観察にも予想を 2011.6.6(月)

 

 小学校の理科では、「観察」と「実験」の活動的な取り組みで、学習や探究をつないでいきます。

 物理や化学分野の「実験」の場合は、すぐに結果が出ることが多いので、予想や、予想の理由(仮説)を考えてから、実験に取り組むのが普通です。

 高学年の実験、例えば、「空き缶の中で割り箸を燃やす実験」では、空き缶のどこに穴を開けるとよく燃えて、どこに穴を開けると燃えにくいかについて、予想、予想の理由(仮説)をしっかり持ってから実験を準備します。また、燃えるというのは、どういう状況がよく燃えるというのかについても事前に話し合いをします。①炎の様子、②割り箸の燃えかすの様子、③燃えた後の空き缶の様子などです。観察の視点をしっかり持つことで、仮説を持って、実験を進めることができるようになります。

 低学年の実験、例えば「磁石につくものつかないもの」では、予想だけを○×などで書いて、「当たっている、当たっていない」というような、ちょっとゲーム的に進める場合もあります。その時は、実験の結果を見てから、予想が外れた物と、合っていた物に分けて、①なぜ予想が当たったのか、②なぜ予想が外れたのかについて、考察(吟味)するようにします。低学年では、最初の予想段階で場合分けをしたり、条件を考えたりしていると、実験への意欲がしぼんでしまうことがあります。まず直感的に予想をして、直ぐに実験に取り組んで、結果が出てから予想とのずれを吟味していくようにします。直感の予想とのずれ、素朴概念とのずれが、発見の驚きとなり、理科好きへの意欲につながると考えるからです。高学年でも、このような手法を使う場合があるのですが、やはり、科学的に予想や仮説を持って、実験に取り組める子どもを育てるようにしたいと考えています。

 次に、生物、地学分野の「観察」について考えてみましょう。

 観察をする場合、私たち教師は、「じっくり様子を見てみよう」とか「前回の観察との変化を調べよう」と言うような言葉を投げかけて、疑問点や視点を引き出すために観察をさせる場合がよくあります。しかし、出されてきた疑問点や発見はかなり多岐にわたります。例えば、3年生の「ヒマワリやホウセンカの芽生え」の観察の場合、子ども達は、「ヒマワリには毛が生えていて、ホウセンカには毛がない」「茎の下の方が赤い」「双葉の先が少しへこんでいる」など、ちょっと解決が難しい発見をいろいろ言ってくれます。そこで、「なんで毛がはえているんだろうね」「なんで赤いんだろうね」「どうして先がへこんでいるんだろうね」と、子どもの発見を先生が言い直しをするのですが、それを解決する手立てをほとんど持っていないというのが現状です。最後に、「すごいこと発見したね」「よく見つけたね」と誉めて終わりです。

 そこで、発芽の頃の植物の観察では、これから観察していく視点を見つけることをまず大切にします。そして、「双葉と本葉は形が違うけれどなぜなのか」「双葉はこれからどうなるのか」という視点を取り上げ、予想を立てます。子ども達は、①双葉は成長して大きくなる、②双葉はこのまま、③双葉は枯れてなくなる、というような予想を持ちます。予想の理由も考えます。このことによって、今後の観察活動を探究的に見ていくことができるのです。

 低学年の場合は、観察の視点を広げ、不思議を広げるという意味で、予想のない観察、視点を見つけるための観察の場合があってもいいのですが、高学年では予想を持って観察を進めたいものです。例えば「メダカの卵の観察」では、朝産んだ卵をみんなで観察しながら、観察の視点や予想を持つことが大切だと考えます。

 先週の金曜日、5年星組の学習では、「メダカの卵の中の生命の成長の観察」をしました。この時、①油滴はこれからどうなっていくのか、②胚盤の部分は、どのようになっていくのか、③心臓はいつごろから動き始めるのか、などの観察の視点が出されました。そして、それらの視点について予想を持ち、①油滴は減る、そのまま、増える、②胚盤は栄養になる、体になる、③心臓は、7日目、8日目からできる、などの見通しを持ってから、他の成長段階の卵の観察を進めることができました。ちなみに、メダカの卵の観察に向けては、毎日採卵したほぼ連続した受精卵を準備しました。当日の朝に産んだ卵は、顕微鏡カメラを通して、52型のモニターに大きく映し出し、全員で見ながら視点を持ったり、予想を立てたりしました。また、子ども達の観察には、16台の双眼実体顕微鏡を準備し、いろいろな成長段階の卵を見ることができるようにしました。

 予想を持って観察をすると、意欲的に、探究的に観察が進められました。

 

きつねTの本屋&古本市さんぽ

 難波の本屋を中心に、回遊魚のように行きつけを回ります。昔からよく行くのは難波グランド花月の前のジュンク堂です。後にできたJR難波駅上のジュンク堂はさらに大きいので、探したい本があるときはそこへ行きます。新刊本だけを見るときは、難波地下街にある、日本橋のリブロ、難波駅近くブックファースト、近鉄難波駅内の本屋に立ち寄ります。また、出張の時の帰りには、淀屋橋の地下鉄改札前のブックファースト、堂島の大きなジュンク堂に行くこともあります。まだ、茶屋町の最大の本屋には行けていません。

 古本屋は、難波ビックカメラ前の天地書店、家の近くの中百舌鳥駅の天牛書店に定期的に行きます。心斎橋には、大きなブックオフがあるのですが、最近はあまり行きません。東京へ出張に行った時は、よく神田古本街を歩きます。

 古本市は、4月末には四天王寺境内へ行きました。これから、次のような場所で古本市があります。

・6月10日~16日は弁天町オーク200

8月のお盆頃は京都下鴨神社境内、

9月3日から21日は京橋ツイン21

10月6日~11日が四天王寺境内

 

<連絡>

▼3年

 チョウの幼虫の成長のレポートを書きます。家で写真撮影をしている人は、写真を持って来て、貼ってもいいです。基本はスケッチですので、写真のない人は、絵を描きながらレポートを書き進めます。2時間で仕上げます。

▼5年

 メダカの餌になるプランクトンの観察をします。それぞれ、プランクトンの独自学習を進めることと、学習の時には、プランクトンのいる水を持参してください。池などで水を採集する場合、決して危ないことをしないように、保護者の方と一緒に取り組みをしてください。田んぼで水をもらう場合は、田の持ち主に断るようにしてください。

 上澄みをすくってくるだけでは、殆どプランクトンはみつけられません。どこにいるか研究をしてから、採集してくださいね。

▼6年

 神戸淡路しごと合宿のために、今週の理科学習はありません。6月の人は、来週までにレポートを書き上げるようにしてください。

 しごと合宿では、断層・地殻変動・地震の学習をはじめ、和泉層群や大阪層群の観察ができると思います。特に、写真で見せたような、海岸沿いの和泉層群の観察と、泥岩、砂岩、礫岩の採集を、できればしてくださいね。