おうち実験の可能性 2011.12.20(火)

 

 多くの子ども達が、月食の観察に取り組みました。今週はあまりに忙しく、まだブログで紹介は出来ていませんが、取り組みのすごさには感心させられました。冬休みに入ってから、ブログにアップしていきます。今回の月食観測は、とても寒いにも関わらず、写真撮影にも取り組んでいました。小学生が天体写真を撮るなんて昔では考えられないことですが、保護者の方々の協力の下、多くの報告がありました。子どもの頃、天文少年だったお父さんもおられると思います。我が子に伝承してくださっているんだなと感謝します。

 また、電磁石の独自学習では、ご家庭でエナメル線を購入し、巻き数、巻き方を変えた実験に取り組み、比較データを各自でとっていました。さらに、学校に先立ちコイルモーターを作ったり、電流計を作ったりしていました。磁力線の観察や、電磁誘導の実験にも取り組んでいました。

 全てのご家庭が、こうあるべきとは決して思いません。また、このような突出した取り組みで、子どもの学習の評価をしていることは絶対ありません。評価は、相互学習ノート、レポート、学習態度そして、たまにするテストで行います。しかし、このような自主的な「おうち実験」である、電磁石の実験や月食観測などに家庭で取り組むことができる子どもは、とても幸せだなあと感じます。

 親が教えてはいけない、親が子どもの学習を手伝うのは良くないと、教師も、一部の保護者も、頑張っている家庭を揶揄するように言うことがあります。「過保護」「教育ママ・パパ」などという言葉を使って、頑張る家庭に嫌みを言うこともあります。それは、親同志が比べられることへの防衛から、また、教師が親の取り組みのプレッシャーに耐えられないからの言葉でもあるのです。しかし、子どもが家で実験したり、観察したりするお手伝いが出来るなんて、本当に素晴らしい保護者です。きつねTに好かれたいからだけでは、このような優れた取り組みはなされません。家族で、実験イベントに行くこと、博物館、科学館、プラネタリウムへ行くことは、甲子園に野球を見に行くのと同じように子どもにとって楽しいことで、子どものためになることだと思います。

 家で、実験してもいいこと、家で実験できることを見つけることが大切です。私は「おうち実験」の可能性、広がりを探っています。「おうち実験」には、次のようなポイントがあります。

①家で安全にできること、

②子どもが一人で試行錯誤できること、

③それほど高価でないこと、

④家庭の道具を使うこと、

⑤保護者も一緒に楽しめること、

学校の実験の簡易版であること、などです。

 これまで、家での学習は、塾に代表されるように、知識理解が中心であって、実技や思考力に関することはあまり取り上げられませんでした。しかし、「おうち実験」は、子どもの工夫する力、まとめる力、改訂・更新する力などを伸ばすと思います。例えば、「ふりこ」の学習に入ると、家で実験をしてきましょうと言います。家庭でふりこの実験をしてくると、条件の揃え方、平均の取り方、データの整理の仕方、考察の仕方など、不十分な方法で進めてしまい、思ったような結果を得ることができません。このような失敗体験、試行錯誤体験が、実は子どもの思考力を高めると考えます。5月頃、5年生の学習で、メダカを飼って卵が育つ様子を観察しようと連休前に言っておくと、メダカの卵が早く孵って欲しいので、いろいろ飼育方法を工夫していました。温度のこと、日当たりのこと、雄雌のこと、水質など、さらにメダカが死んでしまったというトラブルも含みながら、多くの学びを子どもが生き生きと発表する学習を進めました。

 「先生は言っているだけで楽をしている」と、一部の保護者は思ってしまいますが、「言っているだけ」が案外難しいものなのです。子どもの思考力、行動力を引き出すには、「えーー、そんなことを家でするの?」と、先生がちょっと親から嫌われ役をしてまでも、子どもに実験課題を与えます。教師には精神的に耐えるエネルギーが必要です。

 実は、実験をさせるよりも、実験をしていいと気づかせるのが難しいのです。「学校の学びは全て、子どもや家庭に開かれている」「先にやっていけないことは何もない」ということが家庭に分かってもらうのは、案外難しいのです。教科書は先に読んでいいし、答えを先に知ってしまってもいいし、参考書や本を先取りして学んでもいいのですね。

 生活の中に、理科の実験課題は多くあるはずですが、生活の中で実験や観察を子どもが立ち上げるのは難しいものです。これからも「おうち実験」の可能性を、保護者の方々に少々いやがられながらも、広げていきたいと考えています。

 

大学生の学び

 昨日の電車の中で聞いた話です。「今日の講義はだるいから、ずっとゲームしていた」「そうそう、私なんか、友だちとのメールのやりとりやで」というような、講義を真面目に聞かない自慢話を、大学生がしていました。

 きつねTも、こぎつね大学の学生を、半期教えています。こぎつね大学で学校の先生になりたい学生は、かなりまじめにやっているのですが、大学生の学びの姿勢が気になります。

 私達の小学校では、子どもの独自学習から学習を始めます。一人ひとりの取り組みの深さが、学習の進展に大きく関係してきます。テレビで見るハーバード大学でも、学生の発言が講義の質を表しているように思います。 

 最近、京都教育大学、創価大学、大阪教育大学、金沢大学、武庫川女子大学などに、お話に行かせて頂きました。それぞれ学校の特色があり、それなりに学生はまじめです。今後、大学での学生の本気能力を表に引き出す取り組みを、探ってみたいと思っています。今週、東京大学の講義を見に行きます。学生が持てる能力を出し合って、学生同士が互いに高め合う場面のあり方、そして、そこに大学の先生がどのようにかかわるのかを見ることができるといいなあと思っています。

 

<連絡>

 冬休みの宿題は、特別ありませんが、ブログを時々見るようにしてください。

▼3年

 冬至の太陽の動きを、透明半球に記録しました。1月になると、夏・秋の観測と比較します。また、日の入り場所の観察を家でしていると思います。冬至が一番南よりに太陽が沈みます。その位置を知っておくとよいでしょう。1月からは、「ものと重さ」の学習をします。いろいろな物の重さの測定や比較をします。固体・液体・気体を意識した学習を進めたいと思います。

▼5年

 電磁石の学習を終えて、「もののとけ方」の学習に入ります。独自学習に入ってください。ちょっと難しいのですが、冬休み中に、ミョウバン結晶作りに挑戦してみてください。ミョウバンをどのように手に入れるかが、最初の問題点ですね。きつねTは、5㎝ぐらいのきれいな形の結晶を作っています。

 また、休み中に海辺に車で行かれる方は、海水をくんできてもらえると幸いです。塩作りの学習に使いたいのでご寄付お願いします。

▼6年

 水溶液の酸性・アルカリ性の学習を終え、現在、「てこの規則性」の学習をしています。てこと滑車の学習をします。その後、「発電の利用と発熱」の学習をします。独自学習を自分で進めておいてくださいね。