沢山見かけます。春日山原始林にはたくさんの木々がいきています。(きつねT:春日大社から桜井までの間には、日本で一番古い古道、山の辺の道があります。熊野古道に合わせて、歩いてみたい道ですね。)
▼HR・・「理科日記」京都御所には、多くの植物があり、季節によって違う花が咲き、四季折々の姿に変化します。その様子を見に、多くの人がここを訪れます。今回は、広い敷地内を散歩しているような気分になりながら、京都御所の四季の植物を一緒に見ていきましょう。(きつねT:平安神宮の庭園は行ったことがあるのですが、御所も見学ができるのですね。今度行きたいと思います。)
▼TN・・「しぜんだより」皆さんは宇治川の周辺を散策したことがありますか。世界遺産の平等院や塔の島、山の中には宇治神社もあります。今日のおたよりでは、そんな宇治川のお話を載せたいと思います。(きつねT:宇治川は、琵琶湖の瀬田からつながる、淀川の本流ですね。瀬田から宇治まで歩いたことがあります。すごい距離でした。)
▼OK・・「理科だより」先生の家の西側に大きな川が流れています。桂川です。桂川は、鴨川と並んで、京都の2大河川と呼ばれていて、とても大きな川です。先生は家から近いので、よく散歩に出かけます。(きつねT:桂川、鴨川、琵琶湖からの宇治川、木津川が集まり、淀川になっていきます。淀川はすごく広い流水面積を持っていますね。)
▼WN・・「不思議見つけた!」琵琶湖という湖をしっていますか。滋賀県にある日本一大きな湖です。京都に住んでいるみなさんがいつも使っている水は、実は琵琶湖の水なんですね。先生は、実は滋賀県の出身なんです。今回は、琵琶湖について紹介したいと思います。(きつねT:琵琶湖疎水という、山をくりぬいて滋賀県から京都へ水を流している設備があります。こぎつね教育大の墨染駅近くの川は、琵琶湖の水が流れています。疎水の川沿いに北へ歩いて京都に向かうと、蹴上に到着します。琵琶湖疎水に関する資料館もそこにあります。)
▼SI・・「学級だより」今まで学級便りを受け取る側だったが、実際に初めて書いてみると、とても難しかった。親は子どもが学校でどのように過ごしているのかを知る手段であり、子どもは教師が自分達をどのようにみているかを知る方法でもあると実感した。書いて渡すからには、興味を持ち、世界が広がるようなものにしたいと思った。(きつねT:先生になったら、ぜひ書き続けてください。とても大切な教育活動です。私は、新任のころからずっとお便りを書いてきて、全て残しています。)
▼YM・・「さいえんす!」おたよりを書くということは、想像以上に難しかったです。話題選びから膨らましていくという一連の流れを毎回行っているのかを思うと、すごいと思いました。子どもも親も、次回を楽しみにしてくれるようなお便りが作れるようになりたいです。(きつねT:続けることが力となります。)
▼YZ・・「こぐまだより」長岡京市、小泉川の清流の蛍について。
▼OH・・「たぬきだより」静岡県、富士山について。
▼KA・・「地元だより」天然記念物、東山洪積世植物遺体含有層について。
▼ID・・「学級だより」福知山市の自然について。
▼FD・・「いるかだより」宮津市、天橋立について。
▼YH・・「はてなのおたより」箕面市、滝と昆虫館について。
▼IH・・「おさんぽだより」岡山市、芥子山の自然について。
▼TH・・「わくわくだより」香川県高松市の栗林公園について。
▼OM・・「理科だより」吹田市のクワイと外来魚問題について。
▼UD・・「理科だより」神戸市、六甲山について。
こぎつねノート061
「学習のめあて」 2009.10.26(月)
「学習のめあて」をどう持たせるかということを、考えることにします。教師から見ると、子どもに「めあて」を持たせることは、子ども達は何から学習を始めようとしているのか、子ども達はどんなことに興味を持っているのかを探ることです。子どもから見ると、文字通り、めあてを持つことです。
