比較するということ(3年) 2017年5月29日(月)
■比較は理科の観察実験の原点
理科で子ども達が実験や観察をする場合、比較するということが一番基本的な見方です。すべての理科は、ここから始まると言ってよいと思います。論理学、哲学を、これまで体系的に学習してきていませんが、おそらく物の見方、考え方の根源がここにあると思います。
比較は、大きさ(長さ、重さ、面積、体積)、形、色、数、動き、温度、明るさ、硬さ、・・・など、生物や物質の状態を表す視点に関して、差異点や共通点を見つけます。
理科の学習では「比較する」ことから「違い」を見つけ、「その違いが、なぜあるのか」と考え、疑問からさらに、探究の問題、課題につながり、「その違いと関連する条件」を調べる観察・実験へとつながります。これまで取り組んできた磁石単元も、空気の単元も、ここから学習が始まりましたね。
また、共通点からは、同じグループ、似ているグループとしての、分類の考え方が生まれます。すべての物は、昔から、何らかの分類がなされてきていて、その分類の根底には、比較という手法があると思います。最近の生物分類は、形、色だけでなく、DNAの比較までするようになってきていると聞きます。
■比較は理科以外の学習にも
比較は、理科だけの探究の方法ではありません。社会科の学習でも大切です。縄文時代と弥生時代の比較、奈良時代と平安時代の比較、源氏と平氏の比較、織田信長と豊臣秀吉の比較、日清と日露戦争の比較、第一次と第二次大戦の比較など、違いと共通点、そしてそれらの関係性の分析から、歴史は見えてきます。また、国語の学習でも、使います。登場人物の比較から、状況の変化の比較から、作者の言いたい事が見えてきます。さらに、算数の学習でも、体育の学習でも、比較で見えてきた違いを子どもに説明させることで、子ども達の理解が深まる場合が多くあると思います。比較するという活動は、自分たちで考えることにより、自分たちで進める学習の、出発点にもなります。最初、何と何を比較すればよいのかという状況を、教師から与える必要がありますが、それも次第に子ども達が比較する対象を選べるように育ってくると思います。
■比較の表現は表に表す
比較するには、表でまとめると、何の視点で比べているのかが、はっきりします。数値で表現できる場合は、その結果をグラフ化します。ふりこの学習では、表からグラフ化を進めることができましたね。表にする段階で、縦軸横軸の考えが必要になり、グラフの変化から比較する観点の関係性が見えてきます。数値でなく状態の文字表現の表であっても、将来数値化ができる場合があると思います。結果は表で表す習慣を付けていきたいと思います。
<前回の学習のふりかえり> 大学こぎつね
▼ON・・ちょうどコンデンサーを使った実験をやったことのない小学生だったため、新しい気持ちで実験に取り組むことができた。実験前の実験を、先生に見せてもらったが、短時間だったにも関わらず必要な情報を得ることができていたため、予想を立てることができた。ほんとに初めての実験だったため、すぐに理解できる実験を例に出せるのはすごいと思った。また、グループの協力がうまくいって、対照実験の結果も手に入れることができた。これによって考察の幅も広げることができたため、協力も大切だと知ることができた。
▼KH・・こぎつね理科を見て、各自にまかせる授業のやり方というのも、最初からさせると反感を持つようになると書いてあり、自立に向けても手順が必要ということに、なるほどと思った。何事も順序立てが大切なのは、授業も実験も同じであると感じた。
▼NN・・先生が口頭で話す行動を図や言葉で書き留めることは、とても難しく感じましたが、その分力がつくと思います。今回のように、使用する道具の特性や使い方をはじめに紹介し、そのいくつかの問題から、子どもたちは、コンデンサーとはどういう特徴をもっているのかを考察することは、面白いし、重要なことだと思いました。また、プラレールなど、普段おもちゃとして使うもので実験をするのは、子どもの興味をひくことができます。
▼FT・・今日は今までやったことのない実験をすることができ、新鮮で面白かったです。自分で実際に実験をしてみることによって、明確に変化が分かるので、自主的な学習や実験はやはり大切なものだと改めて思いました。子ども達も興味を持つことができる電車を使っての実験は、自分が先生になった時ぜひやってみたいと思いました。
▼MT・・手回し発電機は教科書等で知っているという程度で、実際に使ったのは今回が初めてだったように思います。また、コンデンサーについても知らなかったので、今回の実験を通して実際に使いながら知ることができてよかったです。教師が学んでこなかったことを教えるというのは、イメージしにくく難しいと思うので、今日のように学べるということは、とても貴重なことだと感じました。今日のように、実験を楽しみながら学ぶことができると、主体的に学ぶ意欲をたかめられるのではないかと思いました。
