曽爾高原の記録 2009.10.5(月)

 

 9月24・25日、理科のキツネTは、今年も3年生と一緒に、曽爾高原に行くことができました。今回は、子ども達に怪我や病気など、もしものことがあった時のために、現地まで学校の公用車を運転して行きました。色紙や、理科の図鑑、双眼鏡なども運びました。途中、針インターチェンジのサービスエリアで、子ども達のバスにあいました。子ども達は、バスの窓から私を見つけて、手を振ってくれました。

 サービスエリアを子ども達のバスより少し早く出たので、曽爾の宿舎では、お迎えをしてあげることができました。入館式をする広場で待っていると、子ども達は、下の駐車場でバスを降りて、大きな荷物を持って坂道を上がってきました。お天気に恵まれ、子ども達の顔も、きらきら輝いています。

 広場の入館式では、自分達で作った学年の旗をポールに上げます。代表の人の挨拶、そして職員の方のお話を聞きました。入館式を広場で終えると、それぞれ今日泊まる部屋に大きな荷物を置き、お弁当と野外観察の道具を持って、直ぐにススキの草原に出発です。久しぶりの自然の中での学習です。

 

1.曽爾の岩石・地形

 宿舎から10分ほど歩くと、お亀池という高原の湿原があります。どのようにして、くぼ地が出来たのか分かりませんが、一見、噴火口の跡のようにも見えます。しかし地質図には、噴火口とは書かれていません。

 室生から曽爾にかけての広いこの地域は、溶結凝灰岩という、火砕流の厚い噴出物でおおわれています。今から1500万~2000万年前の噴出物なので、どこに噴火口があったのか今では分からないのですが、九州の耶馬溪や北海道の定山渓などと同じような、火砕流の堆積物です。宿舎から見える「かぶと岩」「よろい岩」「びょうぶ岩」などは、柱状節理に沿って急な浸食地形を造る溶結凝灰岩の特徴を表わしています。

 

2.自然の学習

 昼食と休憩を1時間とります。子ども達は、広い草原の中にちらばって、秋の日差しを浴びながら楽しそうに食事をしています。キツネTは、早々に昼食を終えて、子どもより先にお亀池を一周して、植物や、飛んでいるチョウやトンボを収集して、子ども達に見せる準備をしました。本来採集してはいけない地域ですが、子どもに見せるための一通りの植物だけは、採集させていただきました。約20種ほどの植物と、アキアカネ、ヒョウモン、ツマグロヒョウモン、キチョウ、イナゴなどを事前に採集することができました。勿論、子どもには絶対に植物を採集してはいけないと指導しました。

 午後からの観察学習の始まりは、フィールドノートに、今日の「学習のめあて」を書くことからです。続く、先生のお話では、先に集めておいた昆虫や植物を見せながら名前を書き取らせて、それらの特徴を簡単に説明しました。メモ能力の高い子どもは、昆虫や植物名にあわせて、その特徴もさっさと書いていきます。

 さあ、お亀池を回りながら1時間30分の観察が始まります。一周をゆっくり歩いても15分ほどですが、子ども達は、スケッチをしながら、熱心に植物観察、昆虫採集をしています。家の近くの公園や空き地で見られる植物とは違う、野山でしか見られない植物がススキの原の中で揺れています。クリーム色のアキノノゲシ、黄色のオミナエシ、紫のツリガネニンジン、サワヒヨドリなどが秋を彩ります。ススキの根元には、ナンバンギセルが奇妙な姿で頭を上げていて、その横にはナデシコの可憐なピンクの花が咲いています。耳を澄ますと、草原の中から、スズムシやキリギリスやクサキリなどの虫の鳴き声が静かに聞こえてきます。ああ、秋だなあと実感できる風景の中で学習ができる子ども達は幸せです。昼間の気温22度、湿度64%で、夜は15度です。曽爾は秋です。

 