4年生の学習で、こんなことがありました。教師は、「星の動きを考えよう」と「学習のテーマ」に書いているのに、「私は、星の色について考えていきたい」「僕は、星の明るさについて調べていきたい」などと勝手にめあてを持っていきます。めあてを聞いていると、宇宙への興味なんだなあと感じました。続けて、「星の明るさは、星の色と関係していると思います」と、ある子どもの発表がありました。そこから一斉に、反対、賛成の手が挙がり、相互学習が始まりました。「明るさと色は関係なくって、明るさは距離が関係していると思います」「明るさは、星の一生と関係していると思います」「色は温度と関係していると思います。太陽は6000度で黄色です」「絶対等級という言葉があります」「つけたしで、絶対等級を辞書で調べてみると、10パーセクの距離に星を置いたときの明るさで、リゲルが一番明るい星だと書いています」「パーセクって何ですか」「年周視差が1秒である距離」「年周視差って?」と、延々と星の明るさ、色、星までの距離、温度などについて、子ども同士の話し合いが続きます。さらに、「星の色は、ガスコンロの炎の色と似ていて、赤いほうが低くて、青いほうが高いらしいです」「星の明るさは、懐中電灯を近くと遠くに置いた時の関係と似ていて、遠いほど暗いです。だから、明るさと色は関係ありません」など、生活とつなぎながら、意見を述べる子どもも現れました。
私は今まで理科教師として、星の学習をずっとしてきているのですが、「星の色」「星の明るさ」「星の温度」「星までの距離」「星の一生」などに関して、いろいろな要素を関係付けながら話し合いをした子ども達に初めて出会いました。恐るべき子ども達の姿だと感心しています。話し合いが30分ほど続き、その後、相互学習の経過をノートにまとめさせました。
最後に私が、「今日の学習のテーマには、先生は、『星の動きを調べよう』と書いたのですが・・・、それについてはどうですか?」と、控えめに子ども達にたずねると、再び議論が始まりました。「星は動いていなくて、地球が自転しているから動いているようにみえます」「北極星は動かないけど、自転しています」「季節によって見える星座が変わるので、星は動いています」「星座の形を変えないで動いているのが不思議です」「何百万年たつと、ベガが北極星になるので、星は動いていると思う」など、いろいろな「動いている」について出されてきます。子ども達の意見は、どれも当たっているけれど、混乱しているなと感じました。そこで、「星はどのように動いているか、実際、夜空を見て観察してきてください」と言いながら「北の空」「南の空」の記録用紙を配布しました。観察によって、さらに混乱は広がるように思います。今後の学習が楽しみです。まるでコペルニクス、ガリレオ時代の議論のようです。
私の理科学習では、「学習のめあて」を持ち、めあてを発表し、相互学習で少し練り合い、独自学習へと進みます。それぞれのめあての発表から、混乱、混沌状況をうまく熟成していき、独自学習へとつなぐようにしています。このように考えると、「学習のめあて」とは、発想であり、興味であり、思いつきもあるのです。的を外しているもの、間違っているもの、いろいろあっていいのです。一人で学習をしていると、的外れは致命傷になるのですが、多くの仲間と一緒に学習をしていると、的外れは集団の学びに幅を持たせ、間違いは学びに勢いをつけます。間違いから、思わぬ進歩があることは、これまでの科学の歴史ではよくあることです。
このように、「学習のめあて」はいろいろあっていいのです。まず、一人ひとりが宣言することがとても大切だと感じています。自分の思いつきの発言を意識しながら、その方向に少し歩き始めて、自分で迷い、学習することです。そして、学習の最後に「学習のめあて」と対になるように、「学習のふりかえり」を書くことが、学習自体だと感じています。
子どもの生き生きとした学習とは、個人に「めあて」を持たせ、自分の足で歩ませることが大切です。「生きること」と同じ、自分でまずは歩ませることですね。
こぎつねノート062
「現象の関係」 2009.11.2(月)
5年星組で川の学習をしているときのことです。「雨が降ると水量が増えるのですが、水の速さも増しています。『水量』と『速さ』は関係があるのですか。」ということが話題になりました。この話題は、少し前に紹介しました4年生の「星の『明るさ』と『色』は関係があるのか」という課題と同じような印象を持ちました。教科書では、星には色の違いや明るさの違いがあることに気付かせること、また、雨が降ると川の水量が増し、水の流れも速くなることが書いてあります。現象に気付かせることが、学習のめあてになっているのですが、それらがどのように関係しているのかについては、これまで学習中に考えてこなかったなと、今更ながら反省させられます。30年間も理科の教師をしてきたのに、初めて子どもに気付かされることが、毎日あります。
川の学習では、水量が増えると流れる水が早くなるわけを考えてみました。教科書の写真や、家の近くの大和川支流の体験を思い出しながらの考察です。「流れの速さは山の斜面の角度と関係します」と、最初の子どもが言いました。当然のことですが、雨が降ると山の斜面の角度が増えるわけではありません。そこで、次に「大水の時と水が少ない時を比べると、大水の時は川幅いっぱいに真っ直ぐ流れていて、水が少ない時は、くねくね曲がりながら流れています。真っ直ぐ流れると、速く流れると思います。」と意見を言いました。
