現象を論理的に捉える力 2005.9. 5
科学的な思考力をつけるにはどうすればいいのか考えてみることにします。人が生きていく上で基本的な力である、書く力、話す力はもちろん理科教育でも意識して付けることは大切ですが、国語や社会や図工とは違う、理科学習を通して本当につけなければならない能力とは一体何かを一度しっかり見つめてみることにしましょう。
日本は、科学立国でなければ、厳しい世界経済の中で生きていけないことを、皆さんも感じておられることと思います。資源が殆どない国なので、人材を育てることが大切なのです。しかし、最近、理科離れ、科学離れをしてきている若者が多くいるのではないかと言われてきています。その原因の一つは、小学校の学習指導要領では、低学年理科を無くして生活科にしてきたことです。また、私たちが高校生の頃は、物理、化学、生物、地学の全てが必修でしたが、最近では高校で子どもによる教科選択が可能となり、文系の人は殆ど理科を選択しなくても大学へ進学できるし、さらに、理系の人でも、理科の中の教科選択が進み、2科目程度で大学進学テストが受けられるようになりました。例えば、東大医学部に、高校の時、生物の学習をしていなくても合格した学生が出てきているという、基礎学力欠如が問題になっているようです。また、勉強嫌い、考えるのが嫌いな学生が、大学に進学している状況も進んできています。
このような、社会の変化によって、理科離れをさせてしまった現状を回復しようと、大学・高校の理科の先生を中心に、おもしろ科学実験や、家庭で出来る科学実験などが、テレビや本などで紹介されて大流行しています。このことによって、少しは理科の復権は進むかもしれませんが、根本的な理科教育の力を育てるものではないと私は考えています。小学校理科教科書におもしろ科学実験を並べていくと、理科好きになり、科学的な思考力がつくのかと言えば、そうでもないように考えるからです。
私は、今、もっと基本的な、科学的な見方を身につけさせることが大切ではないかと思います。それは、現象をどのように捉えるのかという、根本的なものの見方です。そこで、今後の理科学習の中では、「表」や「グラフ」によって自然の現象を整理して、構造的に捉える力をつけることが大切にします。「表」は、分類の視点を育て、変化の方向性をはっきり意識させます。表で整理することで、論理的な科学的思考力を身につけさせたいと考えます。
▼今週の予定
3年
曽爾高原の自然観察の準備と計画を進めます。植物図鑑、昆虫図鑑などの準備をお願いします。また、太陽高度の観測を秋分前後にします。
4年
夏の生き物の様子の学習を最初にします。続いて月や星の動きの観測に入ります。
5年
天気の学習をします。近づいてきている台風14号の動きのデータ集めを新聞などからして下さい。
6年
酸、アルカリの学習の前に、白浜の海の生き物のまとめを進めています。
科学グループ
集会発表に向けて、白浜の磯観察のまとめをします。