自ら学びを創る 2011.5.30(月)
5月28日の土曜日、京都教育大学の大学院の人たちに、「子どもが自律的に学びを創る学習法」についてお話をしてきました。対象は、中学校、高校の現場の先生が大学院に来られていたり、また、学部生から大学院に進学されていたりする方々です。
一つ目は、「学習の始め方」の話をしました。私たちの学校の学習は、今日の学習テーマについて、子どもが生活体験や独自学習や疑問を語り合いながら学習に入っていくことを大切にしています。「○ページを開いて」とか「前はどこまでしましたか」と言うような、教科書を順番に教える学習ではありません。子どもが、学習の広がりや関係や疑問などについて、手探りで語り合いながら、まずは自分たちで、ゼロから一定の構造化を目指していくことが大切だと考えています。話し合いは、あちこちに中心が移動するのですが、私には水平な平面に、小さな砂山がいくつも出来ていくように見えます。この小さな追究の砂山を自分たちで協同して造り上げていく過程、そして、ゼロから立ち上げていくエネルギーを、子どもたちが持つことが大切だと考えています。自分たちで自律して追究するということは、「小さな思考の砂山をたくさん造り、それらが互いに合わさりながら、裾野の広い、追究すべき大きな山に成長させていく過程である」と感じています。
中学校の先生は、「そんなことしていると、入試があるので、学習が進まない」「覚えなければいけないことを押さえるのはどうするのか」と言います。しかし、遠回りのようですが、自分の生活の周辺から語り合いながら学習を始めると、中学生、高校生なら、さらにワクワクするような内容になると思います。小学生よりも経験が広くて、知識も能力も思考力も高いからです。
今回は5年月組の学習時のビデオを見てもらいました。私は、二度目ですが、子ども達の学習のやり取りに、再び聞き込んでしまいました。生活、経験、疑問など、体験に裏付けられた一言一言の発言に、興味を持って聞き込んでしまいます。「子ども理解の学習法」を、大学院生に伝えられたでしょうか。
二つ目は、ビデオで見た5年月組の子ども達のように延々と語るには、日々の学級の取り組みがどうあるのかについては、昨年の1年月組の「朝の元気調べ」「自由研究発表」「さんぽと劇の表現」の取り組みを紹介しました。多くのビデオ記録もあるのですが、時間の都合、写真で「元気調べ」「自由研究発表」の様子を見てもらいました。1年生が、一人で黒板の前に立ち、模造紙を指しながら、また、生き物をCCDカメラで写し、39人の友だちに向かって話しかけている姿があります。発表を聞きながら、図鑑や辞書で調べてメモを取り、手を挙げておたずねをする姿もあります。元の自分の学級でありながら、改めて子ども達の様子に感動してしまいました。次に、「さんぽ」に出かけて、子どもの力で劇の表現に仕上げていく過程を紹介しました。最後に、「さんぽ」学習の総まとめである劇のビデオを見ました。「どんづるぼうに行こう」の劇のビデオを見ながら、私は、思わず涙が出そうになりました。講演する人が、涙が出そうになっていては仕方ないのですが、子ども達の台詞や、衣装や動きに、その子その子の魂の躍動が感じられるからでした。
最後に大学院生の振り返りを聞きながら、結論として『子どもが生き生きとした楽しい学習をすること』を、まとめとしました。
きつねTの「どんづるぼう」さんぽ
屯鶴峰と書きます。鶴が屯って(たむろって)いるように見える様子から、そう呼ばれています。二上山(雄岳、雌岳)の北側に広がる凝灰岩の傾いた地層が見られる地域です。
屯鶴峰へは、近鉄南大阪線の上ノ太子駅から歩きます。幸運にも、途中の住宅地の空き地で、サヌカイトを見つけることができました。サヌカイトは、石器時代に、やじりや石庖丁に使われたとても貴重な資源です。この二上山と香川県でしか採集することができません。サヌカイトが露出している崖は、今はありませんので、二上山周辺の段丘堆積物の礫や、近辺の河原の石の中で探します。サヌカイトは、無斑晶安山岩質マグマの急冷部分で、マグマから結晶が出来ないぐらい急激に冷やされて、少しガラス状になった岩石です。もっと急冷して、結晶が殆ど出来ていない岩石は、黒曜石と言われます。黒曜石の主な産地は、長野県の和田峠、北海道の十勝石、大分県姫島の白い黒曜石などが有名です。また、サヌカイトは、この二上山と香川県五色台で見られます。語源的には、四国の讃岐のサヌカイトが最初のようです。香川県のサヌカイトは、大きさを揃えて並べると、鉄琴のような音色を出すことで有名です。二上山のサヌカイトは綺麗な音は出ません。古代より、サヌカイトを産出する二上山地域は、石器時代文化の中心地で、石器を作っていた場所の遺跡も、特定されています。
サヌカイトの他、花崗岩、ざくろ石安山岩などの石を探しながら、上ノ太子駅から1時間半ほど歩いて屯鶴峰に到着しました。初めて屯鶴峰を見た子ども達は、真っ白な奇岩の景勝に感動です。周辺の宅地開発が進んで、昔よりもエリアは狭くなっていますが、まだなんとか、凝灰岩の傾いた地層が広がる、地学的に貴重な場所として保存されています。屯鶴峰は、現在は景勝地ですが、かつては火砕流堆積物と、泥流堆積物が湖の中に堆積した激しい火山噴火の跡です。丁度、20年ほど前、九州の雲仙普賢岳が噴火して火砕流と泥流が発生しましたが、そのような大災害をもたらす噴出物が堆積した所です。子ども達は、谷に下りて、凝灰岩、溶結凝灰岩、流紋岩、安山岩などの小石を拾いました。
屯鶴峰の中を北へ突き抜けて関屋駅に至り、そこから二駅程電車に乗って、近鉄下田駅近くの二上山博物館にも行きました。
二上山博物館は、小さな博物館ですが、二上山で見られる凝灰岩、サヌカイト、ザクロ石について詳しく展示解説をしています。奈良の子ども達には、必ず見て欲しい博物館の一つです。
<連絡>
▼3年
幼虫の観察をしています。先週は、幼虫の体のつくりについて詳しく学びました。今週は、孵化、脱皮、蛹化、羽化について、学習を進めましょう。時間があれば、成虫の体のつくりについても学習できるといいですね。幼虫を持って来てください。
▼5年
メダカの飼育と雄、雌の体のつくりについて学習をしました。今週は、卵の中の成長の様子を観察します。家でも、卵の観察をしていますか。顕微鏡を持っている人は、拡大して観察をしてください。顕微鏡の接眼レンズの上にデジタルカメラを置いて焦点を合わせると、顕微鏡写真をとることができます。卵、そして、次にするプランクトンの写真撮影に、家で挑戦してみてください。ちょっと研究者になった気分ですよ。
▼6年
月組は、岩石の名前付けと、化石の学習をします。岩石を整理して、持って来てください。化石を持っている人は、持って来てください。
星組は、地層のレポートを書きます。地層見学に行った所の写真をプリントして持って来てください
。それを使って、学校でレポートを書きます。
▼科学G
グループ活動では、野菜調べの模造紙を使って発表練習をします。6月3日(金)は、集会発表です。