夏休みに考えたこと 2011.9.5 (月)

 

 夏休みの生活は、いかがでしたか。夏休み中のきつねTは、東京と北海道へ一泊ずつ出かけましたが、それ以外は、奈良、大阪周辺にいました。仲間の先生方と理科の実験をしたり、「自律的な学習」について話し合いをしたり、卒業生と昆虫標本を作ったりする毎日を過ごしました。

 忙しい中、この夏休みには二つの新たなことをしました。一つは、原子力発電所(原発)関係の本を、かなりたくさん読みました。そして、もう一つは、理科のブログを続けることができたということです。

 3月11日、大地震と津波、そして原発事故が起こりました。もうすでに半年が経とうとしていますが、まだ、避難所生活をしいられている方々がおられます。

 震災当初は、津波による余りに大きな破壊と、確認が出来ない程の多くの犠牲者に、ただただ祈るような気持ちでニュースを見ている状況でした。さらに、原発の水素爆発が起こり、これにはもう絶望的な気持ちになりました。とにかく大変なことが起こっているということが、感じられました。

 日が経つにつれて、地震の規模、津波の大きさが分かってきました。M9.0という、日本では過去最大の地震であること、そして、海溝性の地震による津波も、過去最高の規模で押し寄せて来ていました。海岸沿いの全ての物を破壊し、多くの尊い命を奪ったことが明らかになってきました。

 この時、海岸沿いに建てられている原子力発電所も被害にあいました。想定外、未曾有という言葉で表現されながら、原発事故は、最悪の状況になっていきました。原発事故に伴う放射能は、目に見えません。また、科学的な予備知識がないと、その怖さも理解できません。科学者や政府関係者は、家族を直ぐに関東から離れさせたと聞きます。

 私は、その当時、殆ど放射能の怖さを理解できませんでした。そこで、夏休みに、「原発」について書かれてある本を、片端から一気に読んでみました。読みながら、自分が余りに何も知らなかったことに反省させられました。これまでにも、いろいろな形であった原発事故にも興味を持っていませんでしたし、さらに、もんじゅ、プルサーマル、六カ所村、プルトニウムなど、どの内容についても、ほぼ何も知らなかったことが分かりました。理科の教師として、とても恥ずかしいと反省しました。

 本を読み、いろいろなことを考えました。まず、現在日本にある膨大な量の危険なプルトニウムをこれからどうするのでしょう。使用年限がきている原発がたくさん出てくるのですが、取り壊した後どうするのでしょう。どこかの国のように、地面に埋めてしまって、それで大丈夫なのでしょうか。また、全国の原子力発電所の定期検査の時に、原子炉周りの点検や配管掃除や部品交換などに、被爆覚悟で働く人々がたくさんいることも知りました。最高の科学力で作られているはずの原発が、原子炉近くまで人が中に入り、人の力で保守点検がなされていました。さらに、原発建設に関しては、これまで平和に暮らしていた小さな村の人たちの人間関係に、買収に関わる争いごとがおこっていたことが、日本各地の事例から考えさせられました。

 知らないということは本当に怖いことです。

 一般人の私達は、国の安全保安行政の人が許可をしているから、放射能研究の科学者が「人体に直ぐに影響を及ぼす程度ではない」と言うから、電力会社の研究者が絶対安全な構造になっていると言うから、各地の原子力資料館にはあらゆる安全に対するアピールが展示されているから、すっかり安全だと信じていました。しかし、現に大事故が起こり、また、これまでにも工事、点検、放射能漏れ事故で、たくさんの人が被爆してきていたのです。

 原発の周辺の海には、原子炉の冷却に使われた高温の排水が流れていて、漁民や一般の人は、安全確保ということで近づけないようになっています。地域漁民は、漁業権を買い上げられて、さらに原発関連事業で働いている方もいます。

 原発の建設の状況とよく似ているのが、奧多摩地区の綺麗な山中に作られた、東京都のゴミの最終処分場の話です。土地の確保をするために、あらゆる手を使って安全安心を訴え、大きなゴミ処分場を造りました。その後、やはり、川が汚染され、地下水に化学物質が流れ込んでいきました。ゴミを積んだダンプカーが、毎日行き来するようにもなりました。

 私達の身の回りにも、このようなことがいっぱいあります。心のこもっていない安全安心を、見抜かないといけないと感じました。また、津波災害は自然災害の要素は強いけれど、原発事故は人災であるということも分かりました。このような簡単なことがどうして今まで分かっていなかったのか、勉強不足でした。

 

ブログを書く~遠隔教育の可能性~

 6月の末から始めました理科のブログが、まだ続いています。夏休み中も発信を続けることができました。多くのご家庭が、きつねTの「独り言」のような内容を見てくださっているようです。有り難うございました。

 理科の学びの種は、身近な所にたくさんあるのですが、それを学習や観察の対象と見るのは、なかなか難しいところがあります。文学やスポーツや芸術ほど、一般化されにくいのが科学の世界だと思います。そこで、本格的な科学研究の指導は出来ませんが、「科学の世界」と「子どもの学びの世界」をつなぐことが出来るのではないかと思い立ち、ブログを始めました。

 ブログは、こぎつね達へ細かい連絡ができます。また、写真を使った自然の紹介もできます。さらに、理科関連の興味を持ってもらいたい多様なお話も発信できます。保護者の方々に、学びの様子を理解してもらえる可能性が広がりました。

 一方ブログは、意外な人たちも見ているので、気を付けて書く必要があります。また、教師が書いている以上、趣味で書いているという言い訳ができない影響力もあります。今後も、基本的には楽しく、そして教育的に気を遣いながら、科学の世界を紹介していきます。

 

<連絡>

▼3年

 ゴムで動く車の実験をします。その後、ヒマワリやホウセンカの観察のまとめを進めましょう。さらに、秋分の日に近い快晴の日、太陽の動きの観測をします。

 また、9月末には曽爾高原に合宿に行くようなので、その時に見られる昆虫や草花について、事前学習を少し進めてみようと考えています。曽爾高原の自然について、独自学習を各自始めてください。

▼5年

 台風のレポートを書きます。台風の通り道を、天気図から整理していき、台風の特徴をとらえます。その後、秋の天気の変化の学習や、雲の学習をします。

▼6年

 草木の水の通り道の続きとして、気孔の観察をします。蒸散を調べる実験については、独自学習をしましょうと、連絡しています。ブログに方法を書きました。台風12号通過のため、お天気があまりよくありませんね。また、晴れの日が続いてから取り組んでください。

▼科学G

 前期最後のグループ活動が、9月中に、あと一度あると思います。収穫したトウモロコシで、ポップコーンを作ってみたいと考えています。お楽しみに。