▼MI・・最初はよく理解できていなかったコンデンサーの役割を、楽しく学ぶことができた。先生の言ったことの要点をまとめて板書するのは、大変だったが、だんだんできるようになってきたように思う。
▼HR・・回した回数が同じなら、ゆっくり回しても、早く回しても、進む距離は同じだと思っていたが、ここまで大きく差がついたことに驚いた。不思議に思ったが、ダムと水力発電の原理と同じであるという話を聞いて納得した。電車が、曲がって進まないために、ひもでレールがしいてあるなど、実験がうまくいくような工夫が多くあったため、参考にしていきたいと思った。
▼OM・・今回の実験では、予想していたことがだいたい当たっていて、小学生でも予想が当たると嬉しいだろうなと思った。教科書には載っていないことでも、先生が少し工夫すればとても面白い実験ができるなと思い、こういったことを思いつけるようになりたいと感じた。また、今回もこぎつね理科では、アクティブラーニングの深い学びが書かれていたが、まさに今回の実験は盛り上がってできて、深い学びにつながるのではないかと思った。
▼MR・・このレポートをつくるのも3回目だが、段々とどのようにまとめればよいか分かってきたので、ノートを作る力がついてきていると感じた。児童のノート力も、このように伸ばしていきたい。
▼YH・・電気は、目に見えないものなので、それをいかに可視化するかが小学校での理科の授業においては重要だと感じた。コンデンサーを扱う授業は、見慣れないものがあるワクワク感と、それがどのように働くかが分かる楽しさも増えるなと感じた。
▼UD・・今日もまた、身近なものを使用しての実験だったので、楽しかったです。また、コンデンサーを使ったことが無かったけれど、はじめの導入の部分で楽しくそのしくみを学ぶことができたので、実験の時に、仕組みを理解しながらできてよかったです。ノートの取り方も少しずつ変わってきて、自分自身でノートを作ることが大切だと、その意味が少しずつ分かってきました。
▼IS・・今回の授業では、回すほど進む大きさが大きくなることは何となくわかっていたけれど、実際に実験をして、その結果をグラフに表すことで、比例していることが分かった。このことから、やはり、表やグラフで結果を目に見える形で表すことで、ぼんやりした気づきから、明確に数値として理解することができた。このことは、実際の教育現場での活動でも大切なことだと思うので、実践していきたい。また、さまざまな比較からの「気付き」で「深い学び」につながると分かった。
▼SG・・コンデンサーは見たことがあったが、使ったことはなかったので、実際に使ってみることができてよかった。コンデンサーは電気を蓄えるものであると、目に見えて分かってよかった。また、グラフを描く事によって、比例の形だとすぐに分かり、120回以上回した際にも、比例の形で走った距離も増えるであろうと予想することができた。コンデンサーだけでなく、LEDなども復習することができてよかった。
▼OI・・今回の実験には、プラレール電車を使用するという子ども達の興味を引きやすい道具を使用した実験で、楽しく行うことができると感じた。また、導入で手回し発電機の使い方を説明するなど、最初の導入が後々の授業に影響するため、導入がとても重要だと考えた。
▼HY・・小学校では、豆電球を使って、同様の実験を行ったが、今回の授業のように、プラレール等、子どもの興味のあるものを用いて、実験をするのは良いと思った。興味のあるものによって、学びはより促進されると思う。先生のおっしゃっていたように、レポートやノートの自分なりの書き方が分かってきた。
▼YM・・目では見えない「電気」という分野は、私もそうですが、苦手に感じる人も多くいると思います。それを、このようにプラレール電車を使って楽しく、また、グラフ化して目に見えるようにすることで、子ども自ら学ぼうという姿勢になると思います。私が小学生の頃に、理科でこのような楽しい実験をしていれば、今頃理科が大好きだったと思います。(きつねT:Yさんが先生になった時、理科が好きになるような授業ができるといいですね。そのためには、今、考える力に付けることですよ。他の先生と同じ授業はしない、教科書指導書にたよらない、自分の頭と子どもの学習の振り返りを突き合わせて次の学習を毎回創造することです。このプラレールの実験は、新教科書での教材開発と、アメリカで子ども達に授業をするという、二つの課題が同時にあり、ひと月ほど毎日考え続けて見つけた実験方法です。人生の間に、そう何度もあることではありませんが、アメリカでの発表もうまくいきました。)