なかよしラボ2015年12月17日
今年の1月の末に、文科省より研究開発学校の指定の決定をいただき、4月より4年間の計画で研究を始めました。研究課題は「幼小一貫教育において生活と学習をつなぎ、同年齢や異年齢で協働的に探究を深め、多様な能力や個性的な才能を引き出す『生活学習力』を育成する教育課程の研究開発」です。日々の学習や活動を進めるだけでも大変なのに、研究指定を受けることは、さらに過酷な状況で学習活動をすることになります。なぜそのようなことをするのかと言うと、附属学校の存在意義として、公立小学校より一歩先の教育研究を進める使命があるからです。研究をしない附属学校はいらないのです。
本校に赴任される先生方は、教育研究をすることを覚悟の上で着任されています。また、本校に入学されるご家庭の子どもたちは、近未来型の教育、実験的な教育を目指した生き生きとした教育環境の中で学ぶことを希望して入学されていると信じています。私たちは現在、幼小一貫教育の提案、協働的な「なかよし探究活動」の深化、多様な能力や個性的な才能の進展、生活と学習をつなぐ生活学習力の構造化、生活経験カリキュラムの作成などを目指しています。次の学習指導要領は1、2年後に提示されますので、現在の研究は、さらに10年先の学習指導要領改訂の資料になるような教育の姿を目指したテーマを掲げました。文科省は、その時の改訂の基礎資料になるような研究と見込んで、本校の研究課題を取り上げてくれたということです。
子どもの個人の研究を育てる学校は、これから真に求められると考えています。それも、初等教育からこのような追究の場を提供する学習のあり方は、多様な能力や個性的な才能の進展を目指す近未来型の教育だと考えます。そろそろ、旧来型の入試形態である、選別のための詰め込み記憶型の教育から脱却しないと、日本の大学教育はだめになってしまいます。世界的な大学ランキングでも、東大、京大がさらに順位を落としていると聞きます。入試合格のためだけの塾や進学校が最近ではますます増えて、入学テスト通過能力を育てるシステムが完成してきています。そこでは、考えさせる暇はなく、読み方、解き方、書き方、答え方を丁寧に教え、子どもは覚えることに徹してしまっています。その方が、入試に通るという目的には適しているからです。さらに大学自体も、就職試験対応校になりつつあります。
私たちは、初等教育において、自ら学ぶ意欲を育て、能力や才能の進展を目指した教育のあり方を提案しようと考えています。将来の進学テストでは、基礎的な学力テストと共に、「小学校の時どんな研究をしてきましたか」「その研究は、生活の中でどんな価値がありますか」「研究の経過と成果を少し発表してください」「では、そのレポートを提出してください」というようなことを問うようになると想定した未来像を描いています。
これまで、こぎつね附小の三種の神器として「日記、自由研究、朝の元気調べ」と私は言い続けてきました。今もその思いは変わっていません。他の学校が真似をしようとしても簡単にできなくて、本校の各学級がひたすら続けている活動です。そして、今回の研究開発では、自由研究のさらなる発展形態としての「ラボ」研究を進めます。この三つの活動は、生活学習力を育てる真の源でもあるのです。守り続けていくことは、本校の存在価値の普遍性の証明です。 (副校長)