みんな違ってみんないい 平成16年 5月31日(月)

 

 顔を合わせて、同じ空気をすって、同じものを食べていても、心が離れる時があります。ましてや、距離をおいて、違う時を過ごしていると、さらに心が離れる機会が多くなります。楽しい思い出、満足のある瞬間が多くあると、それは、距離も時間も超越するものですが、人の心は易きに流されます。

 心が離れているのに、自分の気持ちだけ、自分の規準だけで意見を言うことは、言う本人は満足がいくかもしれませんが、相手をとても傷つけます。人はそれぞれに人生があり、それぞれの時を過ごしているからです。相手の気持ちを分かろうとしない時は、偉そうにいろいろ意見を言えます。しかし、相手の深い心に触れてしまうと、何も言えなくなるものです。人生には裏も表もあり、悲しみを持って生きているのです。

 私達教師は、かなり長い時間、子どもと時を過ごします。平日は朝の8時から夕方4時まで、親が子どもに接してる時間にも匹敵するように長く、話したり、活動したりしています。毎日共に学び、共に活動し、発表や集会で共に努力し感動し、そして、毎日一緒に食事をしています。そんな中で、子どもの悲しさ、元気のなさに触れ、子どもの生活の現実を考えさせられます。家庭生活が混乱している子どもの悲しさも感じます。しかし、私達は、親が悪いとは子どもに決して言いません。なぜなら、子どもは家に帰っていくからです。しかし、親は、軽く教師が悪い、最近の教育は悪いと言います。言っている親は、学校へはたまに行くだけですが、子どもは毎日行くのでつらいのです。

 人を支える仕事、人を育てる仕事、人と共に歩む仕事、人を看る仕事は、人に尽くすところから始まると思います。人は、それぞれ違う人生、違う生活を歩んでいるのですが、それぞれの子どもに出来るだけ寄り添い、少しの間、共に歩むことが、人を相手にする教育の仕事では大切なことだと思います。人生に敬意を示し、生きる姿に共感していけるといいなあと思います。

 しかし、教師は、分裂症ぎみになります。人によってみんな価値観が違うので、それぞれに共感していくと、何がいいか分からなくなります。「みんな違ってみんないい」と言うような、金子みすずの世界に入ってしまいます。

 

■習字をして

 踊り、柔道、なぎなた、習字、お茶、お花など、日本伝統の芸の道は、礼に始まり礼に終わります。互いに有り難うという気持ちが、とても大切です。お茶などの作法を見ていると、相手に尽くす心と、道具を大切にする気持ちが、狭い空間と美しく流れる動きの中に込められています。子どもと習字をしていると、墨で周りを汚したり、大きな声で話したり、騒がしく行動したりなど平気です。単なる書く技術だけの習得でなく、昔からの日本文化の心まで伝えたいと思います。間、察し、動と静、心遣い、敬意から生まれる精神世界が、最近忘れ去られようとしています。机の周りを汚したまま、手洗い場を汚したままの片付けでは困ります。

■学習研究集会(12日)

 来週の金曜日です。今回は、一日だけの発表です。月組は算数、星組は理科と造形を見てもらいます。

 

  今週の予定     下校   

31 月         16:00

 1 火                           16:00

 2 水                 16:00

 3 木         16:00

 4 金                            16:30

 5 土  休み

 6 日       休み

 7 月         16:00