ちょっと難しい月の観測 2005.9. 5
秋の4年生は、月の動きの観察をします。月の観測は、太陽の動きを影でとらえたようには簡単に出来ないのです。
まず、天空の月の位置をどのように、平面の記録にしていくかが問題です。さらに、夜間の観測も必要になってくるので、家庭で観測をしなければ学習が仕上がらないということです。また、月は、毎日、出る時刻や出る方位が変化し、形も変わります。実は、天空を通る高度も毎日変化します。このように観測上の困難点がたくさんありますが、今後、具体的に月の学習をどのように取り組めばいいのか、考えてみたいと思います。
皆さんは、月が昼間に出ているのを見たことがありますね。月は、夜だけ出るのではなく、だいたい太陽とよく似た通り道を通り、一ヶ月かけて、太陽に近づいたり、離れたりして動いているように見えます。しかし、実際の太陽に近づいているのではなく、地球から見た様子がそうなのです。
月の形は、太陽からどれぐらい離れているかで形が決まってきます。太陽に近いときは、三日月のような細い形、90度離れているときは、上弦、下弦などの半月の形、180度離れているときは満月ということです。月と太陽の、両方の位置を記録しながら観測をすると、これらの関係が分かります。
では、どのように観測をすればいいのでしょうか。
方位は、方位磁石を使うといいでしょう。それを北からの角度で表すと、北を0度、東90度、南180度、西270度というように、方位一周を360度で表すようにします。8方位や16方位より記録がしやすくなると思います。方位を調べるには、真ん中に自分が立てるような、大きな方位図を準備しましょう。
高度は、教科書には腕を伸ばして、握り拳一つが10度と書いていますが、これはとても不正確な測定方法です。月は、直接目で見ることが出来ますので、筒のようなものでのぞきながら、その仰角(ぎょうかく)を測定する道具を作るといいでしょう。
さて、道具は出来ました。観測は、下弦又は、上弦の月から観測を始めましょう。これらの月は、昼間でも見ることが出来ますので、明るい間に、学校で観測をして、その続きを家ですることが出来るからです。黄色いシールにマジックで影になっている側を塗りつぶして、方位と高度で捉えた測定場所に貼っていくようにします。そのとき、月の傾きもしっかり見て貼っていくようにします。
太陽の位置測定は、この月観測用に作った道具では観測できないので、自分で工夫して、影を使って方位と高度で捉えてみて下さい。自分で工夫することはとても大切なことです。
三日月は、あまり明るくなく、さらに、太陽の近くにあるので、昼間はとても見られません。太陽が地平線に沈み空が薄暗くなると、西の地平線近くに見えます。しかし、月を見慣れてくると、昼間でも、太陽の近くの青空の中に、三日月を見つけられる人もいるかもしれませんので、挑戦してみて下さい。
満月は、太陽が西に沈むと、東の空に出てきます。観測を夜中までしても、南中までしか観測が出来ませんが、月の出る方位をとらえることができます。秋はお月見にも当たるので、満月の観測をぜひ成功させてみたいものです。
ちょっと大変ですが、小学生の時しか出来ない観測です。こだわって、天体観測の基礎を身につけて欲しいと思います。何人の人が最後までやりきれるのか楽しみにしています。