学び続ける力 2011.7.4(月)
子ども達を見ていると、状況に影響されて、自分を見失っている子ども、また、自分自身をしっかり見つめていない子どもの多いことが気になります。幼い子どもでも、周りの影響を受けながらも、自分で学び続ける力がとても大切だと思います。どのようにしたら、自分を見つめて、自分自身の学びを続けることができるのか、考えてみることにしましょう。
かつて、私が本校に赴任した頃、私の大先輩であったO先生を思い出します。寒い日も暑い日も、夕方5~6時頃は、毎日、集会室のグランドピアノを弾いておられました。音楽の先生なので、それが教材研究でもあるのですが、本校に来たての私は、そのピアノの音を聞くと、自分は何をすべきなのか、いつも考えさせられました。一日の仕事に疲れて、ついつい職員室でリラックスをしてしまうのですが、「ああO先生はピアノを弾いておられる。」と、深く考えさせられました。そして、ピアノの練習の後、O先生は再び教室に戻り、1~2時間、子どもの学習を記録するためにワープロに向かわれました。暑くても寒くても、暗くなった教室で、まるでピアノを弾くように、軽やかにワープロのキーを叩き、子どもの記録をされておられるのでした。自分の仕事のリズムや時間をしっかり保ち続けて、自分自身のやるべきことをしっかり持っておられました。また、その頃の子どもの中には、O先生の影響を受けて、集会室のグランドピアノに向かって、朝や昼休みに、一人で練習をする子どもがいたことが思い出されます。
もうおひとり、先輩のS先生は、常にスキー合宿や歩走練習の推進役をされておられた方でした。造形の先生でしたが、授業の合間の時間を見つけては、学校周辺を走っておられました。10キロ程を1時間以内でさっと走ってきては、平気で次の授業をされておられました。S先生は、奈良のトライアスロン協会の世話役、100㎞ウルトラマラソンの企画などにも取り組まれていました。S先生がおられる頃、子ども達の歩走練習の走り方は、S先生を目標に走っていたように思いました。S先生は、走り方を教えることはなく、また、頑張って走ろうなどと言わないで、ただS先生自身が走って、それを子ども達が勝手に見習うというのが、私の感じていたことでした。歩走練習の時期が終わっても、走り続ける子どもがいて、真の教育というのは、こういうことなんだと、今、さらに感じるところです。また、S先生は、自分の生活スタイルをしっかり持たれていて、休日も、ほれぼれするような行動的な過ごし方をされておられました。
すぐれた先輩の先生方の生活する姿は、私たちの学校の学習法のお手本を示していると思います。流されて生きるのではなくて、自分の時間をしっかり自分で生きていることを物語っていました。
では、現在の私達は、どのように生活をしているのでしょう。最近の私達教師は、「教師が学ぶ姿を見て、子どもが学ぶ」ということを、自覚できているのでしょうか。子ども達に、学びの目標になるような何かを、自分の生活から伝えられているのでしょうか。
私たちの学校の教育は、授業時間内に、教科書と黒板で教えるだけではなくて、教師の本物を追究する姿を通して、智恵や学び方や生き方を伝えることが大切であるということです。そのためには、教師は、授業と授業の間をどう過ごしているか、学習以外の日々の生活をどう過ごしているかということが本当は大切であると感じています。子ども達は教師の生き方を、言葉の端々や行動から感じて、成長しているということです。このことは、教師だけでなく、母親、父親にも言えることです。
私達の学校は、朝の会の元気調べを大切にしています。この活動は、子ども生活そのものを見直す、「日々の生活のリトマス紙」になっていると思います。まず、朝の元気調べが出来ていない学級は、論外です。元気調べは、教科の学習よりも大切な活動だからです。また、元気調べがマンネリになっている学級、高まらない学級、おふざけの学級は、子どもの生活が壊れています。このような時は、子ども達が自分の時間をしっかり歩めていない状況になっているのです。次に続くのが、怪我やいじめや靴隠しです。教室の整頓、言葉使いの清浄も保たれていません。
理科室や造形室や体育館周辺で休み時間うろうろするようになると、黄色信号です。裏の畑を走り回ったり体育館の隅でこそこそしたり、保健室に溜まり出したりすると赤信号です。学ぶエネルギーが保てなくなっているのです。
子ども達に自ら学ぶ力を付けるには、先生や親の背景にある学習力、生活力、魅力がとても大切なのですね。
きつねTの読書さんぽ
ここ数年で、村上春樹の本をほぼ読みました。文章に惚れ込んで、「村上春樹のように文章を書きたい」というのが読み続けた目的です。五木寛之も好きなのですが、村上春樹の文章は、どのページを広げても、どんな内容を書いていても、村上春樹のリズムがあるのです。生活の中にすーっと入ってくる文章です。
それはどこから生まれているのか気になっていました。彼のエッセイを読むと、仕事の仕方、生活スタイルが素晴らしいのです。アメリカ、ヨーロッパと、転々と海外生活をつなぎ、日々の雑事に流されないような自分の生活スタイルを保ち続けていました。また、一日の生活は、夜は9時過ぎに寝て、朝3時に起きて正午頃まで一気に仕事をするというリズムを持っています。さらに、日々、長距離を走っていました。
きつねTも、村上春樹を読み始めて、走るのは難しいけれど、歩くことを始めました。10㎞、20㎞を歩くと、体の調子がとてもよくなり、エネルギーが溜まるようです。最近、忙しさに負けて、歩いていませんので、この文章を書いた契機に、また、週に一、二度、長距離を歩き始めようと思います。 生活のリズムが、学びのリズムを創るからです。
<連絡>
▼3年
風の力で動く車、ゴムの力で動く車の学習をしています。今週は、風の力について考察を書いてから、ゴムの力で動く車について学習を進めたいと考えています。家でも、風の力の活用について、調べてみてください。
▼5年
天気の変化、気象観測、雲の学習などを進めています。図書館より気象関係の本を借りて読んでいる人、お天気の本を買ってもらって読んでいる人がいて、とても詳しくなってきていると感じています。
今週は、気象観測と天気の変化についてもう少し深めてみたいと思います。
▼6年
植物のつくりと成長について学習をしています。先週は葉で光合成をして、でんぷんを作る働きを調べることができました。今週は、水の動きを調べて、植物のつくりを調べようと思います。
▼臨海合宿5・6年
これまで毎年、貝の標本作りをしていましたが、貝を拾う時間と場所が確保できないので、本年より貝の標本作りはしません。また、本年度、3日目の午前中が干潮になるので、礒観察をします。白浜は、ガンガゼがいるので、岩場ではく運動靴の準備が必要です。サンダルでは岩場に降りません。