ノートを書く 2011.9.20(火)
今、私達の学校では、本年度は、「自律的に学ぶ子どもを育てる学習法 ~書くことで育つ子ども~」をテーマに、子どもに学習力をつけるように取り組みを進めています。先生方が、それぞれ教科別、領域別の研究を深め、「書く」ということに集中して、学校を挙げて研究を進めています。その研究の成果は、隔月発刊の「学習研究」誌において発表しています。
先日も、3星のN先生が、音楽で研究授業をしてくださいました。音楽学習の中でどのように書く活動を組み込めばよいのか、子どもの学ぶ姿を通して、研究を示しました。
今回は「活動の多い学習」例えば音楽、造形、体育、そして理科などの教科について、いつ、何を、どのように書かせるのか、考える機会を持ちました。この時、まず考えたのは、「書くという活動」よりも、「何を学ばせるのか」「どんな力をつけるのか」ということから考えると、何を書かせるのかということが見えてくるということです。
例えば、音楽の学習は、最終的には楽譜で表現できることが大切なので、楽譜を読む、楽譜を書く、楽譜の上にメモを重ねるなど、常に「楽譜」が、書く事において中心にあるのではないかと思えました。
では、造形ではどうなのでしょうか。造形は、自己の表現が大切な教科です。書くという活動も、常に表現から離れては意味がないと思います。ノートに文章で感想を表現するのではなくて、スケッチで自分の考えや、友だちの考えを表現していくことが、書く(描く)ということになるのです。私達が中学生の頃の英語の時間は、英語よりも日本語をたくさん書いていたなあと思い出されます。英語よりも、日本語の問いを読んで、答えていたように思い出されます。それと同じで、造形の時間は、文章で書くよりも、表現を描く、友だちの発想や自分の発想を描き留めていくことが大切であると考えます。
体育ではどうでしょう。体育で書くことは、おそらく記録でしょう。目標と記録と反省というのが、体育では大切な書く内容になってくると思われます。技術の記録、得点や成果の記録、計画の記録などがあると考えます。科学的に体育を進めるには、その基になる記録から分析的に、反省的に学習を進めることが大切だからです。
では、理科ではどうでしょうか。理科は、データを基に議論をする教科です。そこで、データをきちんと書く事が大切です。観察の場合は、観点を決めてデータを取る、実験の場合は、条件を決めてデータを取ります。そして、データは、数値の場合はグラフ化して、変化をとらえます。この一連の作業を記録するのが理科における書くということです。比較しながら書く、表の形式に記録をまとめる、地図や図や構造図に表すなども、理科における書くです。ばらばらに散らばっている事実を、観点や条件を設定して抽象化していくことが、理科で付けたい力です。日頃の学習を通して、研究レポートが自分で書ける力をつけること、科学的に物事を見ることができる力をつけることが望まれます。
ここまで、「活動の多い学習」の書くということを考えてきました。活動的な学習は、特に行動しながら書くことが多いので、「メモを取る」という作業が大切になります。そこで、①メモで、取り敢えずの記録を取る。②ノートにメモを見ながら記録をまとめて、考えるという、二段階の書くが存在します。
そう考えると、社会科などのフィールドワークをする教科も、理科と同じように、メモとノートが必要です。国語などでも、取材をしながら書き、文章にまとめる時、「メモ」と「ノート」と、最終的な「作品」があります。これらの過程にも、書くという活動があります。
次に日記は、全ての学習のベースになる「書く」活動です。作家の日記は日々の出来事のスケッチであり、探検家の日記はフィールドノートそのものであり、子ども達の日記は、学習のふりかえりであり生活を深く捉える記録でもあります。日記を書くことで、立ち止まり、焦点化し、何気ない日常の中から大切なことを切り取る作業をしています。
アメリカの哲学者、エリック・ホッファーは「波止場日記」で哲学を綴っていきました。7才で母を亡くし、また失明をし、15才に奇跡的に視力を回復するが、18才で父を亡くしています。その後彼は、昼間は船の荷揚げの仕事に従事し、空いた時間を読書と思索に費やしました。労働と読書と思索の日々を送りながら、自らの哲学を創りました。「沖仲仕の哲学者」とも呼ばれるホッファーは、晩年、カリフォルニア大学バークレー校の政治学研究教授になりましたが、65歳になるまで沖仲仕の仕事はやめませんでした。
書くということは、学問を創る、素晴らしい可能性を持っているのですね。
十津川の大水害
9月の初め関西をゆっくり通過した台風12号は、紀伊半島に記録的な大雨を降らせました。その結果、十津川、那智川などの各所で、「増水」、「泥流」、「崖崩れ」、「大規模地滑り」が起こり、家が押し流され、死者、不明者を多数出しました。また、道路、ライフラインも各所で寸断されていて、本格的な捜索もされないまま、次の台風15号が接近して、さらなる危険性が増してきています。
台風12号が起こした「崖崩れ」、「大規模地滑り」によって、大量の土砂が川の流れをせき止めて、「土砂ダム」が出来てしまいました。
「土砂ダム」は、流れ込んだ土や岩石が積み重なっているだけなので、一度水があふれ出すと、その部分からどんどん浸食が進み、ある時一気に、大量に溜まっていた水と土砂が「泥流」となって下流へ流れていき、さらなる災害を引き起こすと考えられています。
那智の滝も、滝壺の周りが崩落して、これまでの姿と大きく変わってしまったと報道されています。
5年生は、今、流れる水の働きを学んでいます。地震や津波や水害など、100年に一度、1000年に一度の大きな地殻・地形の変化を目の当たりにして、人は自然とどのように付き合っていけばよいのか、考えさせられます。
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▼3年
秋の虫について学習をします。一学期のチョウの成長の時のように、鳴く虫を、一人一種飼育しながら、昆虫について深く学びたいと思います。
コオロギ、スズムシなど、何か一種類飼育して持参ください。コオロギも、よく見ると何種類かいるようですね。飼育するときの、餌や環境について、考えること。
▼5年
川の独自学習のノートが楽しみです。先週、独自学習の仕方を学んでもらいました。その勢いで、しっかり、河川地形、流水の働き、河原の石などの基礎的な学習を終えてください。
今年は台風がとても多く、次々に日本に近づき、災害をもたらせます。全く台風が日本に上陸しない年もあるのですよ。台風レポートの学びを生かしながら、天気予報の説明を聞くようにしてください。
▼6年
前回は、植物の呼吸と光合成の学習をしました。酸素、二酸化炭素の変化を調べました。次回より、「人の呼吸や消化や循環」について、学習を進めます。本や資料を探して、持ち込んでください。独自学習を進めてください。