メダカを育てよう 20055. 23

 

 5年生は、これからメダカを育てながら、命の学習をしていきます。命は、自分が育てて初めて、微妙なバランスのつながりで成り立っていることが分かります。餌を与えない、また、餌を与えすぎて水が汚れると、病気が発生し、死なせてしまいます。うっかりすると全滅させてしまい、自分の不注意さを痛感させられます。しかし、このような命を育てる学習は、生命を愛おしむ(いとおしむ)心を育てます。ぜひ、今の年齢でしておきたい体験学習です。

 きつねTが子どもの頃、大阪市内の田んぼの水路にも、メダカがいました。春になると、群れをつくって泳ぐメダカや、ミズスマシや、カエルなどを、網ですくいに行きました。メダカは寒い冬の間は、じっと水の底で休んでいて、水温が上がると、春の日だまりを求めて、田んぼの横の小川、そして水がはられた田んぼへと移動してきます。

 メダカは、雑食性の魚で、植物質のアオミドロや動物質のミジンコやボウフラなどを好んで食べます。目よりも上に口がついているので、水面に浮いている食べ物をとるのに都合よくできています。メダカは、過酷な環境にとても強い魚で、きつねTの家の7階のバルコニーで、夏も冬も乗りこえて生きながらえています。

 水温が15度を超えるようになると、産卵の季節になります。雄と雌を一緒に飼っていると1匹の雌のメダカが毎日30~40粒の卵を産みます。同時に雄のメダカが精子を出して、卵にかけて受精卵ができます。受精卵は、水草にお腹をこすりつけるように泳いで数粒ずつ水草に付けていきます。でも、メダカの卵の多くは、仲間や親に食べられてしまい、育つのは一部なのだそうです。雌のメダカが一日30粒卵を産むとして、一年の内、約150日間も産み続けるので、合計4500粒にもなります。水槽で飼うと、だいたい4~5年は生きるそうです。

 メダカは、日本で一番小さな淡水魚です。野生のメダカは、最近ではクロメダカと言われて、繁殖させてペットショップで売っています。また、一般的には、突然変異で体の黒い色素が無くなったヒメダカが観賞用として売られています。習性は、野生メダカと一緒です。日本の野生メダカは、絶滅危惧種として登録されていて、採集をしてはいけません。奈良にはまだ、探すと野生メダカはいますが、メダカは購入して飼育するようにしましょう。

 雄と雌、10匹ほどを大きめの水槽で飼います。底に小石を入れて、水草を植えるといいでしょう。学校では、底に落ちた卵を拾うために小石は入れないで飼っています。水を循環するポンプを入れると、メダカは吸い込まれてしまうので入れません。石の底から吸い上げる形式のポンプならいいかもしれません。5年生の各家庭では、ぜひ飼ってみて下さい。

 卵を産み出すと、卵は水槽から取り出して、別に育てます。正確に観察したい人は、産んだ日にち別に、容器に分けて取っていくと、何日間で子メダカが孵化するか分かります。メダカの卵は透明なので、卵の中の変化も観察することができます。学校で、5年生の理科のあるとき、家で生まれた卵を持ってきてくれると、観察が多くできるので嬉しいです。

<参考図書>

1 メダカのくらし 科学のアルバム

2 メダカに学ぶ生物学 中公新書