本気スイッチ 2011.5.23(月)
独自学習ノートに、すごい取り組みがなされている子どもが増えてきました。もう、1冊を終えて、2冊目に入っている子どもがいます。独自の実験や観察が深められてきて、賢くなるなあと思います。努力を始めた子どもから、育ち始めます。特に、低学年の頃の、学習に対する本気の取り組みは、その後の学び方の基盤となり、天才性は、ここで芽吹きます。こだわりのある時間の使い方、本の読み方、論理的な思考力などは、個人的に意地になった取り組みの中で芽生えていくと思います。無駄な時間を少なくすると、読書してじっくり考える時間、物を見てじっくり考える時間が、低学年にはまだたっぷりあります。高学年になるとだんだん余計なことで忙しくなります。やらされる学習から、自分自身が考えて取り組む思考の時間を大切にしてほしいと思います。独自学習ノートは、そんな個人が育つノートです。
本校できつねTは、二回卒業生を出したのですが、二回とも、東大理Ⅲに入っている学級の子どもがいます。理Ⅲ以外の東大生も何人かいます。そのような子ども達の中学年の頃の様子を思い出すと、こだわりのある学習を、自分で進める子どもでした。学級の議論にも積極的に関わっていました。また、高学年になっても塾に振り回されてイライラすることはなく、学ぶ事に心を真っ直ぐに向けていたように思います。高学年の学習時間では、学級の友だちと学び合うこと、議論をすることを、とても楽しんでいたことが思い出されてきます。懐かしいなあ。
最近、学校の学びを甘く見ている子どもが多いと感じます。塾に行って時間をかけていると、それでいいと思っているのかもしれませんが、それだけでは駄目です。日頃の全ての学習に正面から向かい合う子どもが、結果としてバランスよく育っていくのです。
本気の学習を育てるには、私たち教師の日々の学習レベルを上げる必要があります。難しいことを教えるということではなくて、賢い子どもが本気で活躍できる状況を創るということです。実は、本気で賢くなろうとしている子どもは、学級にたくさんいるのです。しかし、学習進行に合わせて適当に意見を持ち、程々に先生の質問に合わせて発言しているのです。学習時間に学習の状況を読むことに脳を使い、大切な学習力、追究力には、能力を発揮していないのです。困ったことです。
子どもが覚醒した学習を進めると、実はすごい考えや取り組みが提案されます。家庭の協力も本気になり、ちょっと考えられないような所から資料を持ち込み、学習に向かう子どもが現れます。本気モードにスイッチが入った子どもです。賢い子どもが、適当に先生に合わせて、学校で本気に取り組めない姿は、とてもかわいそうに思います。
先生達の研修会では、学習に遅れ気味な子どものことを中心において議論をすることを良識とします。理解に時間のかかる子どもが、どのようにしたら分かるか、意見を出し合います。大切な議論です。しかし、賢い子どもが本気を出せない学習も、実は悲惨な学習です。やる気のある子ども達が本気で本を読み、資料を持ち込み、議論する学習になることが大切です。教師も、本気で資料を読み、子ども達に負けないように真剣に学習に向かい、真の追究学習の創造をしたいものです。
学習の本気スイッチを入れるのは、賢い子どもからです。学習は個人的なものです。スイッチ・オン。
きつねTの名古屋市科学館さんぽ と 読書紹介
今回は、前号の東山動物園内の「世界のめだか館」の次に行った「名古屋市科学館」の紹介です。
地下鉄東山線の伏見駅で降りて、徒歩数分の所にあります。大きな丸い球がある東京フジテレビのような特徴的な建物で、プラネタリウムや極寒ラボなどの大規模な施設を備えています。入場料は、小中学生は無料で、大人は400円です。
名古屋市科学館のキャッチフレーズは、「『みて、ふれて、たしかめて』だれもが楽しみながら科学に親しめる総合科学館」というもので、日本屈指の、また、世界に誇れる日本の科学館でした。かつて、東京お台場の「科学未来館」に初めて行った時も、「さすが東京にはすごい科学館があるなあ」と羨ましく思いましたが、それ以上の感動がありました。いろいろな基礎的実験が体験でき、さらに、宇宙や分子などの科学最先端の展示解説には、本当に驚くばかりです。かなり広くて、展示内容も多岐にわたるので、一日いても、全てをゆっくり見て回ることができないほどです。何度も通って、学びたいと思いました。この科学館を見るためにだけ名古屋にお出かけしても、決して後悔しないような素晴らしさがありました。
名古屋市科学館の展示は、最近読んだ科学の最先端のことを書いた次のような本の内容と重なるところがありましたので、ここでは、それらの本を紹介しましょう。
日本の若い優秀な科学者が、科学の最先端の宇宙や分子や生命や時間の根源的な理解を、分かりやすく書いた本です。特に、村山さんの書かれた素粒子物理学から見た宇宙論は、どのページも全く知らない内容に、驚きの連続でした。かなり難しいので、小学生の読書は、たぶん無理と思いますが、これから科学の研究を目指す人の基礎基本になります。きつねTが大学で学んだ頃とは、随分科学は進んでいるんだなと感じました。(本は、お勧め順)
◆「宇宙は何でできているのか~素粒子物理学で解く宇宙の謎~」2010年9月 村山斉 幻冬舎新書
◆「生命は宇宙のどこで生まれたのか」2011年2月 福江翼 祥伝社新書
◆「生命はなぜ生まれたのか」2011年1月 筒井研 幻冬舎新書
◆「時間はどこで生まれるのか」2006年12月 橋本淳一郎 集英社新書
さすがに理科の先生らしい本も、読んでいるでしょ。高学年の子ども達でも、かなり難しいですが、灘や開成の算数の入試問題を解くよりは易しいと思います。まずは、保護者の皆様が読んで、子どもに本を渡しましょう。
<連絡>
▼3年
ヒマワリ、ホウセンカの苗は、裏の畑、プール横の花壇、円形花壇に植えました。これから、週に一回、理科の時間に、成長の様子を観察します。
今週から、幼虫の観察をします。各自飼育しているモンシロチョウや、アゲハや、アオスジアゲハなどの幼虫やサナギを持って来てください。
▼5年
メダカの観察に入ります。家で飼っているメダカの卵の観察は進んでいますか。学校での観察は、双眼実体顕微鏡を使って詳しく卵の中の成長の様子を観察します。
▼6年
岩石の標本作りか、化石の学習をします。晴れたら岩石の標本作りをしますので、石を割るハンマー、軍手、石を並べる箱を持って来てください。雨の時は、化石の学習をしますので、家に持っている化石を持って来てください。星組の人は、どんづる峰観察のまとめを、きちんとしてください。また、日本の各地の火山調べにも学習を広げてください。
▼科学G
発表の準備をします。野菜調べを、各自独自学習で進めてください。グループの時間に、野菜レポートをまとめます。資料、写真などを持ってくると、まとめやすいと思います。