おたよりで伝える「書く力」

 ~学級だより・学年だより・理科だよりを書く楽しみ~  201410

 

1.おたよりを書くこと

 学級だより、学年だよりを、日頃書いている先生方はたくさんおられると思います。私も、新任の頃から約35年間、毎年なんらかのおたよりを書き続けてきました。担任の時は、学年だより、学級だより、学習だよりを書き、専科教諭の時は、理科だよりを書きました。

目的は、子どもたちに、その時々の学びの楽しさを伝えるため、いろいろな子どもの学びを広げるため、また、教師の思いを伝えるためでした。子どもたちに、そして、保護者の方に、学習の様子を伝え続けてきました。

長く書き続けてきて、おたよりは子どもの活動記録であり、また、教師の日記だったように思います。また、自分の文章修業でもあったのかもしれません。読んでくれる人は、学級だよりの場合は、40人の子どもとその保護者ですが、理科専科の時の理科だよりの場合は、最大8クラスの子どもとその保護者でした。毎週、何百人もの方に読んでいただける幸せと緊張を感じながら書き続けてきました。教師は、とても責任ある立場にあると思いました。

 

2.お便りの書き方

 おたよりは、最初に用紙の大きさを決めます。B5B4A4など、どの大きさの用紙を使うかです。B4を使った場合は、A4で二枚書いて、二枚を合わせてB4に縮小して印刷するので、書く量が多くなりました。

 次に、どれぐらいのペースで出すかを決めます。毎日、週に一回、月に一回、不定期などがあります。学年だよりや、理科だよりは、週に一回が多かったように思います。学級だよりは、不定期に、例えば二日に一度程度出していて、年間百号ぐらいのことが多かったように思います。学年だよりは、複数の担任が順番に書き、学級だよりはもちろん担任が書きます。

 おたよりに愛称を付けることは大切です。こぎつね附小に来てからは、「まほろば・あをによし・のびていく・こぎつねノート・こぎつね研究所」などを使いました。堺市の小学校にいる時は、「あすなろ・たんぽぽ・すぎのこ・こいも・よいこ」などを使っていたことを思い出します。

昔は手書きをしていました。鉄筆を使ってろう原紙に書く経験はないのですが、新任の頃は、鉛筆で書いた原稿を製版して印刷していました。次第にワープロを使って書くようになり、20年ほど前からはコンピュータを使うようになりました。

 

おたよりの内容は次のようです。

    学級や学校の子どもの様子。

    行事や学習の様子。

    家庭への連絡やお願い。

    学習への啓蒙。

    学習ノートや日記の紹介

    博物館・観察会・図書館の紹介

    本の紹介

    各地の自然の紹介

 

以上のような内容を、学年だより、学級だより、理科だよりに書いてきました。以前に書いたことをもう一度書かないように努力しました。

 35年間、その時々に書いてきたおたよりは、今も全て残しています。私とその時の子どもたちと、共に歩んできた足跡だと思います。

 

3.おたよりで伝える書く力

 おたよりは、教師の日記です。また、教師の作文です。子どもたちに、その書き方、書く内容、書くペースが伝わります。教師がよくおたよりを出している学級は、子どもたちに書く力があります。それは、担任の先生が、書くことに対して敏感で、丁寧だからです。先生自身が、書くことが大好きだからです。

 書く力をつけるには、結局、先生が書く楽しさを子どもに伝えることに他ならないと思います。担任の時は、毎日日記を読んで、心に残る日記は、コンピュータに記録して、おたよりに使いました。発想のいい学習のまとめ、心に残る一文も記録しておきます。最近は、デジタルカメラで撮影しておいて、その映像を見ながらコンピュータに打ち込むようにしています。便利な時代になりました。

 私は遠距離通勤です。朝早く電車に乗ると座れます。電車の中でコンピュータを開きおたよりを書いてきました。「君たちも書くことを頑張ろう」と、自分も苦労をして書いていることを、子どもたちに伝えることができました。