続ける力 2015年5月20日
進級、クラス替え、担任の先生が変わるなど、緊張する春のスタートでしたが、ひと月が過ぎ、子どもたちもそろそろ全力で学習に向かうことができるようになってきたと思います。1年生も、新しい生活に慣れてきて、学校が楽しくなってきているようです。
わが校では、日記、朝の元気調べ、自由研究の発表、委員会のお伝え、学習のめあて・ふりかえり、おたずね、独自学習、相互学習、しごと・けいこ・なかよしの学習など、「学びのお作法」とも言えるこれらの活動を大切にしながら、子ども主体の学習づくりを進めています。言いかえると、子どもが自立して、子どもが進める学習を創るには、これだけの仕組みがないと成立しないとも言えます。どれか一つの活動が不十分であると、アリの一穴と言うべき学級崩壊、学習崩壊につながることになりかねません。教え諭すことのできないことばかりなので、私たちは多くを話さないで、見守り、活動を育てる教育を、忍耐強く続けています。急な予定変更、とても忙しい行事、突発的なできごとなどがあっても、日々の子ども達の学びを乱さず、「学びのお作法」の活動を続けることが大切です。
最近、小出義雄(こいでよしお)さんの本を読みました。小出さんは、積水化学陸上部監督時代、2000年のシドニー五輪で高橋尚子を念願の金メダルに導いた監督です。「マラソンのトレーニングは、毎日計画的に続けることが大切であること。」「一週間走らないと筋力が半減し、二週間走らないと普通の人になる」と書いています。研ぎ澄まされた最先端のアスリートのトレーニングのことを言っておられるのですが、二週間しないとアスリートではなく普通の人になるというのは、心に響く厳しい言葉です。みなさんも、サッカー、野球、水泳、剣道、体操、バレエ、ピアノ、そろばん、お習字など、一週間しないと力の落ちていることが分かり、一か月も離れると、全く思うように体が動かなくなるのを感じたことがあると思います。
学校生活の中でも同じようなことが言えるのかもしれません。子どもたちは、日頃あまり感じていないかもしれませんが、ノートを書く、本を読む、算数問題を解く、話をする、聞いてメモを取る、文章を書くなど、毎日かなりの量をこなすように取り組んでいて、その後、休日などでしばらく活動から離れていると、急にできなくなるのを私たち教師は感じています。長期の休み明け、連休明けなどは、子どもの学習力や集中力が随分落ちていることがよくあります。
私は、週に一度でも10~20キロ程度歩いている時は、足の調子はよいのですが、あまりに忙しくなり、ひと月間、長い距離をほとんど歩かなくなると、体のバランスが悪くなるのを感じます。読書も、毎日100~200ページ読んでいる時は、かなり早く集中して読めるのですが、数日間でも読まない日が続くと、読み取りの力や集中力が落ちるのが分かります。さらに、子どもの日記を読む力、子どもの発言をメモする力、コンピュータに打ち込む力なども、教師の仕事として毎日していると早いのですが、しばらくあけると随分力は落ちています。
私たちの学校は、「学びのお作法」の活動を毎日毎日取り組むことで、子どもの自律した学習力を日々高めています。心が乱れないように、リズムよく、学び続けたいものです。 (副校長)