なかよし広場 2011年6月
現在、私たちこぎつね大学附属の小学校と幼稚園は、幼小一貫教育を進める学校を目指して取り組みを進めています。理想的には、初等教育学校(仮称)という新たな学校構想を持ちながら、5、6年前から一歩一歩計画を進めてきました。2年前には、文部科学省の研究指定学校に定められ、幼小一貫教育の取り組みに原動力を得ています。
昨年度の研究指定2年次には、幼小一貫教育の取り組みの一つとして、5歳、1年、2年の3学年が共に活動する「なかよし広場」を企画しました。我が校には、これまで長年取り組んでいる低学年集会(1年~3年)があり、その活動との整合性がまだうまくとれていませんが、幼小の子どもたちが共に活動する時間を持つことに一歩踏み出しました。
昨年度は、4つの「なかよし広場」の活動を進めました。
・なかよし広場Ⅰ ~生き物の絵を描こう~
・なかよし広場Ⅱ ~ならさんぽに行こう~
・なかよし広場Ⅲ ~風やゴムのおもちゃで遊ぼう~
・なかよし広場Ⅳ ~朝の会をしよう~
「なかよし広場」の集団は、月組、星組別の縦割り3学級の活動です。6学級一斉に動くと220人にもなり、十分な活動ができる状況ではありません。月組の3学級でも110人なので、その110人の3学年が混ざるように10斑に分けて、さらに1班11人の中で3~4人の小グループを作り、最小活動単位としました。
「なかよし広場Ⅰ」では、生き物の絵を描こうという活動を、6月末~7月にかけて取り組みました。それぞれの学級で昆虫や水中の生き物の観察をしてきて、模造紙を三枚つないだ大きな紙に身近な生き物の絵を共同して描くことにしました。子どもたちは、それなりに楽しく絵を描きましたが、描く活動以前に子ども間の交流がなかったので、教師も子どもも戸惑いながらのスタートとなってしまいました。後の反省では、次年度は一緒に虫取りに行き、実物の虫を持ち込み、発表交流をするのが良いのではないかと話し合いました。
「なかよし広場Ⅱ」は、ならさんぽに行き、その遠足のまとめを作る活動を、10月~11月ごろに取り組みました。10班を、5人の教師が2班ずつ担当して、月星組別に奈良公園を散歩しました。子どもたちは、2班の中の6グループが単位になり行動します。2年生がリードしながら、1年、幼稚園年長の子どもと共に活動をしました。事前に集めていたドングリを持って行き鹿にやったり、興福寺の五重の塔をスケッチしたり、猿沢池の生き物に麩をやったりと、秋の奈良を楽しみました。年齢の違う子どもが手をつないで一緒に行動し、それぞれ自立した学びを進めました。奈良さんぽの後は、見てきたこと、体験したこと、スケッチしてきたことを、小グループごとにまとめる活動をしました。幼い子どもたちなので、1回の活動時間が長くできません。そこで、園児には3日間続けて小学校の体育館に来てもらい、1時間程度を使って見てきたことの絵を描きました。鹿、五重の塔、猿沢池の生き物などのテーマから、一つ選んでまとめを描くことにしました。園児は8つ切り画用紙、1年生は4つ切り画用紙、2年生は模造紙に描き、2年生の模造紙を中心に、園児、1年生の描いた画用紙を一つにまとめるようにしました。表現、学びは異学年の間に伝承されるようで、2年生のまとめや絵を見習って、1年生、園児はまねながら描いていくことが感じられました。後日、完成した掲示物を持ちながら、発表交流会をすることにしました。奈良さんぽの時の5つのグループに分かれて、1年、2年の月組の教室で2つの班の発表、広い集会室で3つの発表をしました。1班の発表では6グループの発表を互いに聞き合い、発表の仕方、おたずねの仕方なども学び合えました。
「なかよし広場Ⅲ」は、風やゴムのおもちゃで遊ぼうの取り組みをしました。これまで同じ小グループのメンバーで活動を進めているので、兄弟姉妹のような関係になってきています。ここでは、風で動く車、ゴムで動く車、ゴムを飛ばす遊びの三つから課題を選んで、グループでゲーム化を進めました。3年の理科学習で取り組むテーマですが、ここでは理科を離れて、子どもらしい工夫がたくさん見られるゲームが開発され、互いに参加しあってゲームあそびを楽しむことができました。
「なかよし広場Ⅳ」は、朝の会の元気調べに取り組みました。この活動は、1年と年長の子どもが半分ずつ混じり合って、2つの場所で朝の元気調べをしました。1年の発表を聞きながら、園児も一言発表を次第に言えるようになってきました。生活を共有することの大切さを感じることができ、もっと早い時期から朝の会の交流をするべきだったと反省させられました。
以上、異年齢混合で進めた新たな「なかよし広場」の活動は、劇や発表を中心とした「低学年集会」とは違い、一緒に異年齢が活動を創って行く学習場となりました。「なかよし広場」の活動を通して、我々は、学びの伝承、協同的な学び、子ども文化の創造という視点を得ることができました。