学習のめあて 2009.10.26(月)

 

 「学習のめあて」をどう持たせるかということを、考えることにします。教師から見ると、子どもに「めあて」を持たせることは、子ども達は何から学習を始めようとしているのか、子ども達はどんなことに興味を持っているのかを探ることです。子どもから見ると、文字通り、めあてを持つことです。

 4年生の学習で、こんなことがありました。教師は、「星の動きを考えよう」と「学習のテーマ」に書いているのに、「私は、星の色について考えていきたい」「僕は、星の明るさについて調べていきたい」などと勝手にめあてを持っていきます。めあてを聞いていると、宇宙への興味なんだなあと感じました。続けて、「星の明るさは、星の色と関係していると思います」と、ある子どもの発表がありました。そこから一斉に、反対、賛成の手が挙がり、相互学習が始まりました。「明るさと色は関係なくって、明るさは距離が関係していると思います」「明るさは、星の一生と関係していると思います」「色は温度と関係していると思います。太陽は6000度で黄色です」「絶対等級という言葉があります」「つけたしで、絶対等級を辞書で調べてみると、10パーセクの距離に星を置いたときの明るさで、リゲルが一番明るい星だと書いています」「パーセクって何ですか」「年周視差が1秒である距離」「年周視差って?」と、延々と星の明るさ、色、星までの距離、温度などについて、子ども同士の話し合いが続きます。さらに、「星の色は、ガスコンロの炎の色と似ていて、赤いほうが低くて、青いほうが高いらしいです」「星の明るさは、懐中電灯を近くと遠くに置いた時の関係と似ていて、遠いほど暗いです。だから、明るさと色は関係ありません」など、生活とつなぎながら、意見を述べる子どもも現れました。

 私は今まで理科教師として、星の学習をずっとしてきているのですが、「星の色」「星の明るさ」「星の温度」「星までの距離」「星の一生」などに関して、いろいろな要素を関係付けながら話し合いをした子ども達に初めて出会いました。恐るべき子ども達の姿だと感心しています。話し合いが30分ほど続き、その後、相互学習の経過をノートにまとめさせました。

 最後に私が、「今日の学習のテーマには、先生は、『星の動きを調べよう』と書いたのですが・・・、それについてはどうですか?」と、控えめに子ども達にたずねると、再び議論が始まりました。「星は動いていなくて、地球が自転しているから動いているようにみえます」「北極星は動かないけど、自転しています」「季節によって見える星座が変わるので、星は動いています」「星座の形を変えないで動いているのが不思議です」「何百万年たつと、ベガが北極星になるので、星は動いていると思う」など、いろいろな「動いている」について出されてきます。子ども達の意見は、どれも当たっているけれど、混乱しているなと感じました。そこで、「星はどのように動いているか、実際、夜空を見て観察してきてください」と言いながら「北の空」「南の空」の記録用紙を配布しました。観察によって、さらに混乱は広がるように思います。今後の学習が楽しみです。まるでコペルニクス、ガリレオ時代の議論のようです。

 私の理科学習では、「学習のめあて」を持ち、めあてを発表し、相互学習で少し練り合い、独自学習へと進みます。それぞれのめあての発表から、混乱、混沌状況をうまく熟成していき、独自学習へとつなぐようにしています。このように考えると、「学習のめあて」とは、発想であり、興味であり、思いつきもあるのです。的を外しているもの、間違っているもの、いろいろあっていいのです。一人で学習をしていると、的外れは致命傷になるのですが、多くの仲間と一緒に学習をしていると、的外れは集団の学びに幅を持たせ、間違いは学びに勢いをつけます。間違いから、思わぬ進歩があることは、これまでの科学の歴史ではよくあることです。

 このように、「学習のめあて」はいろいろあっていいのです。まず、一人ひとりが宣言することがとても大切だと感じています。自分の思いつきの発言を意識しながら、その方向に少し歩き始めて、自分で迷い、学習することです。そして、学習の最後に「学習のめあて」と対になるように、「学習のふりかえり」を書くことが、学習自体だと感じています。

 子どもの生き生きとした学習とは、個人に「めあて」を持たせ、自分の足で歩ませることが大切です。「生きること」と同じ、自分でまずは歩ませることですね。

 

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 大阪市立自然史博物館行事のご案内をします。詳しくは、博物館のホームページで確かめてください。参加して、学んでください。

◆植物園案内 動物昆虫編「ダンゴムシ・ワラジムシ」

日時:1128日(土)

      午前10  時~12

集合:自然史博物館玄関ポーチ

服装・持ち物:容器(フィルム ケースなど)、筆記用具、ルーペ

 申し込み不要

◆やさしい自然観察会「化石さがし」

日時:12月6日(日)

      午前10時~午後3時

場所:泉佐野方面

対象:小学校3年生以上

          (保護者同伴)

参加費:中学生以上200円 

        小学生100

定員:150名

申込締切:1113日(金)

◆テーマ別自然観察会「1400万年前の火砕流」

日時:1123日(月・祝)終日 雨天中止

場所:奈良市中ノ川町

対象:小学校4年生以上(保護者同伴)

定員:40名

申込締切:11月8日(日)

◆テーマ別自然観察会「270万年前のメタセコイア」

日時:11月29日(日)終日 雨天・増水時中止

場所:滋賀県湖南市 野洲川

対象:小学校4年生以上(保護者同伴)

定員:40名

申込締切:1113日(金)

◆友の会月例ハイキング「矢田丘陵工作ハイキング」

日時:1129日(日)

      午前10時~午後2時

場所:大和郡山 大和民俗公園周辺

対象:友の会会員または、友の会に関心のある方

   小学生は保護者同伴

参加費:会員以外は300

持ち物:ハイキングの服装、歩きやすい靴、昼食、飲み物、筆記用具、観察用具、シート類

工作に必要なナイフ、キリ、紐、接着剤など

集合:矢田民俗公園駐車場に10時に集合

申し込み 不要

【大阪市立自然史博物館への申し込み方法】

 往復はがき、電子メール

詳しくは、博物館ホームページを参照してください。

◆他にも、橿原昆虫館、琵琶湖博物館、大阪市立科学館なども講習会をしているので、調べてください。

 

■ お知らせ ■

<3年>

 今週は、ゴムで動く車を走らせて。ゴムの力、ゴムのはたらきについて、考えます。風の時のようにいろいろ工夫していきましょう。

<4年>

 「空気と水の学習」に入ります。空気てっぽうを低学年の時にしていると思うのですが、持っている人は、持参してください。

<5年>

 魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類などの生命の連続について考えます。それぞれの生活の仕方と、赤ちゃんの産み方、育て方を考えます。

<6年>

 酸アルカリと金属について学習を進めます。学校で準備できる金属は、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、錫、鉛、マグネシウムなどがあります。塩酸との反応を調べます。

<科学G

 掃除当番決めと、活動希望を出し合っただけですね。グループの発表が早々に当たりそうなので、その準備をしましょう。