書く事で育つ 2012.2.27(月)
本年度の本校の研究は、書くことで育つ子どもというテーマを掲げて、一年間の学習研究を進めています。書く事は、論理的な思考力を高めると考えるからです。理科学習でも、独自学習ノート、相互学習ノート、レポート、学びの履歴など、書く活動に焦点を当てて取り組みを進めました。
先日、理科室を整理していると、1年から6年間持ち上がった時の子ども達の、5年生の理科レポートが数枚出てきました。今から9年ほども前の実践になります。当時としてはいいレポートなので、参考の為にコピーしたものなのですが、今の子ども達の方がずっと素晴らしいレポートを書いています。
レポートを書いた子ども達の学年を卒業させてから、二回ほど担任に出ていますが、理科専科を6年間しました。理科専科は、6~8クラス分の理科指導を一年間に経験します。担任では一年間で1クラスの理科学習しかできませんが、理科専科では、平均7クラス×6年で、担任の理科指導の42年間分を体験したことになります。こぎつね小学校に赴任してから理科専科を8年間したので、担任理科指導の先生と比べると、かなりの経験をこなしていることになります。
この理科専科の経験は、私にとってかけがえのないものとなっています。各学級で取り組むレポートも、ノートの書き方も、年々レベルを上げてきています。以前よりもずっと素敵なレポートを書かせることができるようになっています。というよりも、子ども達が書くようになってきています。実は、ここ数年でいい方法を見つけたのです。それは、前年度の素敵なレポートを黒板に貼って、「これらのレポートの良さはどういうところでしょうか?」と、話し合いをしてからレポートを書くようにしています。子ども達は、
・文字の大きさがいい
・色の使い方、表題の書き方がいい
・写真や図の配置が上手
・めあてと、ふりかえりが書かれてある
・表やグラフや地図が使われている
等々が導き出されます。このような話し合いをして、いい表記の姿を確認してからレポートを書くと、とても上手に書く子どもが多くなります。子ども達は、一度上手なレポートを書いてしまうと、もうずさんなレポートには逆戻りしないようです。
また、いいレポートは、理科室前廊下に掲示することで、毎年「学びの文化」が次の学年に伝承されているようです。ここ数年で、一気にレポートの質が向上したように感じられます。
レポートを書く力とは、日頃みなさんが取り組んでいる自由研究をまとめる力でもあるのです。1年生から保護者に手伝ってもらい模造紙を書きあげてきましたが、3年の理科では、自分で自由研究のまとめが書けるように学校で自分の力で仕上げていきます。私は、自由研究の模造紙まとめは、3年生からは学校で書くのがいいのではないかと考えています。専科教諭なので、実行できていませんが、これからは学校で書かせることに力を入れていこうと話し合いをしています。
レポート指導の原点は、実はノート指導にあります。理科の表やグラフなどは、公立小学校の研究授業などを見ていると、理科ノートを使わないで、準備されたプリントに、子どもは数値を書き込むだけになっています。これではいつまでたっても、自分の研究をまとめる力はつきません。常に子どもが自分でノートに表やグラフを書くようにしています。また、「めあて」や「ふりかえり」をしっかり書くことで、何を表現しようとしているのか、また、どんな結果をもって、それが証明されたかを、はっきりしていくことが大切だと思います。
2月の研究発表会は、とても多くの先生方が見に来てくださいました。それは、テーマが「書くことで育つ子ども」というのも大きな要因だったように思っています。中には、ノート会社のコクヨも来ていて、名刺をいただきました。
知識や技能も大切ですが、思考力をつけることが今の教育界では課題となっています。そのためには、論理的に書く、分かりやすく人に伝えるために書くことが重要だと言えます。理科学習では、文章だけでなく、表やグラフの表現に合わせて、地図、写真、構造図、関係図などを使いながら、自分の考えを伝える力をつけることもしています。
書く文化は、確実にこぎつね小学校の高学年の子ども達に育ってきています。学校のいろいろな掲示物が、丁寧に書けているように思います。学びの文化が伝承により、子ども達の中で伝えられ発展していくものだと感じています。年間3~4回書いてきたいろいろな大きさのレポートが、今後も各学級の学びの基礎となるように、さらに発展していくことを期待しています。
太陰暦
先日、6年生と「月と太陽の動き」の学習をしていて、太陰暦の話になりました。
私もしっかり調べていたわけではないので、理科の時間に、一緒に辞書を使いながら調べました。
明治以前は、月の満ち欠けに合わせた暦が一般的でした。新月が1日、三日月が3日、満月が15日と、とても分かりやすいと思いました。しかし、地球が太陽の周りを一周するには、365.24日かかります。月が新月から新月に戻るには約29.53日かかるので1年が354日となり、太陽暦の1年に比べて11日ほど短くなります。このずれが3年で約1か月となるので、約3年に1回、余分な1か月=閏月を挿入してずれを解消していました。閏月を19年(メトン周期)に7回挿入すると誤差なく暦を運用できることが古くから知られ、世界各地で行われていたようです。
子ども達と、電卓を使いながら計算をして考えると、太陰暦の閏月の仕組みも分かりました。
ちなみに太陽暦の閏年については、次のような調べ学習をしました。
「古代エジプトの暦には閏年はなく、1暦年は常に365日であった。そのため、4.129年に1日の割合で暦と季節がずれた。
ユリウス暦は、紀元前46年、古代ローマで採用された。4年に1回、西暦年が4で割り切れる年(ただし、西暦はまだなかった)を閏年としていた。
ローマ教皇グレゴリウス13世は、当時を代表する学者たちを招集して委員会を作り、暦の研究を行わせた。こうして1582年、グレゴリオ暦が制定された。グレゴリオ暦はその後数百年かけて各国で採用され、現在に至っている。
グレゴリオ暦では、次の規則に従って400年間に(100回ではなく)97回の閏年を設ける。
1.西暦年が4で割り切れる年は閏年
2.ただし、西暦年が100で割り切れる年は平年
3.ただし、西暦年が400で割り切れる年は閏年
この規則によって閏年を設けると、400年間における平均1暦年は、365+97/400=365.2425日(365日5時間49分12秒ちょうど)となり、暦と季節とのずれは約3320年で1日となる。」
今までいい加減にしてきたことを、今回は、子ども達と一緒に調べることができました。なんでも、ちょっと踏み込むことが大切ですね。