心が折れる 2009.7.6(月)
人を思いやる気持ちは、どんなところで育っていくのでしょうか。心の荒んだ子どもをどこで救えるのか、本当に考えないといけない時代になったように感じられます。幼児、児童への虐待が増えているようです。それは、日々電車の中の親子の様子を見ていても感じられます。昨日、幼児への虐待の映像がテレビで放映されていて、それは途中で目を伏せてしまうような悲惨な状況でした。母は小さな子どもに殆ど目を合わさないで育てて、母がイライラすると幼い子どもが叩かれている様子でした。こんなことって本当にあっていいのかと、見ていると、涙が出てしまいます。そのような状況の子ども達も、なんとか成長して小学校に来ているんだと思うと、どうしてあげたらよいのかと、胸が痛くなります。
今回の「こぎつねノート」のお便りは、理科の光の学習について半分以上書き進めたのですが、その番組を見た後、自分の書いているおたよりの内容があまりに皮相に見えてしまったので、全部消してしまいました。
我が校にも、子どもの心が折れかけている状況が見られます。私は学級担任ではないので、あまり子どもと深く関われていないので一人ひとりの本当の状況は分かりませんが、理科の時間、理科室へ学習にやってくる子どもの様子を見ていて、目の焦点が合わない、心が乱れている、私語が止まらない、ノートが書けない、休み時間を楽しみにしている、などの状況があることに気付きます。我が校のように、適性検査を受けて入学していて、かなり教育に熱心な保護者が多いと思われる学校でも、本当に一人ひとりの子どもの心の訴えをしっかり見てあげないといけないと感じます。
「少し静かにしてくれる」と普通に言うだけで、過剰な反応をしてくる子どもがいます。担任との関係、家庭での育てられ方のどこかで、心が壊れてしまっているんだなと、悲しくなります。「一週間に一度しか会わない先生に、そんな言い方をして欲しくないなあ」とお願いすると、理解はしてくれるのですが、心の不安定は、常にあるようです。
石や花と話が出来るようになってきた私のような年齢になると、子どものいたずらを見て、「お前が悪い。何を考えているんだ。」と、強く言いきれないようになってきています。子どもは、本来すくすく育つように生まれています。大人の真似をしながら、成長するように人は作られています。花壇や畑で植物の世話をしていると、イメージしているように植物が育たないのは、育てている私が全て悪いことはすぐに思い知らされます。種が悪い、苗が悪いのではないのは明らかで、必要な時に、必要な世話ができていないことで、枯れさせてしまったり、貧弱に育ててしまったりしています。自分の力の無さが、全ての原因なのです。
植物と同じように考えてはいけないのかもしれませんが、電車の中で、赤ちゃんを連れているお母さんが、携帯メールをずっとしている状況は、本当に恐ろしくなります。赤ちゃんの目を見てあげないで、ずっと携帯電話の画面を見ています。また、家族で買い物に歩いているお母さんが、自分だけ携帯メールをしながら歩いている姿もとても奇妙だと思います。そのようなお母さんは、家でも同じような状況だと思います。携帯メール、コンピュータのインターネットは、親子でいても、自分だけの世界になってしまいます。喫茶店に友達と一緒に来ている女子高生が、互いに何も話をしないで、それぞれメールをしている姿と近いものがあります。中・高校生は、人との対話の仕方が変わり、一緒にいてもいつも寂しいという状況なのでしょう。
子育ては、目を見て、その子に話しかける必要があります。それも、その子だけに話しかけることが大切です。学校の「朝の会」は、そのためには、本当に大切な取り組みです。子どもが先生に、そして友達に、自分の話をします。全員がその子を見て、先生も友達も一生懸命一瞬の一言を聞き、反応を返します。日々、生活の変化の中で悩みながら、状況の判断を繰り返して生きている我々です。共感がいつも欲しいのです。友達や先生や親とつながることで、小さな命が折れないで、力強く育っていきます。
では、現在、目を見合いながらの対話の中で子どもが育てられていない状況になっているのは、どんな原因が大きいのでしょうか。それは、勿論、情報社会という、大きな時代の変化がここ20年ほどの間に急速に進んだことに原因があります。情報化社会は、便利な面もたくさんあるのですが、その利便性の中に企業の戦略が巧みに入り込み、洗脳、中毒のしくみが組み込まれているように思われてなりません。ゲームや最新情報と抱き合わせて、女性、子どもの時間が狙われていると、思われます。
石川県は、小学校、中学校の子ども達に携帯電話を持たさない条例を制定しました。大阪の橋下知事も、小、中、高校に携帯持込禁止令を出したい意向であると聞きます。本気で教育を何とかしなければいけないと考えると、この携帯使用は、本当に大きな問題点をかかえていると思います。小中高校生に携帯電話を持たさないとは、その保護者が、子どもの目の前で、携帯メールをし続けることを控えることでもあるのです。また、校内の保護者の携帯電話の使用は禁止です。私は最近、携帯電話は、鞄に入れていて、校内では持ち歩かないようにしています。かかっていても出ないようにしています。エコ生活と同じで、少しの心がけで、状況を変えていくようにすることが大切です。保護者の皆さんも、子どもの前で携帯メール、携帯電話を使わないで、その時間を、子どもと普通の会話をする機会を増やすようにすることです。また、子どもが家にいる休日は、家庭は携帯使用禁止日にしてはどうでしょう。
子育ては、人生で一番大切な仕事です。過酷な夏は、朝と夕方の水遣りを怠ると植物は枯れてしまいます。子どもへの水遣りとは、爽やかな母との楽しい語らいの時間であると思います。
■ お知らせ ■
<夏休みの課題>
*フィールドノートに書くようにしてください。
<3年>
三年生は、課題がたくさんありますね。夏の植物、夏の昆虫の観察、虫眼鏡、温度計を使った光の研究、日時計の研究など。ヒマワリ各自持って帰り観察。
<4年>
四年生は、可能なら発光ダイオード(LED)を使った工作に挑戦してみてください。難しいですが、出来る人からやってみること。他には、月の動きの観測、星座の観察、星の動きなど。
綿・ほおずき、各自持って帰り観察。
<5年><6年>
臨海学習の貝の標本と海草の標本作りをしてください。海草は5種程度。
5年生は、夏休み明けに、台風レポートを書くので、台風が発生したら新聞の天気図と、もし上陸したらその時の様子の記事を切り抜いてください。
6年生は進級に向けての学習に集中してください。標本だけは頑張ってね。