曽爾高原で野外観察 2005.9. 12
ススキが風になびく秋の曽爾高原は、とても美しく、大和の原風景が感じられます。今年の3年生は、最高の季節に、曽爾高原で一泊二日の野外体験学習を行います。ここでは、曽爾高原の自然について少し説明してみたいと思います。
曽爾高原は、室生寺から南方にある、山に囲まれた地域です。奈良県と三重県の境に位置していて、かつての伊勢参りの山越え道が川沿いに通っています。車で曽爾高原へ行く場合、西名阪国道の針インターから南へ走り、榛原を通り曽爾村へと向かいます。
曽爾の自然について考えましょう。まずは、きつねTの得意な岩石の話からです。かつて、きつねTは、室生寺周辺から、曽爾の屏風岩、兜岩、そして赤目の滝という広い地域に分布する岩石を調べていたことがあります。柱状節理がよく見られる「溶結凝灰岩」という岩石です。昔は、石英安山岩と言われていた岩石でしたが、調査によって、溶岩ではなく、火砕流堆積物であることが分かりました。二上山と同じ頃の、古い火山噴出物なので、噴火口がまだ分かっていません。おそらく、曽爾高原のさらに南にある高見山周辺ではないかと言われていますが、はっきり特定されていません。曽爾のあたりかもしれません。
火砕流堆積物とは、火口から火山灰と火山ガスが勢いよく吹き出して、地面にそって流れる雲の様な流れです。とても危険な噴火で出来た岩石です。また、柱状節理とは、高温の岩石が冷えるときに、柱のような形に岩石がひび割れた様子です。今回行く曽爾高原は、きつねTは、まだ岩石を調べていませんので、登山をする亀山や自然観察をするお亀池の周辺の地質は分かりません。皆さんと一緒に出かけたときに、岩石も調べてみたいと思っています。
次に今回の学習の中心の植物です。ここでは、340種もの植物が観察されるそうです。一年間を通してのものなので、秋に花を付けている植物は、その中の一部です。曽爾周辺の植物図鑑の初秋から秋の目次では次のような植物が挙げられています。
1 サワギキョウ
2 ママコノシリヌグイ
3 ネコハギ
4 アキカラマツ
5 シオガマギク
6 ナデシコ
7 ナンバンギセル
8 キキョウ
9 オミナエシ
10 クズ
11 ウド、シシウド
12 ノダケ
13 ヒヨドリバナ
14 ミズトンボ
15 ハギ
16 ススキ
17 アキノキリンソウ
18 アザミ
19 ヤマボクチ
20 ツリガネニンジン
21 アキノノゲシ
22 ヤマニガナ
23 ナギナタコウジュ
24 ホトトギス
25 センブリ
26 アシ
27 ヤクシソウ
28 ノギク
29 リンドウ
30 セイタカアワダチソウ
3年のみなさんは、これらの植物のデジタル図鑑を作るように、デジカメで写真を集めようと思います。本当は、植物採集をしたいのですが、希少植物も含まれていますので、今回は、写真撮影で学習をします。各グループで、秋の曽爾高原植物図鑑を作って下さい。
さらに、昆虫の観察もします。きつねTが先週の休みに出かけたときは、アカトンボ、アゲハチョウ、キチョウ、ハチが飛んでいて、草の中では、秋の鳴く虫の声が聞こえました。昆虫も、採集をして、デジカメで撮影して、逃がしてあげるようにしましょう。
秋の野山の植物と昆虫とそして、岩石の学習を、豊かな自然の中でします。楽しみましょう。
