白亜紀の終焉 K/T境界 2005.10.18

 

 5年程前、カナダへ地質見学に出かけました。その時、恐竜関係では世界最大級の展示だと言われるロイヤル・ティレル博物館と、カンブリア紀の化石が見られるバージェス山と、アサバスカ氷河を見てきました。褶曲山脈であるカナディアンロッキーの写真もたくさん撮ってきました。

 ロイヤル・ティレル古生物学博物館は、中生代の地形に囲まれた恐竜の町、バッドランド(Badland)と呼ばれるドラムヘラーに、1985年に開館した博物館です。ロイヤル・ティレル博物館には、カンブリア紀の化石の世界的に貴重な産地であるバージェスで見つけられたアノマロカリスの化石の展示も当然あり、プレカンブリア、カンブリア、古生代、中生代などの多くの化石が展示されていました。特に、恐竜の発掘現場の直ぐそばに建てられているので、恐竜化石の展示は充実していて、化石発掘現場の見学ツアーもあります。我々が参加した2時間ほどのツアーでは、地質学専攻の大学院生が説明をしてくれました。訪れた場所は、ティラノザウルスの骨の現地記録をしている崖のところで、歯の化石を実際に触らせてもらえました。

 大阪の自然史博物館(長居公園)では、「恐竜博2005」が開幕しています。ティラノザウルス「スー」(推定全長12.8メートル)の全身複製骨格をはじめ、恐竜の化石や標本を集めています。10カ国で発掘された約70点の化石や標本を、恐竜が鳥へと進化したという学説をたどる展示がされていて、複製骨に触れられるコーナーもあるそうです。スーの肋骨(ろっこつ)の実物も公開されています。 10月8日から11月27日までです。入場料は一般900円、大学・高校生800円、中学生以下無料なので、ぜひ小中学生はお出かけ下さい。

 

 

 今から約2.48億年前から6500万年前までの約1.83億年間を中生代といいます。中生代は、陸上の植物や恐竜たちが大繁殖して、地上を支配していました。その恐竜たちが大絶滅する事件が、6500万年前にあったことが分かってきています。中生代の終焉は、大きな隕石(直径10㎞)が地球に落ちて、その時に巻き上がった土煙が大気中に拡散し地球を回り、太陽からの光を地上に約1~2年間届かなくしたことが原因だと考えられています。隕石が落ちた場所は、メキシコのユカタン半島と分かってきていて、大きなクレーター(直径200㎞)が見つかっています。この隕石が落ちた中生代と第三紀の境界を、K/T境界といい、隕石衝突によってもたらされたイリジウムを多く含んでいる地層が世界各国で見つかっています。また、最近、隕石衝突の時に起こった巨大津波による地層もカリブ海周辺で見つけられていて、その地層の厚さは700mもあります。どれほど大きな波が押し寄せたのか想像もつきません。

 

 

 つい最近の研究では、地球が全て凍結した時代があったということも分かってきています。7億年前に起こった全地球凍結は、熱帯地方まで全ての水が凍結しました。その過酷な時期の次に、カンブリア紀の生物が急激に進化し始めたと考えられています。生物の進化は、絶滅的な災害の後に爆発的に起こります。