学びを引き出す 平成14年5月27日(月)
総合的な学習が、今年の4月より公立の小学校でも始まりました。1、2年前から先進的に授業研究が始まっていたので、今年は大きな混乱もなく新たな学習が進められています。しかし、いろいろな学校から指導を頼まれて出かけますが、いくつかの問題点も見えてきています。私達の学校のしごと学習にも共通することでもありますので、まとめてみることにします。
それは、総合的な学習(我が校では「しごと」学習)が、活動だけになっている場合が多いことです。子どもは、活動しながら学ぶことは当たり前ですが、先生にさせられた活動、公開学習のためだけのイベント学習になってしまっている場合があるのです。その学習に、子どもにとっても学びがあるのかということが、問題となってくるのです。
次に総合的な学習で身に付く力とは何かと考えます。いろいろありますが、三つ挙げてみることにします。一つは、「学び方を学ぶ力」です。自分で体験をしながら資料を集め、自分なりにまとめて発表し、おたずねに答えて、互いに学び合う力です。この力は、主に総合的な学習で身に付け、他の教科にも、自ら取り組む学習へと発展していく大切な力です。大げさに言うと、文部科学省が言う所の「生きる力の習得」へとつながります。二つ目は、「子ども文化を創る力」です。子ども達は、地域の歴史、文化、産業、人に触れて、学んでいきますが、そのまま調べたことを表現するのではないのです。子どもの納得の中に一度落としこんで、そこから生まれてくる子ども文化としての表現をしていきます。子どもが、学びの文化としての表現をしていくのです。理科、社会などの調べ学習でない、何か芸術にも踏みこんだ表現をする力を身に付けるのです。三つ目は、「知識を身につける力」です。いろいろな調べ学習の中で、知識的な内容もたくさん出てきます。それらを、そのまま発表者のものだけに留めるのではなく、聞いている子ども達にも、各教科の知識へとして位置付けていくことが大切です。
総合的な学習で、学力を落としてはいけません。総合的な学習は、系統的な教科学習とは違う、ネットワーク的な学びを構築していきます。学ぶ力、文化を創る力、知識を身に付ける力が合わさって、総合的な学習が、意味の深い学びへつながっていくと思います。学びの引出しは、教師の働きです。引き出しが出来ないと、活動だけの総合になってしまうのです。
■教師は職人、学者ではないのです
前にも書きましたが、私達教師は、職人なのです。法隆寺の宮大工、西岡常一がかつて述べた言葉が、何時も心に残ります。「私達は、木のくせを組み合わせて、千年もつ建物を造る」意味深い言葉です。私達も、「今、目の前にいる実際の子どものくせや、能力を組み合わせて学習を創る」職人なのです。技能は、現場から体験的に会得するもので、本から学ぶものではないのです。出張の時、ご指導くださいと言われますが、理論的な指導は出来ないでのす。実際の学習場面の中で、子どもの学びの姿を実際に組んでいく指導しか、言えないのです。よい道具、木を見る感性、積み上げてきた体験から、よい建物を作る作業と同じく、教師は感性の研ぎ澄ましが大切だと思います。
今週の予定 下校
27 月 弁当 15:50
28 火 15:50
29 水 15:50
30 木 弁当 15:50
31 金 16:00
1 土 <休み>
2 日 <休み>
3 月 弁当 15:50