まほろば村 こぎつね小学校 第3話 畑しごと 2006.12.18

 

 まほろば村こぎつね小学校の校舎裏には、広い畑があります。理科大好きこぎつね達が、夏の暑い日も、冬の凍るような寒い日も、畑を耕したり、雑草をとったりして、畑のお世話をしています。

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 春から夏にかけては、キャベツ畑やナノハナ畑にたくさんのモンシロチョウが飛んできて、卵を生んでいきました。ミカンの木には、アゲハチョウがやってきました。虫博士のサツキ君は、アオムシが大好きです。飼育ケースに入れて、観察をしながらたくさん育てました。そして飼育ケースの中で次々とさなぎになりました。さなぎは、しばらくしてチョウに羽化して、大空に飛んでいきました。「また、戻ってきて卵を生むんだよ」と、旅立ちを見送りました。

 ミナヅキさんは、つる(蔓)をぐんぐん伸ばすヒョウタン、オモチャカボチャ、ヘチマを育てました。ヒョウタンは、白い花が咲いた後に、小さなヒョウタンの実が次々とできました。秋になって、熟したヒョウタンを友達のこぎつね達にも配って、一人ひとりが、ヒョウタン水筒を作ることにしました。みんなは喜んでもって帰りました。

 フミヅキさんは、ヒマワリを育てました。ヒマワリはフミヅキさんの背よりも高く育ちました。そして、夏のある晴れた日に、フミヅキさんの顔ぐらいもあるヒマワリの花が太陽に向かって開きました。丁度、こぎつね小学校のプール学習がある頃でした。水やりは大変ですが、毎朝、一生懸命にやったおかげで、次々と大きなヒマワリの花がさきました。秋になって種を取りました。一粒の種から育った一本のヒマワリから、約1000個以上の種ができます。フミヅキさんは、本当にたくさん種が出来るのだなあと感心しました。今度、この種を学校中に蒔くと、学校中をヒマワリだらけにできるなあと、みんなで話し合いました。

 ハヅキ君は、トウモロコシを育てました。今年のトウモロコシは、ポップコーンにできるものです。トウモロコシは、お花(雄花)が茎の上の方にほうきのように咲き、そこから花粉が風に運ばれて、下の方に開いているめ花(雌花)について実がみのります。皮つきのトウモロコシの先についているひげのようなものがめしべであることを、ハヅキ君は今年初めて知りました。そして、そのめしべ一本ずつに、実が一粒ずつ実ることを発見しました。夏休みの暑い日に収穫して、からからに乾燥させました。もうすぐみんなでポップコーンにして食べるのを楽しみにしています。

 ナガツキさんは、メダカや金魚のお世話をしています。毎朝、餌を与えて水槽の管理もしています。6月ごろ、こぎつね小学校の5年生は、メダカの卵の観察をしました。顕微鏡カメラで見たメダカの卵は、テレビ画面いっぱいの大きさに映し出されました。卵の中では、目や背骨が出来ていく様子、心臓が動き出し、血液が流れている様子が分かりました。ナガツキさんは生命の不思議を感じました。次々と卵が孵化して子メダカが増えたので、ナガツキさんは、裏の池にメダカを放しました。そこでもメダカが卵を生んで増えていき、まるで、メダカの学校のようになりました。今年はそのメダカ池にハスを植えたので、丸い葉が水面に浮いていました。また、イネを育てたり、お友達が持ってきてくれたガマを植えたりしました。

 カンナヅキ君は、夏休み明けに畑を耕して、ダイコンとカブの種を蒔きました。ダイコンとカブは、数日で芽を出し、成長しました。種は一箇所に三つずつまいていたので、少し育ってきたら一番丈夫な苗を残して、一本ずつにしました。毎日、水遣りを続けて、秋の終わりごろには、収穫することができるまで育ちました。「うんとこしょ、どっこいしょ」と、ダイコンとカブを抜いて、こぎつね小学校の給食で食べました。カンナヅキ君は、いつもの給食より、おいしく感じました。

 シモツキ君は、コスモスを育てました。去年種が落ちたところから、春にコスモスの芽がたくさん出てきたので、雑草取りのとき、コスモスの芽だけを残して大切に育てました。秋には、晴れ渡った青空に似合うピンクや白の花を、たくさん咲かせました。

 シワスさんは、ナノハナとシュンギクの種を9月に蒔きました。順調に芽を出して、どんどん葉を広げています。来年の春、花のつくりの研究をするときのために育てています。こぎつね小学校の冬はとても寒く、真冬には花壇の土が数センチ凍ってかちかちになります。種を蒔くのが遅くて、芽が小さいと、冬の寒さでみんな枯れてしまいます。今年は、シワスさんが早く種まきをしたので、12月にはナノハナとシュンギクは、かなり大きく育っています。これなら、来年の春には美しい花を咲かせます。そしてナノハナ畑には、また、たくさんのモンシロチョウがやってくることを楽しみにしています。