大学生が懸命に学ぶ姿を 平成13年2月5日(月)
「学力があぶない」(岩波新書)という本を読みました。同意できるところと、同意出来ないところがありました。
2002年から実施の新学習指導要領では、土曜日が完全にお休みになり、学習時間が確実に週3~4時間少なくなります。そして、3~6年生は、週に3時間ほど、新たに「総合的な学習の時間」が始まるのです。今の指導要領では、「ゆとりの時間」があるので、その時間が「総合的な学習の時間」に変わるのです。文部省は、全ての教科の学習内容を3割削減して、学習時間を1割削減するという対策で、新学習指導要領の実施を進めています。
大学の先生達が、「最近の学生の学力が落ちている」ということを嘆いていて、それが、今回の改革によって、さらに深刻になると書いています。では、なぜ学力が落ちてきているのでしょう。一つには、自分で考えることができない学生が増えているということです。これは、塾に行くのが当たり前になったことにより、自分で考える前に親切に教えられ、学習は効率よく覚える学習になってしまったことに原因があります。もう一つには、ゆとりの時間が始まり、各教科の学習時間が以前より確実に減ってきていることによる、基礎学力の低下です。
この本では、大学の先生が、大学に来る学生の学力低下を指摘し、塾、学習時間の削減、「ゆとりの時間(総合的な学習の時間)」の問題点を説明しています。しかし、自分たちの大学の在り方を問うことをしません。この本に書かれてあるように、学習内容削減、思考力低下について、小中高の学習の在り方を論議する以前に、大学生らしい学習の仕方、学習内容、単位進級の在り方、入試の在り方を問うことが大切ではないかと考えます。学力低下をしている学生をとる大学側に問題があるのです。中国、アメリカ、韓国、それぞれ大学で学ぶ学生は、素晴らしい環境の中で、猛烈に勉強しているようです。
子ども達の学習は、いろいろな学力をつけるために取り組んでいるのは当たり前です。そして、さらにいい学力をつけるために、大学へ行くことを目標にするのも当然です。その目標たる大学が改革されないので、合格だけが目標になり、懸命に学んでいる姿、素晴らしい学生が育っている姿が見えないのです。大学が変われば、小中高の在り方も変わると思います。
●読書について
1930年代、菊池寛が講演の中で、「諸君が、文学について何かを語ろうと思ったら、まず極め付きの古典を千冊、一冊を三回読め。そこで初めて諸君は、文学について発言することができる。」と語ったそうです。また、秋山六郎兵衛教授(ドイツ文学)は「25才までに、良書をいわば濫読(らんどく)して、まともな読書の習慣をしっかり身につけるべきである。」と言ったことを、作家大西巨人氏が朝日新聞に書いています。彼自身も、尋常小学校1年、2年の当時から歴史小説を読み、樋口一葉、徳田秋声、夏目漱石などの本を読んでいたと語っています。人の可能性は素晴らしいことがわかります。その可能性を伸ばすには、常識的な努力をしているのではないことが伝わってきます。
今週の予定 下校
5 月 2:00
6 火 2:40
7 水 2:40
8 木 2:00
9 金 2星集会発表 3:00
10 土 <休み>
11 日 <休み>
12 月 <休み>