天体観測 2005.10. 3
空に満点の星が輝くのを見ると、きつねTが若かったころ、よく天体観測をしたことを思い出します。
私が高校生の頃は、アマチュアの天文観測が、そろそろ広まってきていたころでした。個人用の望遠鏡は、今よりもずっと高価で、自分で大きな望遠鏡を持つことは高校生では不可能でした。そこで、高校の地学教室が持っていた口径15㎝の天体望遠鏡を借りて、数人で手分けして担ぎ、電車に乗って星がよく見える山地へ出かけました。そのころの私たちは、カメラ撮影などの観測技術を持っていなかったので、土星や木星や金星、そして、いろいろな星雲、星団を実際に見て楽しんでいました。写真ではなく、自分の眼でそれらの天体を見た時は、やはり高校生でも、とても感動したものでした。詳しい星図を持っていたので、自分が見た星雲、星団に印を付けていくのが楽しみでした。
そして、大学を出て教師になりました。私の教師のスタートは、たまたま堺市の科学教育研究所の勤務からでした。理科教育に熱心な小、中、高校の先生方が、研究所にはよく出入りされていて、一緒に、野外観察をしました。この研究所にいたころ、中学校の理科の先生達と一緒に、天体写真を撮りに、室生の山奥へよく出かけました。夏は、空に水蒸気が多くて、いい天体写真が撮れないので、主に厳冬を中心に出かけるようになりました。氷点下まで下がる晴れ渡った星空の下で、夜の7時頃から夜中すぎまで、望遠鏡に取り付けたカメラで、写真撮影をしていました。寝袋に体をすっぽり入れて、豆炭こたつを膝に抱きながら、望遠鏡で天体写真の撮影をしました。そこでは、理科教育に使う教材用の星座写真や月の写真をたくさん撮りました。望遠レンズ、広角レンズを使ったり、望遠鏡の覗くところに直接カメラを取り付けたりして撮影をしました。フイルムも、いろいろな種類を使い分けたり、自分で現像したり、プリントしたりしていました。
現在は、デジタルカメラがあるので、望遠鏡に取り付けて、直ぐに撮影することができます。また、月なら簡単に、固定した双眼鏡でも、クレーターを写すことができます。天体望遠鏡を持っている皆さんは、今、月の動きの観測をしているときに、是非とも、月や星の映像をデジタルカメラで撮影して、プリントして持ってきて下さい。
さて、今、4年生は、月の動きの観測をしています。先日の4年星組の授業の時、月の観測結果を発表してくれていました。その様子を見てみると、夜の10時頃から、1時間おきに朝の9時頃まで、連続した観測記録でした。そのデータの素晴らしさに、思わずお尋ねをしてしまいました。
「夜中は、誰が観測したのですか。」
「私と母です。」
「夜中の、1時、2時、3時、4時は、本当は母だけですか。」
「いいえ、一緒に目覚まし時計をかけて、1時間おきに起きて観測しました。」
「ごめんなさい。先生は寝てしまっていました。」
このように、朝まで観測をしている人が、数人いました。その熱心さに、驚き、そして子ども達は幸せだなあと思いました。有り難いことです。