氷河期と冷凍マンモス 2005.4.18
愛知万博に展示されているマンモスは、とても注目を集めています。きつねTも、一度は実際に見てみたいと思っていますが、展示館はとても混雑しているそうです。4~6年生の皆さんは4月20日に愛知博へ行きますが、さてマンモスを見ることができるのでしょうか。そこで、ここでは見学に行く前に、氷河期(ひょうがき)とマンモスについて少しお話をしておきましょう。
地球は46億年前に出来たと言われていることは、皆さんは知っていますね。その長い歴史の中の現在にとても近い約200万年の間に、氷河時代というのが4~5回あったことが分かっています。氷河時代と言うのは、現在よりも地球全体の気温が低くなり、北極に近いヨーロッパやロシアやカナダ、アメリカ北部の地域が、今の南極大陸に広がっているような千~二千mもの厚さの氷でおおいつくされた時代です。一方、その氷河時代の日本はどうだったかというと、全ての地域が氷でおおわれたわけではなくて、北海道や中央アルプスの高い山の一部に、氷河があった証拠が残っています。
地球が氷河時代になると、氷におおわれる地域が広がるだけでなく、他にも変化が見られます。大量の氷が陸地にあるということは、その原料となる水はどこから来たのでしょう。実は、その大量の氷の体積分だけ、海の水が減っていたのです。寒い地域では、海から蒸発した水が、雨や雪となり地上にふりつもって、それが流れ下らないで、押し固められて厚い氷になっていくのです。そのため、海の水は現在よりも100m分も少なかったことが分かっています。 100mも海の水がへると、日本列島は、ずいぶんと違った形になります。瀬戸内海は全て陸になり、九州、四国、本州は陸続きになります。また、大陸とも陸続きになり、ナウマン象、マンモス、オオツノシカなどの動物や縄文人の祖先が、歩いてやってきたと言われています。日本でも、氷河期にやってきた動物たちの骨の化石が発見されています。
さて、今回展示されているような冷凍マンモスは、日本では発見することはありません。一方、ロシアの北の方には、今も地面は凍っていて永久凍土とも呼ばれている地面が広がっています。地球全体が寒かった氷河時代、氷の上を歩いていたマンモスが何らかの理由で死んでしまって、そのまま永久凍土の中に保存されているのが、今回の愛知博で展示されているマンモスなのです。
最近、地球全体が暖かくなって、永久凍土が融けてきています。その結果、永久凍土の中に、氷河時代から保存されてきたマンモスをはじめ、いろいろな生物も次々と発見されてくるのではないかと思われます。一万年前の人類の祖先も、氷の中に保存されているかもしれません。また、怖いことは、氷の中で眠り続けてきた、未知のウイルスが復活するかもしれません。
ちなみに、地球全体がさらに温暖化して、永久凍土やヒマラヤ、アルプスなどの高山の氷河、そして、南極大陸やグリーンランド等の膨大な氷床が融けてしまうと、海水面が現在よりも30~80mも上がるのではないかと計算している学者もいます。