私はハッとさせられました。川の流れ方は、真っ直ぐな所と曲がっている所では、流れる速さは違うことはこれまで川の観察で何度も取り上げてきたのですが、川が曲がっている、川が真っ直ぐと、水量が少ない、多いとを、関係づけて考えたことがなかったからです。
次に、「川の水が増えると水の体積が重くなって、それが押すから流れが速くなる。」という意見が出され、さらに、「家の近くの川では水が少ない時は、流れを止めるような段になっていて、水が多くなるとそれを乗り越えるように流れるので、水の流れが速くなると思います。」と続きます。どれも素晴らしい意見だなあと思いました。そして、「水が少ないときは、上流の写真を見ていると大きな岩がたくさんあって、それにぶつかりながら流れています。しかし、水が増えると、岩の殆どは水の中になってしまって、岩にぶつからない水が速く流れると思います。」と、合計4つの考えを出してきました。これまでは、ばらばらな事実としての観察をしてきていたのですが、「水量と速さは関係あるのか」という話し合いのテーマを持つことで、関係がつながって見えてきました。いい学習問題を持つことは、とても大切だと、考えさせられました。
このように、子ども達の話し合いが、本当に活発な学級の場合は、事実の発表とおたずねが、上手に組み合わされて、学習問題が連続的に出されてきます。ふと思い浮かぶ疑問点が、遠慮なく出される学級に育てるのが一番ですが、なかなか事実や記憶の発表だけをする子ども達が多いのが現実です。
そこで、このような学級の場合、子ども達が発表している内容を板書していき、その中のキーワードに丸を付けて、それらの間の関係に目が行くようにします。キーワード間に、関係があるのかないのか、共通点・差異点は何かを考えてみるのです。そうすると、ばらばらな現象として見えていたことが、意外と関係のあることがわかってきます。関係を論理的に理解する一つの方法が見えてきました。
また、4年生の学習のことです。空気鉄砲の学習をしているとき、「空気の量よりも、押す早さの方が、飛ぶ距離には関係していると思います。」という意見が出されました。これは、とてもおもしろい課題でした。
キツネTが、ゆっくりゆっくり後ろ玉を押すと、前玉が飛ばないで、後ろ玉とくっついてしまいました。押す早さは、飛ぶ距離に関係しそうです。だからといって、空気の量も関係しているようです。
次に、玉の種類をいろいろ変えてみるとどうなるかの取り組みをしてきてくれた子どもの発表がありました。「さつまいも、じゃがいも、だいこん、キュウリなどで玉をつくって飛ばすと、ザラザラしている玉はよく飛んで、ぬるぬるしている玉は、滑って落ちて飛ばなかった。」と発表がありました。他にも「紙をぬらして玉にするとよく飛んで、紙をぬらさないで玉にすると、空気が抜けて飛ばなかった。」「洗剤を前玉につけて後ろ玉を押すと滑ってすぐに落ちてしまった。後ろ玉につけたときは変わりなく飛んだ。」など、玉の性質も飛ぶ距離に関係あるようです。空気鉄砲が飛ぶ原理は、かなり複雑な作用が合わさって飛んでいることが見えてきました。玉の摩擦力、玉の気密性、空気の圧縮の速度、空気の量などが、微妙に関連しあって、よく飛ぶ空気鉄砲になっているようです。
「空気鉄砲から玉が飛ぶとき、煙が見えました。その煙は何ですか。」という疑問がありました。「玉がすれて煙が出る」「空気が縮まると白く見える」などが出されますが、なかなか煙の正体が見えてきません。「温度の変化が関係すると聞いたことがあります」と、実験教室の知識を持ち込んでくれた人がいました。しかし、温度が高いのか低いのかも、分かりません。「ゴム風船のゴムを伸ばすと冷たく感じて、伸びたゴムが急激に縮まる時温度が上がるように感じるようです。」と、圧縮、減圧の時の温度変化について体験を言ってくれる子どももいます。この煙については、まだ今のところ解決できていません。
フィールドノートから「空気鉄砲に玉を詰めて、その筒を冷水と湯につけて玉を飛ばすと、飛ぶ距離が違ってくる。」という実験を持ち込んでくれた子どもがいました。みんなで取り組んでみたのですが、数値的に捉える方法がうまく準備できず、結果が感覚になって混乱して終わりました。
空気鉄砲について、まじめに飛ぶ原理を追究すると、こんなにいろいろな要素があることが見えてきました。空気は押し縮められて、水は押し縮められないということだけに気がつくための素材ではありませんでした。こんなに多面的な要素が見えてきたのは初めてです。