大切な時 2010.1.12(火)
新年を迎えるということは、また一つ年を重ねることになりました。しかし、小学校の先生は、幼い子ども達と一緒に過ごすことができる、本当に幸せな職業だなあとつくづく思えるようになってきました。常に若いエネルギーの放出を感じられるという、素敵な時間を毎日過ごすことができるのです。
先日、新一年生の入学選考を行いました。今週、発表です。人が人を選ぶ、人が人を評価するという本当に息苦しく、つらい仕事の連続でした。保護者のみなさんの真剣さ、幼稚園年長児のひたむきな姿に触れると、神様に与えられた子ども達をこのように選抜するのは本当に悲しく、まるで我々の教育の浅はかさを露見している思いでいっぱいでした。愛情たっぷりの温かい家庭で育てられてきたお子様たちです。本当に大切に育てなければいけないと、心が引き締まりました。
大切に育てられている子ども達の「大切な時」を、責任を持って預かり、その子の能力、技能、人間性を高めるのが学校の仕事です。私たちの学校は、その役目を果たすことが本当にできているのか、新年にあたり、自省してみました。
まず、私たちが社会人として生きていく上で、信用、信頼というのが一番大切だと思います。時間や提出期限に関してルーズだというのは、友だち関係ならまだ許されても、社会人になるとほぼ許されません。仮に「遅刻してもいいよ」「ケアレスミスはしかたないよ」という現実社会であれば、学校もそうであってよいのですが、社会の現実はそうではありません。信用、信頼を築くのには膨大な時間と労力がかかりますが、崩すのはすぐです。口ではいいことを言っていても、言動と行動が一致しない、社会や職場のルールを守らない、道徳的でない行動をするなどがあると、信用、信頼はすぐになくします。特に教師は、純真な子どもと向かい合っているので、この点が何よりも基本でなくてはいけません。人と人は、信頼で繋がっていることを子どもに伝えることは、学校教育の中では、とても大切なことであるからです。
また、学校は、友だちと一緒に活動する楽しさを味わい、相互の役割を生かす術を身につける場所であるといえます。自分の特性と友だちの良さを生かしながら、力を合わせ、さらに高め合う学びの場であるといえます。社会とは、多くの人たちと共同的に進歩しているからです。
学校は、このような社会のモラルや共同性の反映を基本にしながら、未来に生きる社会人を育てることが仕事なのです。家庭だけでは育てられない社会性、共同性、道徳性という、集団の中で生きる力を培うことを大切にしているともいえます。果たして、私たちの学校は、このような観点から合格点が出せるのでしょうか。常に自省の中で、点検していくことが大切だと思っています。
そしてこれら信用、信頼、社会性、共同性の育成を基礎に置きながら、能力、教養、技能を、文化として伝達し高めるという本来の学校が持っている社会的な役割があります。
そこでは、まず、教師にはオリジナルなテキストを作る能力が問われます。また、子どもの真の力を発揮させる学習環境を創る能力、そしてその環境の中で子ども自身が育っていく姿を、じっと見守り育てる洞察力・忍耐力が問われます。さらに、生き生きと一人ひとりが輝き出す瞬間を逃さない瞬発力も必要です。教師は、伸びようとするエネルギーの発露と常に触れ合うことができる恵まれた職業であると共に、人としてのあり方、生きる力、希望を持たせる責任ある仕事であるともいえます。
ここでいうオリジナルなテキストとは、時代に合った、そして目の前の子どもに合った学びのテキストを、日々更新しながら創造することができるかということです。個々の教師のたゆまない読書や調査によって、社会の状況に合わせて創られた独自性のあるプリントであり、素材であり、授業書であることが大切です。また、一人ひとりが持ち込む子どもの発信に、適切に対応できる幅の広い能力や教養も問われます。
それには、日々の読書や行動による情報収集活動が大切です。日本のそして人類の伝統、文化、知識、精神を受け継ぐためには、読書によって自ら学ぶしかないと考えます。
教師は、特に読書をすることが大切です。世界の文化遺産の伝達者だからです。読書をするということは、心を傾けて聴くという心構えが求められます。自己中心的で独善的な態度を捨てるための学びでもあります。また、自分が理解できないことは全部価値がないという、自分が好きか嫌いかで世界をすべて判断するという態度では何も学べないことを教えてくれます。
さあ、新年を迎え、皆さんは、どんな抱負を持たれたのでしょうか。私は、新年に当たり、学校の役割、教育の再考、知の更新について考え、やはり、今年も「読書」と「さんぽ」と「記録」の三つの柱を大切に一年間過ごしていきたいと決意しました。
「読書」は今のところ順調です。難波駅の近くに、ジュンク堂の巨大本屋ができましたので、毎週1、2回は立ち寄って、本を数冊ずつ買っています。また、最近あまり通えていない図書館にも、月に数度行くようにしたいとも決意を新たにしました。大阪市立中央図書館には、地下鉄の定期券で行くことができます。
「さんぽ」は、毎年、日々の暮らしが忙しくなってきていて、最近は実現できていません。今年は、隙間の時間を積極的に活用して「さんぽ(調査)」に出かけることを決心しました。また、授業中、子どもと一緒に短い時間でも「さんぽ(調査)」に出かけられるように小さな時間計画を立てるようにしたいと思います。
「記録」は、こぎつねノートと、日記を中心に、いろいろな原稿を積極的に書きたいと考えます。子ども達と一緒に考えた問題追究の過程の記録を、残していきます。そして、さんぽの記録、読書の記録と関連させながら書けるとさらにいいなあとも考えています。
今年もたぶん、理科の先生をしていると思うのですが、よろしくお願いします。
■ お知らせ ■
<3年>
物の重さ比べの学習の続きからします。同じ体積で重さの違いを比べて、物質についての基本的な特性を学びます。
<4年>
金属の熱の伝わり方について学習をしていこうかなと考えています。
<5年>
ものの溶け方の学習の続きをします。10℃の水に、食塩やミョウバンがどれくらい溶けるのか調べるところからスタートしましょう。
<6年>
キツネTがとても大好きな、地層、岩石、化石、火山、地殻変動などの学習をします。岩石標本も作りたいと思います。
<科学G>
天気のいい日は野外観察に出かけて、お天気が良くない日、とても寒い日は、理科室で実験をしましょう。最初にみなさんがしてみたいと書いていた実験を順番にしていきましょう。