学習時間を創る 2017年6月5日(月)
学習時間を創ることについて考えてみましょう。大切なことは、子どもの声で始まり、学習の本体は子どもの学びの交流を中心にして、そして、子どもの声で終える授業です。
子どもの声で始まる学習とは、「学習のテーマ」がはっきりしていることが大切です。新しい学級で学習を創っていくときは、最初の頃は、教師が与えるのもよいかもしれません。次第に、前時の学習の終わりに子ども達で決めるようにして、テーマはすでに前時から分かっているようにします。その「学習のテーマ」に向けて、「学習のめあて」を子ども達が発表します。これは、今日はこのような資料を持ってきたよ、こんな独自学習をしてきたよ、今日はみんなでこんな実験をするので楽しみだ、理科室の道具を使ってこんなことをしたいな、などと、自分のしたい事を、考え合いたい事を自己主張します。子ども達の学習が、もうすでにこの時点で頭の中で動き始めているという状況を作ります。
次に、学習の話し合いについて考えます。
まず、「相互学習の話し合い」をします。理科の場合は、その後の観察や実験があるので、時間を決めて話し合いの時間を取りますが、国語や社会などでは、もうすでに、学習の学び合いに入ってきます。理科では、家での活動、調べてきたこと、テーマに対する疑問点、自分たちのこれまでの生活の中での知識や、調べてきたことを出し合って、今日の学習への助走とします。ウォーミングアップが豊かな学級とは、独自学習力が育ってきている学級です。生活と学習をつなぎ、生活を学習場にすることができる子ども達です。
続いて、「今日の観察または実験」についての導入(疑問や課題作り)、予想、実験方法について話し合いを進めます。相互学習の時に、豊かに話し合いができていると、観察実験への導入を新たにしなくても、話し合いの一部を取り上げることで、今日の観察実験へとつながるようになります。ここでは、「実験の課題」「予想」「実験の方法」を、個人やグループで考えを進めて発表させます。安全面に関すること、条件制御に関すること(条件を整理しながら比較実験をする方法)は、必要なら教師から指導をします。
観察実験を実行し、結果と考察を書く時間を取ります。個人でノートに向かい合う時間です。観察の場合は絵を描き、実験の場合は、文字で記録したり、絵で表現したり、数値で記録を取ったりします。ここについては、皆さんはレポートをこれまで何度か書いてきているので、少し身に付けてきていることと思います。ノートやレポートの記録に合わせて、板書も進めていきます。データの共有です。自分で書き進められない子どもの場合、板書を見ながら書く子どももいるので、そのあたりは優しく対応します。また、高度な記録や整理が必要な場合は、板書に事例を示し、各班のデータを共有するために黒板に書き込ませるようにします。
結果と考察は、いろいろな発表の仕方があります。例えば、B3用紙に各班で書かせて、黒板に掲示して、発表させるようにします。また、各班の一覧表を黒板に作っておき、そこにデータを書かせることもあります。すべての班の結果を出し合って、みんなでそれぞれのデータを見て、考察します。これは、実験が失敗している班がある場合、みんなで失敗の考察をするときに有効です。
学習の最後は、ふりかえりを書きます。書かせながら発表させます。2時間続きの理科学習の場合、それまでに発表していなかった子ども達の名前カードを使って、全員に発表させます。最後、先生が数分話して、ふりかえりの中から次の学習の方向性を探り、今日の学習で活躍していた子どもを褒めるようにします。
<前回の学習のふりかえり> 大学こぎつね
▼KU・・幼虫も成虫も、胸部より腹部が長いことが分かりました。幼虫と成虫は、全く違う形に見えて、同じままのところもあるのだと分かりました。昆虫は、頭部、胸部、腹部と分かれており、腹部が長いつくりだが、昆虫以外の虫はそういう決まりはないようでした。私は虫が苦手なので、気持ち悪いと直ぐに言ってしまうので、気をつけないといけないと思いました。今日の授業で、なんでもかんでも、実物を使ってばかりではよくないのだと思いました。(きつねT:実物を本当は使ってください。虫取りを、独自学習で1週間も、2週間もしていて、それから、この学習をすればいいと思います。気持ち悪いと言わない決心、大切ですよ。給食も、嫌いなものでも食べないといけませんよ。)
▼YZ・・特に夏場は虫が発生しやすく、虫を見る場面が多くなるので、虫を見る度に「あの虫は昆虫か昆虫でないか」と、考えてしまいそうだと思った。虫は、気持ち悪いと思わず、興味・関心を持って見ようと思った。(きつねT:今、幼稚園で記録している自然のブログ「こぎつねさんぽに出かけよう」を、時々見てくださいね。Yさんがこれから教える小学生は、幼稚園でいろいろ虫を見ていることが分かります。
実際の、今の、3歳、4歳、5歳の自然観察の姿です。)
▼KO・・虫を見て「気持ち悪い」と言ってしまうと、子どもにもそのイメージを植え付けてしまうことに気付いた。(きつねT:子どもは先生や親の、話し方、話す内容、方言を身に付けてしまいます。もちろん、考え方、感じ方も、身に付けます。そうして、大人の世界を知っていきます。素敵な学習環境を作ってあげてください。)
▼ID・・昆虫の特徴を知ろうと思ったら、スケッチすると良く見えてくるものがあった。それに、昆虫ではないものもスケッチすることで、昆虫の特徴が分かってくるので、比較することは有効なことだと思った。
▼MI・・虫を気持ち悪いと思うのは、子どもの頃の周りの大人の影響がとても強いのだなあと思った。(きつねT:子ども達は、すぐに、毒キノコ?と、聞きます。安全を身に付ける手段だと思います。)
▼NH・・細かい絵を自分の手でスケッチしてみることで、詳しい体の形や発達している部分、体のはたらきを知ることができるため、スケッチの重要さを感じることができました。ただ、やはり、実物を観察して構造を理解しながら描く方が楽しいと思うので、実際の現場では、実物をもってくると良いと思いました。(きつねT:私は、毎日、幼稚園で虫の実物を見て、観察をしています。皆さんも、こんな教育をしてね。ブログで、その方法を学んでください。)
▼OK・・実際にスケッチすることで、足がどこから出ているか、何本あるか、体毛があるかという細かいところまで、自分で気づくことができるので、主体的で深い学びができると思った。幼児教育専攻で、将来子どもたちと関わる時に、たくさん教えられるように、もっと学びたい。(きつねT:ブログ見てね。幼稚園の子どもの気づきがそこにはたくさんあります。きつねTの私は、どのように子どもと自然を学んでいるのか、日々見てね。)
▼WN・・自分が思っていた以上に線画を見てスケッチすると、細かい所まで分かって、こういう構造になっているのだなと、発見がありました。スケッチした後に実物を見ると、構造を理解した上で観察ができていいなと思いました。(きつねT:本来は逆なのですが、スケッチの基本を身に付けると、これから虫のスケッチするときに、上手に描けるようになると思います。基礎基本の練習ですね。とっても上手に描いていましたね。「こぎつねさんぽに出かけようのブログ」に、載せておくね。)