生活の中の酸性・アルカリ性 2005.9. 20
6年生は、今、水溶液の酸性アルカリ性の学習をしています。私が担任している2年星組の教室でも、夏の自由研究で、酸性・アルカリ性の実験が二つも発表されています。2年生の研究は、どちらもムラサキキャベツの汁を使って、生活の中にある水溶液を調べる学習です。
ムラサキキャベツを使った実験について、お話ししましょう。ムラサキキャベツは、八百屋又は、スーパーマーケットで売っています。実験に使う程度なら4分の1にカットしたもので十分でしょう。それを買ってきて、お鍋に水と一緒に入れて煮ると、紫色のスープができます。水は適当です。かなりの量を入れても、綺麗な紫色になります。色の抜けたキャベツは食べることはできますので、料理に使って下さい。ここでは、このきれいな紫色のスープを使って、実験をしていきましょう。
理科室では、試験管を使うのですが、家ではガラスコップで十分です。ガラスコップに紫色の汁を入れて、そこに、調べたい液体を少し入れるようにします。酢、洗剤、レモン汁、ブドウ汁、ダイコン汁・・・など、いろいろ加えてみて色の変化を見ます。アルカリ性の場合は黄色になり、中性の場合は、ムラサキのまま、酸性の場合は赤くなります。家庭の中には、アルカリ性のものが案外少なく、探すのが大変です。私の経験では、胃薬の中に二種類あって、消化を助けるものは酸性で、消化を押さえる胃潰瘍の薬はアルカリ性でした。また、お風呂洗剤などの中に、アルカリ性のものがあります。ジュースの中には、アルカリ飲料と書いてあっても、酸性の場合があるので、調べてみると面白いです。
色の付いたものは、調べにくいので、色のついている液体を少しだけ使うか、又は薄めてから使って調べてみて下さい。
このムラサキキャベツの煮汁は、野菜スープです。夏ならすぐに腐りますので、冷蔵庫に入れて保存します。2年生の実験の提案から、この煮汁を小分けにして凍らせておくと、使いたいときに解かして使えることが分かりました。また、紙にしみこませて乾かしておくと、リトマス紙のように使えるかもしれません。
次に、酸性雨についてお話しします。最近は、あまりうるさく言われなくなりましたが、雨は大気中の物質を溶かして地上に降り注いでいます。大気中には、煙突や車の排気ガスから出された窒素酸化物や硫化物などが含まれていて、それらを溶かした雨水は酸性を示します。また、空気中の二酸化炭素も溶かしていますので、それだけでも少しは酸性を示します。調べる方法は、雨の降り始めの水を綺麗に洗ったコップで集めます。それをムラサキキャベツの汁(凍らせておいたものが役に立つ)を使って調べると酸性であることが分かるはずです。また、酸性雨のことが、しきりに言われた頃、雨が酸性なら、川や池の水は酸性になっているのかを調べたことがありました。案外、弱アルカリや中性が多いのは意外でした。
6年生の学習では、酸性やアルカリ性の水溶液と金属との反応を見ます。金属と反応して、金属は水溶液に溶けて、気体の水素が発生します。6年生の感想には、「なんか理科らしい実験だなあ。」というものがあります。危険な塩酸や水酸化ナトリウム水溶液を使っていますので、とても慎重に学習を進めています。
酸性、アルカリ性の程度は、pHという単位で表します。0~14までの程度があり、7が丁度真ん中の中性です。7以下が酸性、7以上がアルカリ性です。学校では、リトマス紙を使ったり、BTB溶液を使ったりします。リトマス紙は、紙にリトマス苔の煮汁を含ませて乾かしたものです。BTB溶液は、ムラサキキャベツより敏感に反応する試薬ですが、はっきり、pHがいくらと分かりにくいのです。鋭敏に変化するpH試験紙やデジタル表示されるpH計があり、それで測定します。