3.見つけた自然の記録

 曽爾高原から帰った翌週の理科学習では、「曽爾の自然をまとめよう」というテーマで、相互学習、独自学習をしました。フィールドノートや自分で撮影した写真などを活用して調べ学習をしながら、まとめを書いていきました。

 

<曽爾高原で見られた植物>

1.ツリガネニンジン 2.マアザミ 3.ススキ 4.キセルアザミ 5.アキノノゲシ 6.ナンバンギセル 7.アキノキリンソウ 8.ノコンギク9.ヌスビトハギ 10.チカラシバ 11.ツユクサ 12.ミズヒキ 13.シシウド 14.ヨシノアザミ 15.ユウガギク 16.サワヒヨドリ 17.オミナエシ 18.ハギ 19.シラヤマギク 20.コウゾリナ 21.タデ 22.ナデシコ 23.ゲンノショウコ 24.サワギキョウ 25.アシ 

 

<曽爾高原で見られた動物>

1.クロアゲハ 2.スズメバチ 3.ツマグロヒョウモン 4.ヒョウモン 5.キリギリス 6.カメムシ 7.クビキリギス 8.ウスイロササキリ9.アキアカネ 10.スズムシ11.コオロギ 12.イナゴ 13.キチョウ 14.トノサマバッタ15.ツマグロオオヨコバイ 16.ルリセンチコガネ 17.ツマグロヨコバイ 18.ショウリョウバッタ 19.カナヘビ 20.黒いヘビ 21.ツバメ 22.カマキリ 23.クロイトトンボ24.アカタテハ 25.クマンバチ 26.アシナガバチ 27.アブ 28.ゴマダラカミキリ 29.ギンヤンマ 

 

4.星の学習

 夜も晴天に恵まれ、星や月の観察ができました。頭の上には、夏の大三角があり、白鳥座のデネブ、こと座のベガ、わし座のアルタイルなどが見られます。北の空には小熊座の北極星と、カシオペア座のWの形が見えます。カシオペア座から白鳥座にかけては薄っすらと天の川が見られ、その天の川の中で、白鳥が羽を広げている様子がわかりました。南の空には木星が輝き、上弦の月が西に傾きかけていました。N先生が、理科室から持ち込んだ倍率の高い単眼鏡を月に向けてセットしてくださって、子ども達は、月のクレーターを見ることができました。双眼鏡でも見えますので、家で観察してください。

 

5.生活の学習

 子ども達は、日頃していないいろいろな生活の学習も、ここでは経験します。ベットに自分でシーツを上下に二枚敷いてその間で寝ます。枕にもカバーをかけます。寝るのはだれでも出来るのですが、朝の片付けが大変です。毛布二枚と掛け布団を元通りにたたんで、使ったシーツもきちんとたたみます。毛布たたみは、館の方のチェックがあり、3年生は、いつも全員がやり直しになります。星組の先生はシーツ集めをしていましたので、キツネTは、星組の毛布、掛け布団を、全員分全てたたみ直しをしました。また、廊下は走らない、夜は早く寝るようにと、先生達は二日間、学習指導以上に生活指導に疲れてしまいました。

 

 ■ お知らせ ■

<3年>

 新しい学習単元「風やゴムの力」の学習に入ります。独自学習を進めておいてください。

<4年>

 星座の学習、星の動きの学習を進めます。星座や星に関する資料で独自学習を進めてください。夏から秋の星座を取り上げます。中秋の月を見ましたか。前回の満月より、高い所を通っていましたね。

<5年>

 現在、日本に近づいている台風のデータを集めてください。超巨大台風です。今の勢力を保持したまま日本に上陸すると、大変なことになります。今日現在、中心気圧は910hpaですね。

<6年>

 酸・アルカリの学習を進めています。先週、リトマス紙を持って帰っていますので、その独自学習の発表からします。次の酸アルカリの学習では、酸性やアルカリ性の水溶液は、どんな働きをするのか学習します。独自学習を進めておいてください。