夏休みのこと 2009.9.1(火)
1.キツネTの夏休み
理科の教科書(学習指導要領)の内容が今年から大きく変更になっているので、各地で講演や実技研修会を頼まれました。夏休みはとても忙しい毎日を過ごしました。国や県や市や学校などの研修会の講師をしてきました。また、出張の合間を縫って、卒業生(中学2年)に昆虫標本作りの指導もしました。こんなに忙しい年も珍しいので、書き出してみることにしました。
①石川県小松市理科部会
②大阪市浪速区理科部会
③奈良県御所市理科部会
④奈良県吉野郡理科部会
⑤奈良県奈良市理科部会
⑥奈良県十年研修
⑦教員免許更新講習
⑧SSTA理科教員リーダー養成セミナー千葉
⑨学習研究連盟山口集会
⑩八尾市小学校の校内研修
⑪和泉市小学校の校内研修
⑫奈良市百年会館理科講座
⑬卒業生昆虫標本指導
⑭奈良女子大前期理科講義
多くの時間を、資料作りや教材の準備、講義や移動の時間に使いました。疲れたなあというのが、夏休みを終えての感想です。しかし、おかげで多くの先生方にも出会い、こぎつね友の会(このお便りを読んでくださる先生方)も少しずつ増えてきています。「奈良の学習法」を伝える機会も増えることになりました。
「奈良の学習法」というのは、子ども自身の力を引き出し、子どもが自ら学習に立ち向かう力をつける学習法です。先生は、環境を作り、子どもが学びの主体になることを目指します。こんな素敵な学習の方法を広げるのが、私達の学校の大切な仕事だと思っています。
2.キツネTの夏さんぽ
多くの出張があったので、その移動を利用して、博物館や資料館廻りを、隙間を縫ってしてきました。一つひとつの見学時間は短いのですが、見聞を広げることができました。
①東京国立科学博物館
いろいろな動物の骨のつくりの写真撮影を中心に、見学をしてきました。
②千葉幕張恐竜博
世界最大級の恐竜の骨格標本、また、恐竜の皮膚化石の観察ができました。
③周防大島宮本常一資料館
日本中をくまなく歩き回った偉大な民俗学者、宮本常一の足跡と、成し遂げた仕事を見ました。
④美祢市化石館
山口県で発見されている化石の展示です。日本ではめずらしい中生代三畳紀という、かなり古い時代の化石が見られるので、興味深い博物館です。
⑤美祢市歴史民族資料館
大きな岩体の化石を置いています。シダ類の化石がたくさんありました。
⑥中原中也記念館
山口市の湯田温泉街の中にあって、生誕の地に建てられています。30歳の若さでなくなっていますが、ロマン的なすてきな詩の作品を多く残しています。
⑦大阪市立美術館福沢諭吉展
福沢諭吉は、江戸末期から明治の人で、慶応義塾の創設者です。明治の天才の一人です。散歩、新聞、演説に興味を持ちました。
⑧奈良国立博物館寧波展
奈良時代、平安時代と遣唐使船が行き来した頃の中国側の受け入れ港の町・寧波です。寧波の当時の仏教文化の紹介でした。
⑨東京大学総合研究博物館
宇宙の中の鉄原子の存在から、天体を作る鉄、鉄隕石、そして、地球上の層状鉄鉱の出来方、さらに、最近の超伝導、超合金の話へと、ダイナミックな鉄の特別展示が見事でした。見学無料
⑩小石川植物園内東京大学総合研究博物館別館
古い実験器具や昔の剥製、骨格標本などが、2階建て洋館の中に贅沢に配置されています。昔の学者の部屋の再現のような展示でした。見学無料
⑪大阪市立自然史博物館ほねほね探検隊
動物の骨を数百種集めて展示。東京国立科学博物館で見た骨よりも、多くの骨が展示されていて、資料の冊子を購入出来ました。
3.「さんぽ」の意義
夏休み中、理科の先生は理科関係の調査研究に、社会の先生は、社会科学の調査研究に出かけられましたか。せめて、博物館、展示会などで、情報収集をしておくことが大切です。この夏、きつねTは、連続した休みが取れなくて、野外調査には出かけられませんでしたが、いくつかの博物館で、化石や骨格標本を見ることが出来ました。今年の夏は、骨に集中して、少し研修を深めることができました。
7月の末のこぎつね大学の理科の教科教育講義の最終日、学生さんにはレポートを書いてもらうのですが、その中の問題の一つに、「理科の教養を高めるには、日頃どのような取り組みをしたらよいでしょうか。」という課題を出しました。私としては、野外観察会に参加、実験観察講座に参加、テレビなどの科学番組を選んで観る、博物館、科学館、動物園、植物園、水族館に行く、植物の世話をする、動物の飼育をする、自然の豊かな国立公園へ行く、天体観測をする、などの多面的な答えを期待しています。科学は、実際に実験をする、工作をする、野外観察をするなど、実物と触れ合う活動を通して学ぶことが大切です。もっと欲を言うと、大学の先生でなくても、個人の研究テーマを持って、こだわりの一つの分野の研修を深めることも、大切だと考えます。
昨年の秋、アメリカへ行って、授業をしたり、アメリカの科学教育学会で発表したりした時に訪問したニューヨーク自然史博物館と、ワシントンのスミソニアン博物館は、今でも時々思い出されます。この夏にも日本のテレビ番組に取り上げられていて、それらの博物館の存在の大きさが感じられます。資料の集め方、展示の構成のしかた、解説の素晴らしさは、日本のどの博物館ももっと見習ってほしいものです。というよりも、もっとお金をかけて、博物館を維持管理してほしいと思います。
このように、私がお出かけをしたことを紹介すると、我が校の子どもの家庭もお出かけをしてくれます。そして、結果として、子ども達が賢くなります。
このような「知のつながり」も、学習法です。
■ お知らせ ■
いよいよ9月が始まりました。新型インフルエンザが心配ですが、学習は進めます。一週目は水泳納めの会があるので、金曜日は理科ができません。9月の一週目は短縮です。5123の時間割で進められます。
<一枚レポートを書く>
3、4、5年生は、2週目に夏休み中のフィールドノートから「一枚レポート」を書きます。4年生は「夏の自然」をテーマにします。5・3年生は、理科に関する自由なテーマで書きます。フィールドノートを充実させておいてください。写真をレポートに張り込む人は、写真の準備をしておいてください。
6年生は、白浜の貝の標本を元にレポートを書きます。貝の標本から表やグラフにして、レポートを書きますので、心積もりをしておいてください。
<学習>
3年―光の学習(反射)
4年―夏の自然、月の動き
5年―台風レポート
6年―人体のつくり
酸アルカリの学習