読書の季節 2011.10.18(火)
理科準備室で子どもの学習ノートを読んでいてふと気がつくと、周りはすっかり暗くなっています。夏の頃と比べると、暗くなるのが随分早くなりました。理科室前の草むらからは、秋の鳴く虫の声が聞こえます。先生方は、暗くなるとついつい早く家に帰るようになり、理科準備室から用事で職員室に戻ると、ほんの数人の先生しか校内に残っておられないということもよくあります。理科室は、職員室から少し離れているので、校舎の鍵を閉められそうになったことがありました。残っていることを示しておかないといけません。しかし、寒くなってくると、私もついつい寂しくなり、虫の声につられて学校を出てしまうようになります。
一方、暗くて静かな学校とは違い、近鉄電車で難波に到着すると、地下街はいつもの賑わいです。外の暗さは全く感じられません。若い人々が活発に動いているので、私もつい元気さにつられて、本屋を覗いたり、喫茶店でコンピュータを開いたりします。
日の入りが早くなってくると、読書の時間が増えてきます。本屋に立ち寄る回数も増えて、ついつい本を買ってしまいます。いつものことなのですが、読むより買う方が多いので、本が溜まってしまうことになります。
読書を振り返ってみると、夏休みは、原発関係の本を続けて読みました。福島原発事故、放射能と放射線、原子力発電所のしくみ、核廃棄物保管場所、原発労働者の実体、食の安全、プルサーマルの怖さ、巨大企業とマスコミによる情報操作など約10冊を一気に読みました。「原子力発電の実態」について、考えさせられることがたくさんありました。そして、これからの日本のエネルギー問題について、どのように私達は乗り越えていけばよいのか悩んでいます。ヨーロッパ各国の原発に対する考え方もいろいろです。日本の選択はどうあるべきなのでしょうか。
原発事故から半年が過ぎましたが、壊れた原子炉の中や、原子炉の底が溶けた地面には核物質が依然として残っています。今回の事故では、広島原爆の130倍もの放射能をまき散らしたと言われています。広島の原爆では、プルトニウムが一気に核分裂を起こした高温によって多くの人々が亡くなっていますが、福島原発は、緊急の死者はないのですが、膨大な量の放射能を空中や海中に放出してしまっています。広島長崎原爆の放射能後遺症で長く苦しんでこられた方々がおられる被爆国で、このような原爆を遙かに超える量の放射能を拡散させてしまったことを、私達はどのように考えていけばよいのでしょうか。それには、広く、多くの方々の意見に学び続けることが大切だと思います。大企業が後ろ盾の一部のマスコミからだけの情報にならないように、大企業から研究補助金をもらっている一部の学者からの情報にだまされないことが大切だと感じています。
理科関係の本では、宇宙論の本に興味を持って最近続けて読んでいます。以前にも何度か紹介しましたが、分かりやすく書かれた本が次々に出版されています。最先端の宇宙論の研究者が、素人の私達にも理解できるように書いてくれているのでとても助かります。
最近出版された「宇宙で最初の星はどうやって生まれたのか」吉田直紀著(宝島社新書)は、宇宙論の歴史から丁寧に書かれていて、おそらく小学校高学年の宇宙に興味を持っている漢字力のある子どもは、読めるのではないかと思いました。銀河の端に位置する太陽系の小さな惑星地球に生まれた人間が、137億年前の宇宙の始まりについて観測や研究をしているなんて、信じられない所まで科学が進歩してきています。ビックバンでできた瞬間の粒子の状況、陽子・中性子・電子の誕生、原子の誕生などの過程が予測されていて、最初の星が輝き始める時期、最初の銀河が出来はじめる時期などもコンピュータで計算されつつあるということです。
また、「宇宙全体は、星などを作る物質4%、よく分かっていないダークマター22%、宇宙を膨張させている暗黒エネルギー74%から出来ている」なんて、なぜ分かるのでしょう。全く信じられないような研究が進められています。
宇宙の構造を考える上での、超ひも理論、ブラックホール、ダークマター発見への研究、暗黒エネルギーと相対性理論など、想像、仮説のものが、実験や観測で次第に証明されつつあるようです。
この本の著者吉田直紀さんが参考文献に挙げている本のうち、子ども達にも比較的わかるのではないかと思われるのは、次の2冊です。小学生高学年から、いい本に出合って、未来の科学者を目指してください。
・村山斉『宇宙は何で出来ているのか』(幻冬舎新書)
・岡村定矩『宇宙はどこまで分かったか』(日本評論社)
淀川を歩く 琵琶湖~宇治
5年生は、川の学習を進めています。理科遠足として「川の観察バスツアー」ができれば一番いいのですが、気の弱いきつねTは、忙しそうな5年生に、なかなか理科さんぽを言い出せないまま時が過ぎています。その結果、保護者には大変なのですが、「家の近くの川の観察、そして、少し上流、少し下流の観察をしておいてね」ということになりました。誠に面倒なことを言いますが、ご家族で川の観察を進めてくださると幸いです。
子どもだけに観察を押しつけるのは申し訳ないので、私も、淀川研究をしてきました。先日、琵琶湖から淀川が流れ出る瀬田大橋のあたりを出発して、宇治橋まで歩きながら川の観察をしました。石山寺を過ぎ、南郷洗堰では水量の調整のしくみが見られました。南郷を過ぎると、川は、渓谷の中を流れます。かつて行ったことのある白川郷の谷を思わせるような風景が続きます。宇治の少し手前には、天ヶ瀬ダムがあり、渓谷はそこで終わります。
秋のさわやかな一日、歩いて25㎞の川探検は、少々きついですが、写真を撮りながらゆっくり観察をすることができました。ブログにアップしておきますので、見てくださいね。
<連絡>
最近、運動会の練習や学年のお出かけが続きますので、理科がなかなか進みません。同じような連絡が続いていることお許しください。
全員の理科独自学習ノートの点検をします。必ず出すようにします。
▼3年
今週は曽爾高原しごと合宿のため、3星しか学習ができません。晴れれば光の屈折や反射の学習を進めます。レンズや鏡は理科室にあるので、天気によって、それを使って学習を進めます。
太陽の沈む位置はどんどん変化していますか。沈む時刻はどうですか。
▼5年
今週は、しごと合宿のため、5月しか学習ができません。今、5年生は、天気の学習を進めています。秋の天気図、1週間分を見ながら、大陸性の高気圧、低気圧の動きや気圧の変化、前線の変化や天気の変化などを、レポートにまとめています。さらに、11月になると、川のレポートを書きますので、川観察をお願いします。
▼6年
消化と吸収、内蔵の学習をしています。独自学習が大切です。目次を書いて、独自学習を計画的に進めてください。消化液と、三大栄養素の分解について、学習をしました。次は、内臓のつくりです。