なかよし学習 2010.3.1(月)

 

 スキー合宿に行ってきました。今年は、昨年までの白山一里野スキー場から、岐阜県ひるがの高原のホワイトピア高鷲スキー場に変更し、2学年一緒に行くようにしました。4、5年生が一緒に生活をすることで、学びの伝承がなされていくことが期待されました。

 スキー学習は、学年別で班編制がされていました。きつねTのスキーの指導担当は、5年生のB1のグループでした。11人の子ども達が二日間に渡って一緒に滑りました。5年Bグループの子ども達は、複数回スキーに来ている子ども達ばかりなので、スキーを揃えて美しく滑ることを目指して練習しました。最初、坂に慣れるまでは、ボーゲンが精一杯でしたが、二日目の最終の頃になると、緩やかな坂の所では、おおよそスキーが揃えられるようになりました。子どもの成長は本当にすごいと思いました。

 夜の学習会では、一日目はひるがの高原の住民の方にお話を聞きました。高齢の方でしたので、昔の蛭ヶ野の様子が分かりました。

 S先生から、「福手さんは、今年で94歳です。大正4年生まれです。昔、小学校の先生をされていました。『ひるがの』の周辺を調べた本を書かれています。」と紹介がありました。

 「こんばんは。名前は、とよまるといいます。94.5歳。奈良は2000年前に開けたところだけれど、ここはやっと今、開けかけたところです。耳は少し故障していることを、おことわりしておきたい。頭も、話していると、どこか違う所にいってしまう時があることもおことわりしておきたい。

 昔は、蛭ヶ野と書いていて、蛭というのは気持ち悪いでしょ。蛭に血をすわれると血が止まらない。昔、湿地には、蛭がいっぱいいた。湿地は、膝当たりまで沈む。7000年~10000年前は海の底だった。偉いお坊さんが来て、溝を掘って水を流すと良くなると教えられたので、みんなで溝を掘った。今でもその大きな溝の直ぐそばは乾いているけど、離れると湿っている。乾いている所には蛭はいない。蛭がおった所を野原にして乾くように、排水を掘った。おじいちゃんらが、「蛭ヶ野」から「ひるがの」という書き方に変えた。

 これは、熊よけの鈴です。今は熊は冬眠している。まだ一ヶ月ぐらいは寝ている。この近くの子ども達は、みんなランドセルに鈴をつけている。熊は、向かっていくと襲われるので、目を見ながら、ゆっくりさがるようにする。

 雪道では大きな声を出してはいけないと言われている。奈良は、雪が降らないのでいいなあ。ここは、5,6日前まで雪が降っていた。山にいっぱい雪が降るでしょ。そしてこれから、温かくなると崩れる。たくさん降った後、子どもが集まって声を出すと、下の方が崩れて、上からどどっーと雪が落ちてくる。声の響きで雪の壁が崩れてくる。危ないのですよ。

 ここは広い所です。でも殆どが湿地です。おじいちゃんの畑も、今でもひどい。畑にするには溝を掘る。他には、外からいい土を持ってきて混ぜる。客土というよね。もう一つある。酸性土壌なので、手の皮の薄い人なら酸にやられて血が出てくる。手袋をしないで土を触っていると血が出てくる。酸性の土をなくすには、石灰をまぜて中和させる。酸性に弱いのはほうれん草ですが、今は立派に育っている。アルカリの土に変えているからです。

 昔、焼き畑をやっていましたね。風が吹いてくる反対から火をつけるようにする。風は上から下に流れている時、山の上に火をつける。迎え火。上から火をつけると、火が下の方までしっかり燃える。下から火を付けると、火が登っていくとき上しか燃えない。上から火をつけると、しっかりと全体が燃えていく。下から火を付けると、火が遠くへ飛んでいくので危ない。最近は、焼き畑をしていない。

 このあたりは、太平洋と日本海の分水嶺。おじいちゃんの家の近くの水は、日本海へ流れる。ここのホテル周辺の水は太平洋に流れる。私の家の近くに分水嶺公園がある。

 昔は何もない所だったが、一生懸命働いて、牛乳が出る乳牛を飼っている。

 最後に、今は94歳と半、ここに来たのは26の時。おおかた70年たつ。全てのことは、ちょっと短い時間では話すことができない。ここへ来て一番良かったことは3つ。生きるということは難しい。一生懸命頑張って働いて寝床を作る。物がよくできるように、人の心もよくなるように、生きることは難しい。生きることは尊いことだなと思う。・・・」

 お話を聞きながら、日本にも新しい土地を開拓をするような人生があることを知りました。蛭がたくさんいる湿地帯を開拓し、酸性の火山灰の土を中和して、人が生きる土地に改良していく作業の連続であることが分かりました。

 また二日目は、子ども達の発表でした。白川郷の調べ学習を中心に、多くのグループの発表がありました。夜7時から9時までの約2時間にわたる学習会でしたが、聞く側も話す側も、真剣に取り組みました。特に5年生が質の高いおたずねをすることで4年生が育てられたと思いました。

 二日目は、一緒のホテルに公立小学校が宿泊していました。食事は隣り合わせでしたが、その時の指示は、全て子どもが中心です。そして、食事もお風呂も、学習会も子どもが進行します。さらに、ロビーの歩き方、集まり方も静かです。また、こぎつね小学校の子ども達の言葉使いが丁寧であることが感じられました。素敵に学び合う子ども達です。

 行事をこなすことが私たちの目的ではありません。行事を通して、スキーの技術を高めるだけでなく、生活を学び、よりよい行動を学ぶのです。全ての活動の中で、自律的に行動する力をつけるのです。

 最後に、キツネTのスキー班には、H君という男の子がいました。彼は、それほどスキーが上手ではないのですが、いつも一番後ろを滑っていて、誰かがこけると、常に横で止まって、立ち上がれるまでお手伝いをしました。自分だけで精一杯というのが殆どの子ども達ですが、彼は、最初から最後まで、その活動をやり通してくれました。本当に頭が下がる思いで一杯でした。

 

 ■ お知らせ ■

<3年>

 磁石の学習に入ります。家でもいろいろな磁石を探してください。砂鉄を使った実験もしてみてください。

<4年>

 冬から春へと動き始めた自然を探検します。図鑑や参考書の準備をしましょう。家でも観察を始めましょう。季節日記を書いていきましょう。

<5年>

 電磁石をそれぞれ二種類作りました。電磁石の性質を調べていきます。今回は、磁場について、鉄粉を使って調べます。

<6年>

 今週から、学習はありません。

<3~5年>

 展示されている6年生のように、ボンドでノートを貼り合わせておいて、これまでの学習ノートを失わないようにしましょう。古い3年生のノートが上で、下へ下へと、木工ボンドで表紙どうしを貼り合わせていきます。卒業前に、色画用紙で表紙をつけます。